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西山よしおからのメッセージ

愛知県津島市、市議会議員としてこの地域の将来を考え、皆さんの意見を取り入れ、還元できる方法を提言できる場にいたします。 

議案74号、「1市民(人格者)のご指摘・問い合わせ」に関して(重複部分・一部カット)

2012-02-14 11:05:13 | Weblog

議案第74号「高齢者の福祉施設条例の一部改正について」、いわゆる「老人デイサービス事業の廃止」については反対の意思表明をしました。

この結果を出すまでに、私は厚生病院委員会の委員長として、様々な現場を歩き意見を聞き、今回は、どうしても市長はじめ行政当局とは異なる考えであり、当初はブレルこともありましたが、これも市の高齢介護課はじめ社会福祉協議会、そこの利用者と家族、働いてみえるスタッフ(ケースワーカー)、民間のデイサービス事業者(複数の友人)とも論議を重ねた結果、受け入れがたい疑問点がありました。

以下、反対の理由です。

(1)、先ず、自治体が「高齢者のデイサービス事業」を廃止し、公としての役割を終えたという市長の発言に疑問を感じた訳です。

昭和38年に老人福祉法が制定されてから、次から次へとめまぐるしく変わり、当時、介護保険制度が開始され、介護システムが不備のままに、いきなりこの事業が民間に開放され、「作業効率」に力点が置かれたこと。「官」の仕事をそっくりそのまま「民」が引き継いだ結果、現場で実践する職員に戸惑いもありました。今ではこんなことはないと云うのですが、一方では高齢者に対する虐待も囁かれています。

介護者側の都合が優先し、人手を省くやり方。食事・排泄・入浴介助等、作業ごとの保険点数は丁寧にやろうが機械的に手早くやろうが同じであり、同じ報酬ならば手間いらず・効率よくこなすのがヨシ。かくしてベルトコンベアーで運ばれるように、暴れるため、時には縛られ、元気な老人も睡眠薬で昏睡、オムツと流動食、薬漬けの現実がありました。そこにはもう人としての尊厳もありません。従って今でも官民問わず、施設で働く人々には「新しく制定される制度や仕組みを市民たる利用者のために、どうすれば、質の高いサービス提供とこれを効果的に実践できるか」と云う戦術的方法が要求されます。逆に言い換えると市民の中にも、新しくなる仕組みのせいでサービスも受けられないと云う事態が生じて来ます。公共性のあるサービス事業を民間に丸投げできるまでの土壌がまだ整っていないと見ています。

そして、「高齢者デイサービス事業」にはなくてはならぬ要件の一つに「チームワーク」があります。単なる職員間の協力の仕方でなく、チームワークの在り方をもう一度検証し、現場では互いに自分の職務と使命を積極的に開示し、職種の異なる分野も理解していく。それが利用者の役に立つシステム、現場でのチームワークの持つ意味と目的を民間事業者にも知らしめるのが、公の指導的役割・仕事である。

(2)、利用者にも「儲かる人」と「儲からない人」がいる。「官」のすべきことは貧困高齢者の手助けを必要とするシステム(セーフティーネット)を構築する事、安く施設に入れるように枠組みを作り、「民」には介護保険料を引き上げてもらう事、要するに、儲かる事業は「民」、儲からない事業は「官」でやればイイと云う事か。高齢社会はこれからも続きます。環境が十分整っていると云う市長の判断基準そのものが曖昧で、コスト削減を優先する「ムダ・廃止ありき」でスタートした条例改正に思えて仕方ないのです。

介護事業施設の「量」の問題でなく「質」の向上の問題であり、実際見てきた介護現場でも恵まれた環境にある高齢者がいるのも事実。

「介護サービス」の概念が徹底され、高齢者に対する「気配り」・「心」がある介護現場もある。このように、どこに住んでも市民のニーズに対し、同じようなサービスが受けられる状況が出現すればイイのですが、これからは極めて厳しいものがあり、だからこそ「民間に(官から民へ)すべてを託してみては」と云う意見も多くあります。

国・地方の予算が潤沢にあって効果的な社会資源が配置され、地域格差も無く、利用者の要求にすべて答えることが出来れば最高なんですが。高齢者の医療費増大と云う状況下、今後、最も重要視されるのは「生活の自立・地域社会における生活の確立」です。病院でも不採算事業だからと云ってこの診療科を切り捨てるのも抵抗があるハズ。

デイサービスの利用者が、本来は介護を必要とする方の制度なんですが、「天気のいい日は畑仕事に精を出している」・「利用者間のトラブル」と云った本末転倒な事例も聞きました。まだまだ市民には浸透していないデイサービス事業の理念がここにあると思います。市民に正しく理解してもらうよう努めるのも公の仕事であります。事業廃止後のフォローと云っても具体的に「何をどうする」と云った根拠や確実性はどこにもなく、約束された訳ではありません。行政の福祉に対する後退や公的責任を放棄する事があってはならぬと考える次第。今後も「新しいサービス体系」としてのデイサービス事業が求められてきます。地域密着型サービスや予防重視型システムへの転換を図るために新予防給付が創設されました。そのためにも、行政は絶えず「利用者が何を求めているか」と云うニーズを考え、民間を指導・監督する立場にあり、そのためにも地域全体のデイサービス事業を把握する必要もあります。止めるのはそれからでも遅くはないが?

 

(3)、「介護福祉について」の無知が引き起こす事がないよう、行政側に「時代の要請に適宜対応しながら、利用者の意思の尊重、安心・安楽な生活の権利の保証」を周知徹底するのが私の務めです。

津島市議会議員   西山 よしお