4-2-3-1―サッカーを戦術から理解する (光文社新書 343)
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4-2-3-1―サッカーを戦術から理解する / 杉山 茂樹 (光文社新書)
自分も含めてなのですが、プレイヤー出身じゃない人間でもハーコーな中毒者を生み出してしまう競技はフットボール以外にあまり無いですね。サッカーファンにはお馴染みのライター杉山 茂樹著のこの本のテーマはタイトルどおり、ズバリ「戦術論」!
過去ここまで「戦術=布陣」の分析と検証を丁寧にまとめたサッカー本は無かったのでは。個人的には月イチでフットサルやっているといえ、あくまでも観戦に重きを置く側なので「なるほどね~」と思いながら読みました。
非常にわかりやすく、かつマニアックに解説していて古きはサッキのプレシッングサッカーとカペッロの比較検証から近年のCLでは伝説の名勝負"イスタンブールの奇跡"こと「ミランvsリバプール」戦の分析などサッカーヲタには垂涎ものの戦術本。
文中で度々出てくる著書の見解で、なるほど同感だなと思ったのが日本における布陣/ポジションの考え方があくまで前線(FW)/中盤(OMF=ゲームメーカー)/守備(DF=守り)と3ラインで布陣をデザインし役割をあまりにも紋切り型に切り過ぎているという指摘。これはつまり日本語(日本人)の解釈が問題なんだろう。
確かに近年の世界標準では「4-2-2-2」とか「4-2-3-1」など4分割でのデザインが通常だし、中盤も「ボランチ」なんて言葉は死語というか出てこない。バラック、ジェラード、ランパード、セスク、彼らは「ボランチ」でも「司令塔」なんて呼ばれてないでしょう。日本語によるポジションのキャラクター付けが特異であり誤りであることは明確。
結びで岡田監督への不安を指摘しているのは戦術に精通し欧州の最前線を常にウォッチしている著者からすると当然なのだろう。「サッカーは戦術でするものではない」とは本文中の言葉だが「戦術」を知らない人間にはその言葉を言う資格はないのだろうね。
4-2-3-1―サッカーを戦術から理解する (光文社新書 343)