布屋忠次郎日記

布屋忠次郎こと坂井信生の日記

自分の町がテロにあったらどうします?

2008-03-07 20:55:35 | ニュース
たとえば街の中で、人質を盾に銃を乱射している男がいるとします。警察は遠巻きに囲み説得を続けるだけ。その間にも男の銃弾によって周囲の建物は被害を受け、住民にも死傷者が出始めている。

…こんな光景がTVで流れたら、どう思いますか?

A:話せばわからないはずがない。どれだけ周囲の市民に犠牲者が出ようと説得を続けるべき。
B:たった一人を相手に警察が銃を持って囲んでるのが悪い。まず警察が手を引くべき。
C:発砲を止めさせることが最優先で、そのためなら警察は実力行使に出るべき。もしも人質が犠牲になっても、ある程度はしかたない。

イスラエル軍のパレスティナ武装組織に対する行動を批判するのは、AやBとまったく同じことを言ってるわけです。
上の例で、「警察」はイスラエル、「銃を撃ちまくる男」はパレスティナの武装組織、「周囲の市民」はイスラエルの一般市民、「人質」は武装組織以外のパレスティナの一般市民をたとえてみました。

私が思うに、AもBも論外でしょう。
一方、今回のイスラエルのガザ侵攻はまさにCというわけですが、実際に多数の人質(パレスティナ市民)が犠牲になっていて大問題です。

じゃあ、他の選択肢はあるのかというと、それで世界中が頭を抱えているわけですね。

イスラエルの決断を非難するのは簡単です。私だってイスラエルを支持するわけにはいきません。
ではイスラエルを非難する人は「イスラエル市民は死ね」というのでしょうか。イスラエル首相の来日に反対していた人や、パレスティナ側に立って活動していてイスラエルの撃ったゴム弾で負傷した邦人などは、パレスティナ市民のためにという姿勢は貴いけれど、パレスティナ側からロケット弾を撃ち込まれ続けているイスラエル市民の人権は認めない差別主義者とも言えてしまいます。

ここで「問題はわかったけど、とにかく解決するまでイスラエルは手を引け」というのはAやBと同じことを言ってるのです。
も少し具体的にすると、「警察」は「周囲の市民」の安全に責任があり、「男」を止めることと「人質」の安全とは、西岸地域の自治政府や、ガザを支配した武装テロ組織ハマスにあると言えます。イスラエルは、国際社会の求めにより、とっくにガザから撤退していました。そのガザからイスラエルの市民を狙ってロケット弾攻撃が続けられているというのは、ガザがイスラエルに先制攻撃をしたのです。
考えてもみてください。あなたの町に、一日に70発もロケット弾が打ち込まれて、それで国が何もしなかったらどう思いますか?
実際、ガザ地区に近い町スデロットはそういう状況です。「市民がふつーに暮らしてる街」がそうなんです。イスラエルのガザ地区撤退以後、同地区から一般市民を狙って撃ち込まれたロケット弾は4000発を超えています。
あなたの街がそのようなことになっていて、それでもAを選べますか?
だからといって私はCを支持しているわけではありません。私も、どうすれば解決されるのかわかりません。ただ、日本の報道は、ガザ市民への同情のあまり、ガザを支配する武装組織の広告塔になっているということは知っておくべきかと思います。
それに、Aで「話せばわからないはずがない」と書きましたが、イスラエルに敵対する国や勢力は「イスラエルが存在するのがいけない。滅ぼすまで戦う」と言っているのです。イスラエル軍が攻撃をやめればという話ではないのだから、Bもありません。相手を皆殺しに殺しつくしすまでやめるつもりはない、話し合う気がそもそもない。いえ、自治政府のアッバス議長には(条件さえ折り合えば)テーブルに着く気はあったようですが、自治政府はガザの治安になんの力も持っていないのです。

ガザの市民と、イスラエルの市民に、神の守護がありますように。
イスラエル撤退後のガザに責任を負うはずだったEUが、責任を思い出しますように。
ガザの市民を盾にしてイスラエル市民を殲滅しようと攻撃し続けるハマスが、せめてイスラム教指導者たちの声に耳をかたむけますように。

ユダヤもイスラムもキリスト教徒も、エルサレムを愛する人々に平和がありますように。