おおかみの おなかの なかで/マック・バーネット、文 ジョン・クラッセン・絵 なかがわ ちひろ・訳/徳間書店/2018年
ある朝、ねずみが、おおかみにぱくっと食べられてしまいました。ねずみが まっくらなおおかみのおなかのなかで、「いっかんの おわりだ」と、ないていると、「しずかにしてくれよ!」と、どなり声。ろうそくのあかりに うかびあがったのは、ベッドで寝ているあひる。
テーブルとイスがあり、食卓にはパンもジャムもならんでいます。ほしいものは、チーズでもワインでも、まるごとおおかみに、飲み込ませます。おおかみは、自分のおなかの声をしんじていました。
おおかみのおなかのなかには、料理器具もそろっていて、食事も作ります。
「でも やっぱり そとのせかいに もどりたい」というねずみに、あひるは、「いや、ぜーんぜん!そとにいたときは、いつ、おおかみに ぱっくと食べられるかって びくびくしていたけれど、ここなら しんぱいいらない。」といいます。
なるほどと、ねずみも納得し、ねずみとあひるの奇妙なくらしがはじまります。
ところが、狩人がやってきて、おおかみはあわや絶体絶命のピンチにおちいります・・。
ナンセンスと言ってしまえばそれまでですが、おおかみのおなかのなか、なかなか暮らしやすそうですよ。ただ、窓がないので、時間の管理はどうしていたのか心配になりました。
なかなか味わい深い絵で、ねずみとあひるが、すみかを守ろうと鍋をかぶって狩人に立ち向かう格好も楽めました。