ノリの東京の友人の生きる糧(福岡編)

日々のちょっとした楽しみや悲しみを徒然に語ります。

藤沢映画では上位に入る作品 ~ 花のあと ~

2010年03月21日 | 映画
 私は藤沢周平先生の人情味あふれる時代劇小説が大好きなので、その映画化作品(以下:藤沢映画)は必ず映画館に観に行くことに決めています。どの作品も必ず東北地方の美しい自然が出てくるので、大きなスクリーンで観るのに適していますからね。

 しかし、今までの作品は『隠し剣 鬼の爪』以外は、必要以上にナレーションが入ったり、カット割や演出が悪かったりして、原作の持つ細かい心理描写や情景描写を活かしきれていない気がして、鑑賞後の満足度は最大値に達していませんでした(どの作品も悪くはないのですが・・・)。

 そんな感じで私には少し不満のある今までの藤沢映画ですが、昨日観た北川景子さん主演の『花のあと』は『隠し剣 鬼の爪』に匹敵するくらい鑑賞後に清清しさを感じることができた秀作でした。カット割もナレーションも不満はありません。本当に丁寧に作られていましたね。久しぶりにラストで背筋がビリビリ震えました(私が感動した印です)。

 尚、本作でもラストに原作通りにナレーションが入りましたが、その後に無言の微笑ましいシーンが長めに挿入されていたので、『たそがれ清兵衛』のラストで感じた「このナレーション邪魔。下手な終わらせ方だなぁ。」と言う感想は持ちませんでした。良いエンディングのカット割と演出でした。

 さて、本作ですが、映画の冒頭から見慣れない北川さんの日本髪と感情を押し殺した演技に違和感を覚えて「今回も演出の失敗パターンか。」と少しガッカリしていたのですが、北川さんが女剣士の服装に着替えてからは見違えるようにスクリーンが締まりました。前髪を垂らした北川さんは私が知っているいつもの美しい北川さんでした。特にラストシーンの北川さんの横顔はスクリーン映えする美しい穏やかな表情でしたね。最初の無表情さは演出だったようです。

 物語は、北川さん扮する位の高い武家の一人娘が、無念の死を遂げた初恋相手の仇を討つ話なのですが、原作にはないハラハラする要素や、他の登場人物の描写を加えたりしていたので深みのある物語になっていました(原作では主人公は美人ではないのですが、今回北川さんを抜擢したのは成功ですね)。2時間の上映時間があっと言う間でした。

 共演者も、演技の上手い國村隼さんや市川亀治郎さんが脇を固めていたので安心して観ることができました。
 その中でも、北川さん演じる主人公の婚約者を演じた甲本雅裕さんと、初恋の相手を演じたバレエダンサーの宮尾俊太郎さんの演技は素晴らしかったですね。一見頼りなさそうに見えて底の見えない男と、剣の達人が醸し出す芯の通った男をお二人は上手く演じていました。感情をあまり顔に出さない役を演じていた北川さんをうまくサポートしていた感じです。

 以上が『花のあと』の感想です。
 私の評価は☆4つです。本作は藤沢映画では『隠し剣 鬼の爪』に次ぐ2番目に好きな作品になりました。

 一昨年の田中麗奈さん主演の『山桜』、今年の北川景子さん主演の『花のあと』と、1年おきに女性が主人公の藤沢作品が映画化されています。2作品とも上映館は少ないのですが評判は良いようなので、再来年も女性が主人公の藤沢映画が作られるといいですね。
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