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武器は人を裏切らない

2006-11-04 23:16:45 | 時事問題
北朝鮮の金永南(キムヨムナム)最高人民会議委員長は、3日、韓国の民主労働党代表団との会談で、「(北朝鮮の)核は米国の制裁と圧殺政策に対応するためで、決して南側や同胞を狙ったものではない」と述べたというニュースに接した(北朝鮮核実験:金永南氏「同胞は狙わず」 韓国側に伝える)。

北朝鮮は何のために核兵器を持っているのかという問題に関して、船橋洋一氏の大著『ザ・ペニンシュラ・クエスチョン』(朝日新聞)の一節を思い出した。

1997年、元金日成総合大学学長の黄長〔火+華〕(ファンジャンヨップ)氏が韓国に亡命した後、朝鮮労働党幹部会の席上で、金正日(キムジョンイル)国防委員長が、「人は人を裏切るが、武器は人を裏切らない」と述べたと伝えられているという箇所である。

北朝鮮の感じる脅威の本質を突き詰めれば、それは内から感じるものであるということの例証の一つとして挙げられていた。また船橋氏は、とある韓国高官の言葉を借りて次のようにも表現している。

「北朝鮮の脅威感の内実は、外国からのものではなく、自国の国民からのものなのだ。米国が安全保障を脅かすということを言い続けるのは、体制維持のための口実にすぎない」

金正日体制が核兵器に執拗にこだわるのは、究極のところその体制が人間不信により成り立ち、結局のところ究極の兵器である核兵器に安心を求めざるを得ないということらしい。

であるから6カ国協議が開始されたとしても、核廃棄は、北朝鮮には呑めない話しであろう。しかし人間不信に立脚している体制は、案外もろい。
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