ペーテルおじさん/エルサ・ベスコフ:作・絵 石井 登志子・訳/フェリシモ出版/2002年
やさしい気持ちになれる絵本でしょうか。
ペーテルおじさんは、たくさんの言葉が話せ、近くの港に珍しい国の人がやってくると通訳になり、おじさんが話をはじめるとと、ぼくたちはじっと話にききいります。
それだけでなく、楽器も演奏し、とりのさえずりもできます。船を作ってくれたり、動物のお医者さんにも早変わり。時計もドアの鍵がつぶれたのも直します。
でもだれもお金をはらうことは考えず、おじさんとこころのこもった握手をするだけ。
ところがおじさんのところへ立派な身なりの役人が来て、ぺーテルおじさんのたおれそうな家をとりこわすというのです。
子どもたちは、おじさんの家を直そうと、たくさんのレンガや材木をあつめ、大人と一緒に家の修理をはじめます。
釘を打ち付け、鉋をかけ、屋根には赤い瓦、鳩小屋、鍛冶屋さんは風見を取りつけ、花模様の壁紙を貼って、ペンキも塗って。
できあがると、みんないろいろなものを持ち寄ってお祝いがはじまります。
人と人の絆はお金にはかえられません。困ったことがあると助けてくれるのは、まわりの人たちです。
「ペンキ屋さんになったルッレ」が、おじさんがなくなったあとも、おじさんの家に、ときどき色をぬって、まるで灯台のように輝いているというエンデイングも、ペーテルおじさんの存在をいつまでも忘れないというメッセージです。
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