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麻生外相の特殊法人靖国社

2006-08-10 11:51:03 | 時事問題
8月15日が近づくに連れて、小泉首相周辺が騒がしくなってきた。小泉首相は、8月15日靖国神社参拝に関して、「公約は生きている」と述べているからである。

公約を実現するということで、マスコミや中韓の近隣諸国から、自分に対する反発の風当たりを強くすることで、首相は自分の存在の浮揚を目指していると考えられる。

参拝の目的は、平和を祈念するためとされる。しかしそれが偏狭なナショナリズムの発露と関係させられているのが気にかかる。小泉首相は自分のメルマガで、中国という固有名詞を出して次のような議論を展開する。

「私を批判するマスコミや識者の人々の意見を突き詰めていくと、中国が反対しているから靖国参拝はやめた方がいい、中国の嫌がることはしない方がいいということになるように思えてなりません。
そういうマスコミや識者の方々は、思想及び良心の自由をどう捉えているのでしょうか。戦没者に対して、敬意と感謝の気持ちを表わすことはよいことなのでしょうか、悪いことなのでしょうか。」

違うでしょ。靖国神社が、戦没者なのかどうか疑問があるA級戦犯の刑死者ならびに病死者を合祀していることが、話をややこしくしているのでしょう。もちろんA級戦犯なんて、連合国側の押しつけにすぎないと開き直ることができるかもしれない。しかし我々としても、大東亜戦争に何らかの判断をつけるべきでしょう。日本だけで300万人の犠牲者を出し、アジア近隣諸国などを含めるととてつもない犠牲者を出しているのですから。

昭和天皇陛下も(A級戦犯すべてに対してかどうかはよく分からないが)、少なくとも松岡洋右や白鳥敏夫のようなナチスドイツとの同盟を強力に推進した人物が、靖国神社に合祀されることに不快感を表明されて、一定の判断を下されているのである。問題は、靖国神社が大東亜戦争の責任者と被害者を一緒にしていること、ならびに日本国を代表する首相が参拝していることが、対外的に誤解を招いているのである。

麻生太郎外相は、靖国神社を特殊法人化することを提案しているが、こちらの対応の方が小泉首相よりもまともである。

読売新聞によれば、麻生外相の

「見解は、「靖国神社の代替施設はあり得ない」とした上で、「靖国神社を可能な限り政治から遠ざけ、静ひつな祈りの場所として、未来永劫たもっていく」ことが必要だと強調した。具体的な解決策としては、〈1〉宗教法人としての靖国神社を自発的に解散し、いったん財団法人などへ移行する〈2〉最終的には国会で設置法をつくり、特殊法人とする〈3〉名称は例えば「靖国社(招魂社)」とする――などを提案した。手続きは、全国52か所の護国神社と一体で進めるべきだとしている。」(読売新聞8月8日)

もちろん特殊法人靖国社に、誰を祈念するのかは国会で議論されるのだろう。戦死者だけでなく、空襲で犠牲になった人なども広く含めるべきだろう。

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