どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

竜宮のおみやげもいろいろ

2018年03月07日 | 昔話(日本)

 竜宮で乙姫様からもらうおみやげもいろいろ。

竜宮ねずみ(語りつぎたい日本の昔話3/小澤昔ばなし大学再話研究会 /小峰書店/2011年)

 亀を助けた薬売りが、乙姫さまから小判を生むねずみをもらって家に帰りますが、必要以上に米を食べたねずみが破裂し、そのときに佐渡ヶ島ができたという話。
 江戸時代には金の産地として有名だった佐渡ヶ島を象徴しているのかもしれません。

 この話で、乙姫様が最初に提案したのが、一度食べれば死ぬまでお腹がすかないお膳。次に一度食べれば一年の間お腹がすかないお膳です。

 一度食べれば当分食べなくてもいいというのも、人間にとっては味気ないもの。


竜宮のつぼ(沖縄昔ばなしの世界/石川きよ子・編/沖縄文化社/1991年)

 瑠璃のつぼにはいっているお酒。このお酒を飲むと、老人は若返り、病気の人は健康になるという不思議なお酒。

 うわさがひろがって、島のあちこちから酒をわけてほしいという人がやってきます。金に糸目はつけないという金持ちもでてきます。

 漁師が金持ちになると、すっかり人がかわり、死にそうな人がいるので酒をわけてくださいと言われても、冷たく追い返します。

 そのうち人の顔をみるのがいやになって、漁師はつぼを庭石に投げつけてしまいます。するとつぼが白鳥に姿をかえ、とんでいってしまいます。
 そして御殿のような屋敷は、あとかたもなく消え失せます。

 金持ちになると人間がかわってしまうというのも人間。昔話には人間の真実が含まれています。


竜宮のおみやげ(百曲がりのカッパ/世界のむかし話⑫ 百曲がりのカッパ/松谷みよ子・作 梶山俊夫・画/学校図書/1984年初版)

 与左ヱ門がもちかえったのは”水のたね”でした。

 川のそばで子どもらに追いかけられていた白いへびを助けた与左ヱ門が、竜宮の乙姫から声をかけられ竜宮へ。
 ごちそうやらのみものはたべきらんほど、きれいなむすめさんらが、舞をまったり、琴を弾いたりしてくれて、ええきもちで暮らしていた与左ヱ門。

 遊んで暮らすのも辛抱がいることで、飽きてきた与左ヱ門、畑も心配になったので帰ることにすると、乙姫さんは、なんでもすきなものをあげるという。
 宝の倉に案内され、目についたのが”水のたね”のとっくりでした。乙姫さんがとっくりを持たせてくれたと思ったら、目が覚めた与左ヱ門。

 えらい夢をみたもんじゃ、お参りをしていこうかと明神さまのところへ。、
 明神さんの祠にあったのは、”水のたね”のとっくり。

 与左衛門がすんでいる村は水の便が悪く、田がつくれず貧しく暮らしていたのですが、このとっくりをかたむけてみるとトクトクトクと、水があふれでて見る間に沼がひとつでき、それでも水はとまらず、みるまに四十八の沼ができます。

 水がでず、苦しむ村の願望を反映しているようです。

 農作業に水は不可欠なもの。
 水の便の悪い村の願いがこめられているようで、竜宮ものでもストンとくる話です。

 海ではなく川、いじめられていたのは亀でなく白いヘビです。
 乙姫さまは川で遊ぶこともあったんですね!。