話を選ぶとき、聞いて楽しかったので、その話をしてみたいと思う人も多いようですが、 イギリスの「かしこいモリー」(エパミナンダス 愛蔵版おはなしのろうそく1/松岡享子・訳/東京子ども図書館編/2004年)もその一つでしょうか。
モリーにくらべると、「小便小僧のピンケル」(スウエーデンの森の昔話/編絵 アンナ・クララ・テイードホエルム 訳・うらた あつこ/ラトルズ/2008年初版)は聞いたことがありませんが、話型は同じです。
モリーの方は三人姉妹ですが、スウエーデン版は三人兄弟。
モリーもピンケルも末っ子。なぜ小便小僧とよばれていたかは訳の中でははっきりしません。
モリーの方は三人姉妹が森に捨てられるところからはじまりますが、ピンケルは母親から自分の力で幸運をつかんでおくれといわれ旅にでます。
人食い鬼の大男のところに、泊まり込んだ三人姉妹。
大男に殺されそうになるが、大男の三人姉妹がしていた金の鎖と自分たちのわら縄を取り換えて難をのがれる。
モリーたちは王さまのところにいくが、王さまから大男のもっている刀、財布、指輪をもってくるようにいわれ、それをなしとげる。
一方、ピンケルたちがころがりこんだのはトロルの家。ここにはおばあさんと娘。
スウエーデン版では、すぐにトロルのところから去って、王さまのところにいく。
ピンケルはすぐ王さまのお気に入りになるが、それをねたんだ二人の兄は王さまに入れ知恵する。しかしピンケルは、ランプ、金の角をもつオスヤギ、金の刺繍してある毛皮のコートをトロルのところから持ち出すことに成功します。
どちらも大男やトロルのところに3回でかけますが、このあたりのやりとりはスウエーデン版のほうが詳しく、テンポもリズミカル。
モリーは三人姉妹があらそうことはないが、ピンケルの方は兄たちが弟を困らせやろうと画策するあたりが特徴になっている。
逃げ出すのに、モリーの方は「髪の毛一本橋」が決め手になるが、ピンケルの方は舟で逃げ出す。
イギリス版では人食い鬼の大男、スウエーデン版はトロルといずれもおなじみのキャラクター。
ここでのトロルはちっとも恐ろしくなく主人公の引き立て役です。