おかずさんの読書

ビジネス・歴史を中心に読んだ本の感想を記載

蒼天見ゆ

2015-11-23 18:33:45 | ビジネス(企業)
「蒼天見ゆ」 葉室麟著 角川書店

 日本で最後に親のかたき討ちをした元秋月藩の武士臼井六郎とその父を描いた一冊。父である臼井亘理が優秀であるがゆえに、藩内の政治対立に巻き込まれ、幕末最後の年に恨みをかい妻と一緒に暗殺される過程や、その後13年かかってかたき討ちを果たした息子六郎の生き様が描かれている。
 親のかたき討ちは江戸時代なら大いに褒められる行為。しかし、明治になり殺人として犯罪行為になる。それでも、時代に流されず、平和な時代に流されず、ひたすらかたき討ちのための行動した六郎。かたき討ちを誇ることもなく、刑務所に入り出所後も淡々と生活している。現代の感覚から言えば、褒められる行為ではないが、まっすぐな生き方に心を打たれた。

 筆者の創作部分と思うが、勝海舟との出会いや犬養毅との議論など、明治の時代背景がわかるように工夫されている。
コメント
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