曲折を経て、マリの大統領選挙をきょう迎える。ンボテも10年の単位でサヘル地域やマリという国を見てきた。今日に至るまでのクロノロジーはあまりに非劇的で、悔やまれる。
（マリでのフィールド調査。2006年、西部・ケニエバ州にて。）
120万人の選挙人登録未了、難民・国内避難民の扱い、北部での衝突や誘拐事件など、選挙の実施には難局があったが、ここまでのところ、取りあえずなんとか投票にこぎ着けそうだ。
国際社会は、不完全でも早期に選挙を実施して、マリを国際社会の表舞台に戻すことが大切だと判断した。なぜなら、本格的な支援を行なう道筋をつけること。ワガドゥグ合意で、いわば先送りになっているトゥアレグ問題に早く正面から向き合うこと。国民和解と再統合に早く着手すること。A.サノゴ一派の政変勢力を兵舎に戻す（あるいは勇退させる）こと。挙げればきりがない、マリ正常化への道筋をつけるのに、どうしても選挙という大義名分がいるのだ。
他方、リスクも承知である。まずは正当な選挙が脅かされるリスク。特に北部には選挙監視団が思うように展開できない。選挙が干渉や大きな不正なく行なわれるのか、投票所や投票用紙がしっかり守られるのかといった課題。次に結果を受け止められるかどうかのリスク。結果がどれだけ正しいのか、有力者や特定の社会グループが結果を素直に認めるのかといった課題。そして、レジティマシー（Legitimite)のリスク。すなわち、この選挙そもそもが正当で有効なものであったのかという点。これらは、今後の政局に非常に大きな影響を及ぼす。
アフリカの選挙に関する問題については、マリのみならず、他の国においてもさんざん考えさせられた。あらゆるレベルでの問題を目にしてきたので、このことは一度ちゃんとまとめて、ご紹介したいと思っている。
さて、そういう選挙自体にまつわる若干の疑念を覚悟しつつ、選挙戦は進められた。本命に近いIBK（イブラヒマ・ブバカル・ケイタ）、スマイラ・シセ、モディボ・シディベなどを含む候補27人は無事、前半の選挙戦を終えた。ここでは特に北部への遊説に各候補とも難儀したことが報道されている。
ンボテが少し気になっていることは、第二回目の投票日が、明確な形で確認されていないことである。通常であれば2週間後、すなわち8/11となる。たしかに、今回の選挙について、初め知らされた日程は、第1回目投票が7/14、決選投票が7/28となっていたと記憶をしている。インターバルは二週間。憲法にも規定があったはずだ。しかし今回は、明確には明示されていないのではないだろうか。それは開票オペレーションに関係するとともに、今後の現地カレンダーとも関係してくると思われる。
まず、おそらく8/8前後がラマダン明け、コリテの祭り。これが開票結果の確定、大統領選挙の決選投票の時期と重なってくる。
その後、8月後半～9月ころが雨期明け。雨期が明けると、人々の活動が活発化する。イスラム武装勢力だってそうだ。毎年、雨期明けに人質や誘拐が頻発してきた。また雨の振り方で、農産物の作柄、もっといえば次年度の食糧危機の有無、程度の見通しが立つ。
さらにそのあと、9/22がマリの独立記念日だ。この日にあわせて、政治日程を組んでいきたいというのが自然な流れだろう。また9月下旬にはニューヨークで国連総会がある。いずれにせよ、マリの新政権樹立を急ぎたいカレンダーとなっているが、無理はできない。この辺のバランスを見ていく必要があろう。
マリ情勢の推移や、今後の見通しついては、実はンボテが別方面からの執筆依頼を受け、論説を取りまとめているところだ。8月上旬には公開となるので、詳細はそちらに譲りたい。皆様にも拙稿ながらご案内したい。
最後に、先日別記事でもご案内したとおり、本日、NHK国際放送ラジオ「ラジオ・ジャパン」フランス語放送では、マリ選挙特番？！サヘル・サハラ情勢に関してンボテのインタビューが放送される。残念ながらこの収録の日、ンボテはあまり頭が冴えておらず、お聞き苦しいかもしれないが、ご関心の向きには、ぜひご覧頂ければ幸いである。
【視聴方法～以下の二つの方法】
◆生放送は短波放送「ラジオ・ジャパン」で。
（時間）日本時間7月28日（日）14:40～15:00の間
（周波数）こちらから
◆ウェブサイト
1週間限定でNHKラジオ・ジャパンホームページ（仏語版）から、8/3までの間、アクセス可能！
こちらからお入りいただき、'28 juillet'の欄にある'Ecoutez Maintenant'をクリック。ンボテのインタビューは7'20"頃～16"20頃まで、約9分です！
（NHKインタビュー収録中。7/26ログの写真とは微妙に違っている）
◆サヘル記事シリーズ
軍事パレード学（後編）～14 juilletにみるサヘル情勢
軍事パレード学（前編）～14 juilletにみるサヘル情勢
祝・フランス建国記念日～'Le 14 juillet'にみるアフリカとフランス
盛り上がる、TICAD!
