ヤングさんのオーケストラ/なかえよしを・作 小池敏彦・絵/ポプラ社/2022年
新聞記者の取材で、有名なオーケストラの指揮者ヤングさんは、自分が指揮者になった理由を思い出していきます。
コンクルールでの優勝、音楽学校にはいったこと、楽器をかってもらったことがきっかけと、ひとつひとつ過去を思い出しているうちに、原点になった出来事を思い出します。
それは、公園で ひとり ヴァイオリンをひいている おばあさんに であったことでした。おばあさんは自分で作った曲をおしえてくれ、音楽のすばらしさおしえてくれたのでした。そのとき、大人になったら、立派な音楽家になって おばあさんにきかせてあげるって、約束したことをヤングさんは、思い出します。
忘れていた約束をはたすため、ヤングさんは、おばあさんを探しはじめますが、何十年もたっていて、行方はしれませんでした。あきらめてかけていたとき、おばあさんのいるところが わかりました。
おばあさんは、何年も入院していたのです。ひとりきりの おばあさんのところへお見舞いにくる人はだれもいませんでした。
ある日、おばあさんの耳に 聞き覚えのある なつかしい 音楽がきこえてきました。窓をあけてみると オーケストラが 演奏していました。そう、ヤングさんが 約束を 得意そうに はたしているところでした。
感動的な結末は、まるで映画でも見ているよう。
あれがなかったら、これがなかったらと考えるより、あんな出会い、こんな出会いがあったから、いまがあると考えたい。
舞台は外国ですが、日本だと表現しにくいのでしょうか。