おかずさんの読書

ビジネス・歴史を中心に読んだ本の感想を記載

組織の思考が止まるとき

2011-06-26 18:13:41 | ビジネス
「組織の思考が止まるとき」 郷原信郎著 毎日新聞社

 コンプライアンスとは「法令順守」ではなく、「社会的要請に応えること」という筆者の考え方を、具体的事例を交えながら、分かりやすく解説している。最近読んだ本では、ナンバーワン。目からウロコの落ちることが多く、読み終えた後は満足感。

 元検事で法務大臣の諮問機関である「検察の在り方検討会議」の委員である筆者は、本書の冒頭で、村上氏の無罪が確定した郵便不正事件を取り上げ、検察の対応の誤りを指摘。
 筆者によれば、前田検事によるフロッピーディスクの改ざんによる証拠隠滅は「手段」でしかなく、本来、村上氏を不当に逮捕・拘留した特別公務員職権濫用罪とすべき。検察の組織内で解決しようとし問題を矮小化している。

 その他、印象に残ったのは以下のような内容。
  ・佐藤栄作への犬養法務大臣の指揮権発動は、捜査に行き詰まった検察側が「名誉ある撤退」をするために、吉田首相に持ちかけた策略。
  ・郵便不正事件では、損害を「200億円」とマスコミが報道しているが、正規の料金ならそんなに発注しないはずで、実際の被害ではない(問題の本質は、柔軟な価格設定ができない「古色蒼然たる郵便法」)
  ・不二家の「消費期限切れ原料使用」は安全性や品質にはまったく問題のない「形式的なコンプライアンス違反」に過ぎないが、不二家が曖昧・不特定な事実でマスコミ対応をして問題が沸騰
   
コメント
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