秋田のむかし話/秋田県国語教育研究会編/日本標準/1974年
正直にして、まじめに働いていれば、いつでもいいごとあるもんだど。
じっこ、山さ小屋たてて、木切にいったそうだ。いっしょうけんめい切っているうち暗くなると、なにか きたような音がした。
ねこが三味線ひいていたそうだ。こんだ、むじな。いたち、きつねが いっしょうけんめい踊りだした。そして、おっかなくなって 小屋のすみっこにいる じっこに、おっかなくないから、戸を開けてくと言ったそうだ。そっと戸あけると、みんなにぎやかに踊りだした。じっこも面白くなって、一晩じゅう 踊った。夜が明けるとみんな踊りをやめて、また明日くるからといって帰っていった。
みんないなくなったあとには、たくさんの木が切って積んであった。一生懸命働いているじっこをみて、みんな手伝ったのだろう。
じつにシンプルな話だが、踊りの擬音語が何とも楽しい。
ねこは、「ニャンニャンコロリの ニャンコロリ。ニャンニャンコロリの ニャンコロリ。」
いたちは、「チャッチカ、チャッチャカ、チャッチャカ、チャ」
むじなのひょうしは、「むじなの はらたいこ スッデゴデン。むじなの はらたいこ。スッデゴデン」
おもわず マネしたくなります。 読むより聞いたほうが楽しそうなリズムです。