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日経社説が唱える参院改革に激しく同意

2007-05-03 16:46:08 | 時事問題
憲法施行60年の5月3日には、各紙とも社説で憲法問題を取り上げていた。私が感心したのは、日本経済新聞社説「還暦の憲法を時代の変化に合う中身に」の中で、参院改革が主張されていることだ。
「現行憲法の大きな欠陥は、参院が衆院とほぼ同等の強い権限を持っており、下院(衆院)に基礎を置く議院内閣制の原則と矛盾していることである。現在、与党は参院で否決された法案を衆院で再議決できる3分の2以上の多数を占めているが、それが続く保証はない。衆院選でのマニフェスト(政権公約)に基づく政権運営を定着させるには、参院改革が要る。参院の権限と規模を縮小し、衆院優位の原則を確立することの必要性を重ねて強調したい。」

要するに「参院の権限と規模を縮小し、衆院優位の原則を確立する」ことが主張されているのだ。

そもそも、日本の国会は衆議院と参議院の二つの議院からなる2院制をとっている。しかしその中で参議院はどんな役割を果たしているのかと問われると答えにくい。

議員の任期、被選挙権、選出方法(この点では衆議院と参議院の違いが極小化されている)などの点で2院間に若干の差異を作り出しているにすぎない。2院制の存在理由は、性質の違う二つの議院により(衆議院:国民の意思を反映、参議院は長期的な視野に立った審議)、議論の慎重化をはかるという意味が強いとされる。さらに衆議院解散時に参議院が緊急集会をするという緊急事態対処ということが考えられるくらいである。

それでも発足当時の参議院は無所属議員が多く、緑風会(1947-65)を中心に、「良識の府」という特色をある程度打ち出していた。しかしその後参議院議員が政党に属することが普通になり、衆議院との違いがますます少なくなっている。参院は「衆院のカーボンコピー」と蔑まれて呼ばれていた。

だが意外なことに最近参議院のパワーが見直されている。かつては自民党のパワーがものすごく、単独で衆参の過半数議席を占めることができた。しかし最近それに陰りが出てきたからである。特に自民党は1998年以来参議院で過半数をとれていない。それが自民党が公明と連立政権を組む大きな原因となっている。

さらに一昨年の郵政民営化問題は参院の意義を問うた。首相の国民に約束した政策で、衆議院を通過したものを、参議院が否決してよいのかということである。もちろん現行憲法のルールから言えば、オッケーである。しかし参院の否決により国政に混乱がもたらされた場合、いかなる解決策も憲法には予定されていない。

郵政民営化法案を参院が否決したことは、衆議院解散・総選挙ということになった。そしていわゆる郵政選挙で、自民党が「参院で否決された法案を衆院で再議決できる3分の2以上の多数」を占めたため、参院の位置づけに対する問題は凍結されたままだ。

今後衆参の多数政党が異なる事態は充分予見できる。そのとき政治的対立が無用の国民生活の混乱をもたらさないために、日経が主張する「参院の権限と規模を縮小し、衆院優位の原則を確立する」という案は傾聴するに値する。
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