先日の記事、「アフリカの独立記念日～事情いろいろ」で述べたとおり、目下、アフリカの独立記念日ラッシュ中。飛び石「旗日」の第二弾、きょう53回目の独立記念日を迎えるのは、ニジェールだ。
西アフリカの内陸国、人口が約1,600万人。127万平方キロメートルの面積は、ほぼ隣国チャド、マリと同じくらい。といってもなかなか見当がつかない。日本の約3.4倍、フランスの約2倍の面積をもつ。
この国土のほとんどが砂漠、あるいはドバク（土漠）だ。とにかく乾いている。ニアメに飛行機が進路を進めていくと、大地の色はどんどん赤茶けたラテライトに覆われていく。首都ニアメつくと、緑の量が本当に限られているのがわかる。
おなじ砂漠でも、モーリタニアとは大きく異なる。あそこは本当に砂の中に街が埋れている（？！）。風景が白い。ニジェールは、茶色い。
（ニジェール・首都ニアメの風景）
（ちなみにモーリタニア・首都ヌアクショットの風景）
そして暑い。最も暑いのは3月後半～4月頃。灼熱の太陽が大地を照らし、この数カ月、夜を通して40度を下らない。
私がダカールに駐在していた2007年の話。バカンスの行き先として、パリでも、東京でもなく、ニジェールを選択した。当時、セネガル航空でパリまでが60万セーファー（12万円）、ニアメが55万セーファー（11万円）。しかも最暑、灼熱の4月。ニジェールで一番暑い時期を狙っていった。暑さと乾きを、この自分の体で体験したかったのだ。
砂漠の中、満天の星空で寝ることを夢見て、砂漠のキャラバンツアーに行く予定であったが、治安上の理由から踏みとどまるよう周囲から説得された。
結局、ベナン、ブルキナ国境に位置するサファリパーク、「W公園」（Parc W）に行くことにした。この地でニジェール川がW状に蛇行するところから名付けられた。
宿泊はキャンプサイト。テントはあるが、暑くて中ではねられない。ベットを外に出して、蚊帳を吊り、動物の鳴き声を遠くに聞きながら、満天の星空を見て眠りについた。というか、あつくて眠りつけなかった笑。生涯忘れ得ない、暑くて、でもステキな夜だった。
さて、そのニジェール。最近の気候変動で砂漠化がさらに進行し、頻繁に干ばつの危機に瀕している。2011年干ばつによる食糧危機では、640万人、実に半数以上が食糧危機のリスクに晒されていたということになる。ところがひとたび雨が降ると大洪水が発生する。砂漠のど真ん中、アガデズでも洪水被害が深刻化した。また生態系のバランスにも影響し、サバクトビバッタが大量発生し、農作物にさらに深刻な被害を与えるなど、まさに「脆弱国」という様相だ。
（ニジェール川に沈む夕日）
当の住民の顔に悲壮感や絶望感はあまり感じられない。厳しい中でも、苦悩と宿命を受け入れ、家族と部族の絆を基礎に、楽天的に生活を営んできた。そこに暮らす部族は争いを好まず、異なる部族や宗教を超えて共存してきた。私はよく、「貧しい中でも、宗教、民族を超えて、一つのパンを分け合って暮らす世界」と表現するが、それは今も基本的には変わっていない。
しかし昨今、そこにイスラム聖戦主義者の侵入、トゥアレグ族の蜂起、マリ情勢の悪化、ナイジェリア系イスラムセクトの活動活発化など、この国の治安に深刻な影響を及ぼす事態が生じている。このことは、近く皆様にまとまった形での論説をご紹介することになると思うので、ここでは深くは立ち入らない。
次回は歴史を振り返り、そしていまニジェールが直面する危機について述べてみたい。
（あさっての記事につづく）
◆サヘル情勢シリーズ
マリ大統領選挙の展望～NHK国際放送ラジオ、ンボテ飯村出演！
※視聴は8/3までです！
マリ大統領選挙速報（2）～IBK優勢、決戦投票は？
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軍事パレード学（後編）～14 juilletにみるサヘル情勢
