どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

そうべえごくらくへゆく

2018年02月27日 | 田島征三


     そうべえごくらくへゆく/作・絵:田島 征彦/童心社/1989年


 えらいこっちゃ えらいこっちゃと関西弁でテンポよく進んでいきます。子どもにも大うけで何度も読まされたという感想もあります。

 昔話にも、三人組が地獄で閻魔様をやりこめる話はありますが、地獄だけではなく極楽までいって大騒動。

 軽業師の「そうべえ」、山伏の「ふっかい」、医者の「ちくあん」の三人組、いった先はいった地獄。
 糞尿地獄に放り込まれそうになって、山伏の「ふっかい」が、うんこの池を凍らせると閻魔様まで氷にはまってしまって、三人組は極楽へ。

 極楽は地獄の目の前。

 えらいこっちゃ えらいこっちゃと極楽浄土でひと踊りしていると、阿弥陀様から極楽は静かにしているところとお目玉。

 好きなことをして遊ぼうと阿弥陀様をにおいの眠り薬で眠らせ、鳴り物入りで、そうべえ おんど。

 効くのも早いがさめるのも早い薬。目が覚めた阿弥陀様から地獄行きのご宣託。地獄行きの間まで、牢屋にはいった三人組。

 そこであったのは絵描きの「ゆきえもん」。極楽では働くこともまかりならんのに、絵をかいて、おまけに阿弥陀様を不細工にかいてしまって牢屋送り。

 「そうべえ」が縄ぬけしようとすると、何と千両箱の山。「ふっかい」がマッチ箱の大きさにしてもってかえろうとすると、千両箱が小さくなるどころか、大きくなって牢屋の壁がこわれて外へ。

 外に出てみるとそこは美しい花園。阿弥陀様が花の蜜をのみながら宴会。

 4人組は花からお酒をつくり、のみなはれのみ、のみなはれ。ぐーつとのみなはれ、気持ちよくなって花の上で踊っていると、阿弥陀さんと閻魔様までが踊りながら・・・。

 極楽に牢屋があるのは、極楽も安寧ではなさそう。さらに千両箱がどっさり積まれているのは極楽に入るための賄賂かな。地獄の沙汰も金次第ならぬ、極楽の沙汰も金次第。

 糞尿地獄。集団食中毒で、おなかをこわして しんできたものたちが、ぴちぴち ぴちぴち、ぎょうさん ひりだしましたによって、糞尿地獄は、ちょうど ぐあいように なっとります と、現代風。

 有無を言わせないテンポで小気味よいのですが、このあとどうなるの?と気をもませます。


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