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祝・フランス建国記念日~'Le 14 juillet'にみるアフリカとフランス

2013-07-14 07:30:42 | アフリカ情勢
きょうはLe 14 juillet(キャトルズ・ジュイエ)、フランスの建国記念日だ。1789年のこの日に、フランスでバスチーユの監獄襲撃があり、また翌年これを祝う祝祭が開かれたことから、ナショナルデーとなった。そしてこの日、例年パリでは建国を祝う式典が行われ、シャンゼリゼ通りでは軍事パレードが繰り広げられる。

(準備の進むシャンゼリゼ通りからコンコルド広場を望む。2013年7月7日撮影。)


アフリカとフランスについては、それだけで1ヶ月くらい、記事が連続投稿できるくらい言いたいことがあるが、それはまた別の機会とさせていただき、きょうは今年の14 juilletに思うアフリカについて、少しお話ししたい。

この記念日、アフリカではもちろん祝日ではないが、それなりの意義を持って受け止められる。そしてなにがしかの議論が、アフリカとの関係でわき起こる。

3年前の2010年、旧フランスの植民地の多くが独立を果たしてから50年の記念すべき年、当時のサルゴジ大統領はアフリカ旧植民地諸国の国軍を建国祭に招き、シャンゼリゼ通りのパレードを飾った。

アフリカの兵士(Tirailleurs)は第二次大戦に動員され、フランス本土、ヨーロッパ、アジアなどに広く派兵された。戦後、除隊兵士への処遇、アフリカ諸国の独立への期待など、大きな歴史的な転機となる議論を産んだ。

(アフリカ兵士の写真・記録集。こんなマニアックなもの買ってる人、私以外にあまりいないんじゃないかと思う、、、恥)


除隊兵士への恩給をめぐる悲劇、セネガル・ダカール郊外の軍施設で起きた事件については、アフリカ文学・映画の先駆者、サンベーヌ・ウスマンが映画『キャンプ・ドゥ・チャーロイ』の中で描いている。このことはシネマ・アフリカ2013の映画評'O Sembene'の中で述べた(→こちらを参照)。

(私は出張で出かけたアフリカのそれぞれの国で、このTirailleursの人形を買い集め、当時の兵士に思いを馳せている。)



こういった歴史を乗り越え、2010年の14 juilletのパレードには、14カ国のアフリカの旧植民地諸国の軍が招待を受けた。しかし、コートジボワールのローラン・バグボ大統領(当時)はこれを辞退した。

サルゴジ大統領は当時、折からの財政事情に鑑み、駐留仏軍を撤退ないし縮小し、有事の軍事支援協定に切り替えを図っていた。そこで、対等に肩を並べるアフリカとの軍事関係を象徴したかったのだろう。

先日、パリ滞在中に、ラジオ・フランス国際放送(RFI)のジャーナリストとあれこれ意見交換をしたが、アフリカ独立50周年の年に、旧宗主国が旧植民地の軍を自国のパレードに参加させるとは、いささか非常識で傲慢ではなかったか、という結論に至った。

そして今年。オランド政権二回目の14 juillet。マリにおける仏軍の軍事介入から半年、さらにマリ国際ミッション(MISMA)が国連マリ安定化ミッション(MINUSMA)に切り替わったタイミング。

フランスは、マリ北部の軍事介入、サーバル作戦に参加した仏軍兵士をこのパレードでフューチャーする。さらに共同歩調をとったマリ国軍60名、マリ支援ミッションに貢献したアフリカ12カ国の軍、そして7月1日から任務についた国連マリ安定化ミッションにも、この14 juilletのパレードに参加を呼びかけた。総勢、420名がシャンゼリゼを行進する見込みだ。国際社会からのモラルサポートと喝采を部隊に直接届けるのみならず、サヘル情勢に対するフランスのイニシアチブを示すことが狙いと見られる。今回の共同行進は、前回のものとは性格を異にする、象徴的なもの、また戦況から言っても凱旋的なものとなりそうだ。

この模様は、仏系TVネットワーク、TV5 MONDEを通じて、世界同時生中継される。

ル・ドリアン国防省は、フランス国際放送ラジオ(RFI)のインタビューに答え、「マリ軍は仏軍と共同し、北部の失地を回復し、同地をテロリストの聖域とすることを許さなかった。14 juilletの行進の先頭を、マリ軍が率いることは、フランスにとっての名誉である。」とした(→RFI記事)。

他方、直前になって、一部仏系NGOからは、特にガバナンスや市民保護の点で問題が多いチャド、そしてそれに加担するチャド軍がこの行進に参加することに懸念が示された。そしてこの行進を「Francafrique(フランスに利するためのアフリカ政策)の香りが漂うもの」と牽制している。

フランスの建国記念日に、フランスとアフリカの切っても切れない、また深く、重層的な関係に想いを馳せることになった。今年の14 juilletとアフリカについては、これにて完。


◆独立記念日・ナショナルデーシリーズ
トーゴ
カメルーン
コンゴ民主共和国
第一話
第二話
第三話


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