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◆独立記念日・ナショナルデーシリーズ
アフリカの独立記念日～いろいろな事情
ベナン
フランス
・'Le 14 juillet'にみるアフリカとフランス
・14 juilletにみるサヘル情勢（前編）
・14 juilletにみるサヘル情勢（後編）
コンゴ民主共和国
・第一話
・第二話
・第三話
トーゴ
カメルーン
西アフリカの内陸国、人口が約1,600万人。127万平方キロメートルの面積は、ほぼ隣国チャド、マリと同じくらい。といってもなかなか見当がつかない。日本の約3.4倍、フランスの約2倍の面積をもつ。
この国土のほとんどが砂漠、あるいはドバク（土漠）だ。とにかく乾いている。ニアメに飛行機が進路を進めていくと、大地の色はどんどん赤茶けたラテライトに覆われていく。首都ニアメつくと、緑の量が本当に限られているのがわかる。
おなじ砂漠でも、モーリタニアとは大きく異なる。あそこは本当に砂の中に街が埋れている（？！）。風景が白い。ニジェールは、茶色い。
（ニジェール・首都ニアメの風景）
（ちなみにモーリタニア・首都ヌアクショットの風景）
そして暑い。最も暑いのは3月後半～4月頃。灼熱の太陽が大地を照らし、この数カ月、夜を通して40度を下らない。
私がダカールに駐在していた2007年の話。バカンスの行き先として、パリでも、東京でもなく、ニジェールを選択した。当時、セネガル航空でパリまでが60万セーファー（12万円）、ニアメが55万セーファー（11万円）。しかも最暑、灼熱の4月。ニジェールで一番暑い時期を狙っていった。暑さと乾きを、この自分の体で体験したかったのだ。
砂漠の中、満天の星空で寝ることを夢見て、砂漠のキャラバンツアーに行く予定であったが、治安上の理由から踏みとどまるよう周囲から説得された。
結局、ベナン、ブルキナ国境に位置するサファリパーク、「W公園」（Parc W）に行くことにした。この地でニジェール川がW状に蛇行するところから名付けられた。
宿泊はキャンプサイト。テントはあるが、暑くて中ではねられない。ベットを外に出して、蚊帳を吊り、動物の鳴き声を遠くに聞きながら、満天の星空を見て眠りについた。というか、あつくて眠りつけなかった笑。生涯忘れ得ない、暑くて、でもステキな夜だった。
さて、そのニジェール。最近の気候変動で砂漠化がさらに進行し、頻繁に干ばつの危機に瀕している。2011年干ばつによる食糧危機では、640万人、実に半数以上が食糧危機のリスクに晒されていたということになる。ところがひとたび雨が降ると大洪水が発生する。砂漠のど真ん中、アガデズでも洪水被害が深刻化した。また生態系のバランスにも影響し、サバクトビバッタが大量発生し、農作物にさらに深刻な被害を与えるなど、まさに「脆弱国」という様相だ。
（ニジェール川に沈む夕日）
当の住民の顔に悲壮感や絶望感はあまり感じられない。厳しい中でも、苦悩と宿命を受け入れ、家族と部族の絆を基礎に、楽天的に生活を営んできた。そこに暮らす部族は争いを好まず、異なる部族や宗教を超えて共存してきた。私はよく、「貧しい中でも、宗教、民族を超えて、一つのパンを分け合って暮らす世界」と表現するが、それは今も基本的には変わっていない。
しかし昨今、そこにイスラム聖戦主義者の侵入、トゥアレグ族の蜂起、マリ情勢の悪化、ナイジェリア系イスラムセクトの活動活発化など、この国の治安に深刻な影響を及ぼす事態が生じている。このことは、近く皆様にまとまった形での論説をご紹介することになると思うので、ここでは深くは立ち入らない。
次回は歴史を振り返り、そしていまニジェールが直面する危機について述べてみたい。
（あさっての記事につづく）
◆サヘル情勢シリーズ
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