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ヌエストロ・イムノ(米国国歌のスペイン語版)をめぐる騒動について

2006-05-09 00:12:33 | 時事問題
1969年、ベトナム戦争が泥沼化しているとき、ジミー・ヘンドリクスは、ウッドストックで、アメリカ国歌をサイケデリック風に演奏をして物議を醸した。2006年、移民規制が大きなイシューとなっているとき、アメリカ国歌はスペイン語歌詞とともにラテン風にアレンジされ、物議を醸している。そのタイトルが、ヌエストロ・イムノ("Nuestro Himno")、つまり私たちの国歌ということである。

これに対してブッシュ大統領は、「この国の市民になろうという人は英語を学ぶべきだし、国歌は英語で歌うべきだ」と批判的な態度をとった。他方ライス国務長官は、個人的意見と断りながらも、この動きを否定してない。「米国歌のラップ風、カントリーミュージック風、クラシック風などをこれまで聴いたことがある。国歌の個性化が進んでいると思う」。「米国市民になりたいとの思いが重要な事だ。焦点にすべきは、米国の法律、人間性を認める包括的な移民法を構築することだ」と述べた。もっともブッシュ大統領は、移民規制に関して、不法移民の居住合法化に理解を示しているが、市民権を得る条件として「英語の習熟」を挙げるなど、英語を話さない米国人の増大には懸念を表明しているという。
(「米国歌のスペイン語唱和を拒否せず、ライス長官」http://cnn.co.jp/usa/CNN200605020024.html)

アメリカ国歌のスペイン語版に対する賛否両論に対して、ブッシュ政権が、バランスをとっているように思える。基本はアメリカ市民を得る条件として英語の習熟を必要とする立場。しかし英語を話せないヒスパニックの市民にも配慮をするということなのであろう。ブッシュ大統領自身も、大統領選挙ではスペイン語でも演説をしていたように、私は記憶している。ヒスパニックがは、アメリカのマイノリティの中で、アフリカ系を凌いで第一位、およそ全人口の一割を占めるのだから。そしてブッシュ大統領自身は、メキシコと国境を接するテキサス州知事だったのだから。

ところでアメリカ国歌"The Star-Spangled Banner"は、1814年にフランシス・スコット・キーにより書かれた詩がベースになっている。詩の元来のタイトルは「マクヘンリー砦の防衛」である。キーが、米英戦争において捕虜となった友人の釈放に尽力しているとき、夜明けのマクヘンリー砦の上で掲げられた星条旗に着想を得たものであるそうだ。それが当時人気のあった「天国のアナクレオンヘ」のメロディに合わせてアレンジされたもの。1931年3月アメリカ国歌となった。

"The Star-Spangled Banne"rは、「星条旗」と訳されるべきもの。「星条旗よ永遠なれ("Stars and Stripes Forever")」は、全く別の行進曲である。読売新聞は、ヌエストロ・イムノ関連の記事に「米国歌よ英語なれ…米大統領、西語版出回り“苦い顔”」(http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20060429id21.htm)と、しゃれたタイトルを付けたが、"The Star-Spangled Banner"と"Stars and Stripes Forever"の区別がついているのかと突っ込まれそうである。

A Spanish Version of 'The Star-Spangled Banner'
上記のページを通じて、ヌエストロ・イムノが聞けた。歌詞とその英訳もある。

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