読売新聞にマイケル・グリーン(Michael J. Green)米戦略国際問題研究所(CSIS)日本部長講演の記事があった。「小泉・ブッシュ後の日米同盟、日中韓の歴史認識がカギ(http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20060513i204.htm)」
5月12日にニューヨークの日本クラブで行われた講演に関する記事で、そのタイトルの通りの内容であった。(つまり小泉首相、ブッシュ大統領が退任後の日米同盟について、楽観的な展望を示しながらも、中国、韓国との歴史認識問題が影を落とす恐れがあると警告したということ。)
グリーン氏による、アメリカにおける「歴史問題」に関する多様な意見分布の分析が興味深かった。次の通りである。
「<1>靖国参拝も支持する強硬な反中右派<2>日本に中国、韓国との関係改善を望みつつも、米国の介入は事態を複雑にするとして控えるブッシュ政権<3>基本的に親日だが、日本の役割が重要だからこそ米国が介入すべきだとする民主党右派<4>日本に批判的で、日米安保を強化すると米国もアジアで孤立すると主張する民主党左派やニューヨーク・タイムズ紙の論説委員会」
確かに複雑な様相を呈している。
ところで、グリーン氏は、流ちょうな日本語を喋る米国で有数の知日派である。05年12月までホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)上級アジア部長。クリントン政権下でも国防総省の日本問題コンサルタントを務めた。日本の国会議員スタッフ(椎名素夫元議員)の経験もある。現在ジョージタウン大准教授を兼任している。
朝日新聞には彼のインタビューが載っている。
「信頼性ある抑止力、地域で示せ」(http://www.asahi.com/strategy/0427a2.html)
このタイトルは、日本の戦略はどうあるべきかというインタビュアーに対する第一の回答である。
「まず、信頼性のある抑止力を持つことだ。中国や北朝鮮が日本を見たときに、突き通すことはできないと思わせることだ。日米同盟の用途が広く、相互の信頼が固いことを示す必要もある」
「2番目は、理念に基づいた外交の展開だ。法の秩序や透明性、市民社会の実現を単に他国に要求するだけでなく、支援する必要がある。ただし、日本には経験がないうえ歴史問題を抱えているという障害がある」
「3番目には、日本がステークホルダー(利害共有者)として、世界銀行や国際通貨基金(IMF)といった国際機関を支え、より安定して公正で、持続可能な開発のできる国際社会を作り上げることだ。これが一層重要になってきている。こうした政策を実施することで、日本は自らを取り巻く環境を自分たちで形成できるようになる」
おそらく日米同盟を基軸に考える人にとっては、異論の少ないことが並べられている。やはり日本に対する対する期待は、経済面において「より安定して公正で、持続可能な開発のできる国際社会を作り上げること」なのである。もっともここでも2番目のところで、歴史問題について問題であることがそれとなく指摘がなされている。
他方中国に関しては、三つの問題を、グリーン氏はあげる。第一に、軍事力の増強が「偶発的紛争」の可能性を生み出していること、第二に、エネルギーへの渇望のために重商主義に走り、スーダンやミャンマーなど好ましくない政権を支援することに繋がっていること。第三に、他国の内政に干渉をしない『アジア・コミュニティー』の考えで、中国は自らを米国から守れると思っていること。
インタビュアーが、この問題は米中衝突に至るかと尋ねると、そんなことはないと否定して、
「米国の対中政策の柱は3本。まず武力行使を思いとどまらせ抑止しなければならない。次により大きな役割を果たしてほしいと伝え、実際の政策で示すことだ。最後に、中国の選択肢をこちらで作ることだ」
と答える。「中国の選択肢をこちらで作ることだ」というのが分かりにくい。どういうことなのであろうか?中国を「法の秩序や透明性、市民社会の実現」の方向に導くということなのであろうか?
5月12日にニューヨークの日本クラブで行われた講演に関する記事で、そのタイトルの通りの内容であった。(つまり小泉首相、ブッシュ大統領が退任後の日米同盟について、楽観的な展望を示しながらも、中国、韓国との歴史認識問題が影を落とす恐れがあると警告したということ。)
グリーン氏による、アメリカにおける「歴史問題」に関する多様な意見分布の分析が興味深かった。次の通りである。
「<1>靖国参拝も支持する強硬な反中右派<2>日本に中国、韓国との関係改善を望みつつも、米国の介入は事態を複雑にするとして控えるブッシュ政権<3>基本的に親日だが、日本の役割が重要だからこそ米国が介入すべきだとする民主党右派<4>日本に批判的で、日米安保を強化すると米国もアジアで孤立すると主張する民主党左派やニューヨーク・タイムズ紙の論説委員会」
確かに複雑な様相を呈している。
ところで、グリーン氏は、流ちょうな日本語を喋る米国で有数の知日派である。05年12月までホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)上級アジア部長。クリントン政権下でも国防総省の日本問題コンサルタントを務めた。日本の国会議員スタッフ(椎名素夫元議員)の経験もある。現在ジョージタウン大准教授を兼任している。
朝日新聞には彼のインタビューが載っている。
「信頼性ある抑止力、地域で示せ」(http://www.asahi.com/strategy/0427a2.html)
このタイトルは、日本の戦略はどうあるべきかというインタビュアーに対する第一の回答である。
「まず、信頼性のある抑止力を持つことだ。中国や北朝鮮が日本を見たときに、突き通すことはできないと思わせることだ。日米同盟の用途が広く、相互の信頼が固いことを示す必要もある」
「2番目は、理念に基づいた外交の展開だ。法の秩序や透明性、市民社会の実現を単に他国に要求するだけでなく、支援する必要がある。ただし、日本には経験がないうえ歴史問題を抱えているという障害がある」
「3番目には、日本がステークホルダー(利害共有者)として、世界銀行や国際通貨基金(IMF)といった国際機関を支え、より安定して公正で、持続可能な開発のできる国際社会を作り上げることだ。これが一層重要になってきている。こうした政策を実施することで、日本は自らを取り巻く環境を自分たちで形成できるようになる」
おそらく日米同盟を基軸に考える人にとっては、異論の少ないことが並べられている。やはり日本に対する対する期待は、経済面において「より安定して公正で、持続可能な開発のできる国際社会を作り上げること」なのである。もっともここでも2番目のところで、歴史問題について問題であることがそれとなく指摘がなされている。
他方中国に関しては、三つの問題を、グリーン氏はあげる。第一に、軍事力の増強が「偶発的紛争」の可能性を生み出していること、第二に、エネルギーへの渇望のために重商主義に走り、スーダンやミャンマーなど好ましくない政権を支援することに繋がっていること。第三に、他国の内政に干渉をしない『アジア・コミュニティー』の考えで、中国は自らを米国から守れると思っていること。
インタビュアーが、この問題は米中衝突に至るかと尋ねると、そんなことはないと否定して、
「米国の対中政策の柱は3本。まず武力行使を思いとどまらせ抑止しなければならない。次により大きな役割を果たしてほしいと伝え、実際の政策で示すことだ。最後に、中国の選択肢をこちらで作ることだ」
と答える。「中国の選択肢をこちらで作ることだ」というのが分かりにくい。どういうことなのであろうか?中国を「法の秩序や透明性、市民社会の実現」の方向に導くということなのであろうか?
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