のびたとブレイク

生き生きと第三の人生を歩んでいます
うたごえ ウォーキング 川柳 ベランダ栽培など楽しんでいます

言葉を失っている彼女を見続けて

2012年06月21日 08時48分52秒 | ボランティア

この施設へ毎月 音楽訪問を続けて数年になる
認知症の方が目立ち 何から初めて良いか当初は戸惑った
他のボランティア団体も あまり訪れている様子は無い

音楽 とりわけ歌は たとえ認知症が進んでも 何らかの反応がある
仮に 個人的に対応していければ 程度が軽ければ改善もありうる
歌の持つ 秘めた力で 日常生活を取り戻した例もある

それが音楽療法であり 私も素人なりに信じて意思を強くして通う
ただ介護施設は こういう方ばかりではない
介護状態にはあるが 歌を楽しみにしている方も多く居る

自らが声を出す 歌う 歌うみんなに参加する
これが楽しさになり 心の癒しにもなってくる
自然にこぼれる笑顔が 爽やかに感じることさえある

こんなことを話し合いながら 施設のスタッフの協力も変わってきた
真剣に対応して お手伝いをしてくれたり 盛り上げたりしてくれる
この姿勢が 私も素直に 嬉しいし感謝でもある

男性の方は 比較的 雰囲気に溶け込まない
気難しい顔をされている方もある
歌に参加していない方も居る

私はいつも 皆さんの唇や手指の動きを見ながら伴奏する
声は出ていないが 心で歌っているなと 分る
私の顔を見ている方には 時々眼で会話する

楽しいですか 今日も元気そうですね 
ちゃんと 皆さんを見ていますよ
眼が会うと 子供のように嬉しそうに笑顔が浮かぶ

終わってから 何人かと握手する
歌っていなかった男性に 来月また来るねと言ったら 来月ねと応える
発音が発声が難しそうだった
歌って居ないのではなく 歌えないのだ

私を凝視し続ける女性が居る
瞬きも殆どせずに 眼をそらさない
歌の途中でも 私は 時折この方へ眼を遣る
どうか 心に届きますように

昨日も握手すると 強く握ってくる
何かを言いたい もどかしげにも見える
あと一息 一息だよ 声を発して ね・・・・・

通いだして数年 一度だけ 声を聴いた
ありがとう・・・・
手が冷たいねと 両手で包んだら 心なしか笑顔があった




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