おかずさんの読書

ビジネス・歴史を中心に読んだ本の感想を記載

石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?

2014-10-19 18:16:29 | エネルギー
「石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?」 岩瀬昇著 文春新書

 何十年も前から、石油はあと40年程度で無くなると言われるが、いっこうに無くらず、採掘可能年月も変わらない。こんな素朴な疑問にぴったり当てはまるタイトル。書店ですぐ購入。
 筆者は、三井物産で長らくエネルギー関係ビジネスの従事していた方で、ところどころに自らの体験を織り交ぜた本書は、とても読みやすいし、一次エネルギーである石油、石炭、LNG、ウラン、再生エネルギーの現状や取引の仕組みなどの基本が理解できる。

 LNGは1兆円規模のプロジェクトであり、長期の売買契約を事前に確定してから行うのに、なぜ、最近スポット取引が成立しているのかを初めて知った。地下資源を早く現金に換えたいカタールと巨大なアメリカ市場の存在が、その理由。

 原子力については、技術の視点から記述しており視点がおもしろい。すなわち、原子力技術の習得には膨大な時間と労力が必要であり、日本が積み上げてきた技術・知見・経験は大きな財産であり、有効に使うべきと説く。同感。

 あとがきで、サラリーマンとして、結論・理由の順で、背景・経緯は簡潔に記載することを習慣化していた筆者が、本書を書くのに苦労したというのは笑える。
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