白洲 正子文学逍遥記

故・白洲正子様の執筆された作品を読み、その読後感と併せて能楽と能面、仏像と仏像彫刻、日本人形、日本伝統美術についてご紹介

白洲正子文学逍遥記ー「十一面観音巡礼」編-再開04

2015-11-06 | 日本の伝統芸術

 

白洲正子文学逍遥記

十一面観音巡礼」編

再開-004

 

 円空・木食について-001

 

 

 

最近の本州辺りの方々の仏像彫刻への人気がどの程度なのかは、

奄美の離島に5年程も住んでいると詳しくは分かりかねますが、

趣味のレベルの方々も含めて、現在も多くの方の人気が継続しているものと思います。

 

故・松久朋琳師に因む作品

    

 

木質の仏像彫刻というと、京都の故・松久朋琳師、宗琳師が主催していた、

慶派等の正統派の彫刻家集団に由来するよう作品群を思い起こします。

 見た目にも美しく端正で、高度な技量が必要な作品群。

天平以来の日本の仏像彫刻の伝統でした。

 

 

 「白洲正子著・十一面観音巡礼」の最後の方に至って、円空佛の記述が出てきます。

 

円空佛

   

 

一見して何方でもすぐわかる特徴を備えた仏像群です。

見た目には簡単そうで、素人でも簡単に彫刻できそうな感じですが・・

故・松久朋琳師も一時期はそのような判断をしたようですが、

すぐに円空の素晴らしさを理解されたようです。

 

 

通常仏像彫刻は何十種類もの、鑿、小刀、諸道具を使用して、

長時間を掛けて製作されるののです。一夜で簡単に制作は到底出来ません。

江戸時代のある時期、 日本各地を巡り、多くの仏像・神像を刻んだ

円空(1632-1695年)と木喰(1718-1810年)という修行僧が居りました。

北は北海道から南は九州までと日本全国を歩き、

旅先で鉈一丁で仏像を短時間で彫り上げるという彫刻作業でした。

皆さんも結構実際に展覧会で御覧になった経験が多いと思います。

 

鉈彫り 

宝城坊薬師三尊像 

       

 

「宝城坊日向薬師・薬師三尊像」は非常に有名な鉈彫りの名品です。

これらは平安時代の仏像彫刻群で、江戸時代とは時間的に大きく隔たっています。

見た目には同じようにも見えなくありません。完成品ではないように見えるからです。

しかし、実際はそうではないようです。一言でいうと「様式美」でしょう。

円空・木食佛も未完成ではなく、これは完成した様式なのでしょう。

鉈彫り佛はワザと彫り後を残すという大きな特徴があります。

 

仏像の側面(鉈彫りと円空佛

    

 

円空佛は特にザックリとした木の断ち方に、大きな特徴があります。

音楽と同じような意味での「現代音楽的彫刻法」とでも言えるような・・

 

 

 彫刻を鉈一本で、極めて短時間で作成し、それ自体が修行であるという、

従来の専門仏師とは全く違った制作環境。

故・松久朋琳師はそれを見抜いたのでしょう。

 立木佛、鉈彫り、円空・木食佛には本来的に異質な背景を垣間見ることが出来ます。

白洲正子様もそれを岐阜や近江の山中で見抜いたのでしょうか。

円空佛

 

 

 次回は「十一面観音巡礼」に出来るだけ沿って、 立木佛、鉈彫り、円空・木食佛

について書いてみましょう。

 

 

市松人形

 

 

青い目の人形と抱き人形

   

 

今週は私用(秋の畑作業)で短いブログとなりました。

カチンカチンの畑でサツマイモ堀と天地返し作業が続きます。

詳細は「Newサワラちゃんの加計呂麻島日記」 

次回は11/13金曜)です。

 

  

 

 

 

「Newサワラちゃんの加計呂麻島日記」

 

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