サヘルセミナー舞台裏
本日開催！サヘル地域の安定化に関するセミナー
◆ンボテ・メディア登場シリーズ
7/28（日）NHK国際放送ラジオ（フランス語）にインタビュー出演します！
【社内連絡便・場外乱闘？！】社内報に載りました！
必読？！ンボテ飯村の半生を描いた記事？！がアップされました！！
全編おまとめログ！ニコ生「藤岡みなみのI don't know Africa～発見アフリカ54の国～」
Japan Timesに載りました！
5/31（金）RFIにインタビュー出演
セネガル国営放送（RTS）からも取材いただきました！
（マリでのフィールド調査。2006年、西部・ケニエバ州にて。）
120万人の選挙人登録未了、難民・国内避難民の扱い、北部での衝突や誘拐事件など、選挙の実施には難局があったが、ここまでのところ、取りあえずなんとか投票にこぎ着けそうだ。
国際社会は、不完全でも早期に選挙を実施して、マリを国際社会の表舞台に戻すことが大切だと判断した。なぜなら、本格的な支援を行なう道筋をつけること。ワガドゥグ合意で、いわば先送りになっているトゥアレグ問題に早く正面から向き合うこと。国民和解と再統合に早く着手すること。A.サノゴ一派の政変勢力を兵舎に戻す（あるいは勇退させる）こと。挙げればきりがない、マリ正常化への道筋をつけるのに、どうしても選挙という大義名分がいるのだ。
他方、リスクも承知である。まずは正当な選挙が脅かされるリスク。特に北部には選挙監視団が思うように展開できない。選挙が干渉や大きな不正なく行なわれるのか、投票所や投票用紙がしっかり守られるのかといった課題。次に結果を受け止められるかどうかのリスク。結果がどれだけ正しいのか、有力者や特定の社会グループが結果を素直に認めるのかといった課題。そして、レジティマシー（Legitimite)のリスク。すなわち、この選挙そもそもが正当で有効なものであったのかという点。これらは、今後の政局に非常に大きな影響を及ぼす。
アフリカの選挙に関する問題については、マリのみならず、他の国においてもさんざん考えさせられた。あらゆるレベルでの問題を目にしてきたので、このことは一度ちゃんとまとめて、ご紹介したいと思っている。
さて、そういう選挙自体にまつわる若干の疑念を覚悟しつつ、選挙戦は進められた。本命に近いIBK（イブラヒマ・ブバカル・ケイタ）、スマイラ・シセ、モディボ・シディベなどを含む候補27人は無事、前半の選挙戦を終えた。ここでは特に北部への遊説に各候補とも難儀したことが報道されている。
ンボテが少し気になっていることは、第二回目の投票日が、明確な形で確認されていないことである。通常であれば2週間後、すなわち8/11となる。たしかに、今回の選挙について、初め知らされた日程は、第1回目投票が7/14、決選投票が7/28となっていたと記憶をしている。インターバルは二週間。憲法にも規定があったはずだ。しかし今回は、明確には明示されていないのではないだろうか。それは開票オペレーションに関係するとともに、今後の現地カレンダーとも関係してくると思われる。
まず、おそらく8/8前後がラマダン明け、コリテの祭り。これが開票結果の確定、大統領選挙の決選投票の時期と重なってくる。
その後、8月後半～9月ころが雨期明け。雨期が明けると、人々の活動が活発化する。イスラム武装勢力だってそうだ。毎年、雨期明けに人質や誘拐が頻発してきた。また雨の振り方で、農産物の作柄、もっといえば次年度の食糧危機の有無、程度の見通しが立つ。
さらにそのあと、9/22がマリの独立記念日だ。この日にあわせて、政治日程を組んでいきたいというのが自然な流れだろう。また9月下旬にはニューヨークで国連総会がある。いずれにせよ、マリの新政権樹立を急ぎたいカレンダーとなっているが、無理はできない。この辺のバランスを見ていく必要があろう。
マリ情勢の推移や、今後の見通しついては、実はンボテが別方面からの執筆依頼を受け、論説を取りまとめているところだ。8月上旬には公開となるので、詳細はそちらに譲りたい。皆様にも拙稿ながらご案内したい。
最後に、先日別記事でもご案内したとおり、本日、NHK国際放送ラジオ「ラジオ・ジャパン」フランス語放送では、マリ選挙特番？！サヘル・サハラ情勢に関してンボテのインタビューが放送される。残念ながらこの収録の日、ンボテはあまり頭が冴えておらず、お聞き苦しいかもしれないが、ご関心の向きには、ぜひご覧頂ければ幸いである。
【視聴方法～以下の二つの方法】
◆生放送は短波放送「ラジオ・ジャパン」で。
（時間）日本時間7月28日（日）14:40～15:00の間
（周波数）こちらから
◆ウェブサイト
1週間限定でNHKラジオ・ジャパンホームページ（仏語版）から、8/3までの間、アクセス可能！
こちらからお入りいただき、'28 juillet'の欄にある'Ecoutez Maintenant'をクリック。ンボテのインタビューは7'20"頃～16"20頃まで、約9分です！
（NHKインタビュー収録中。7/26ログの写真とは微妙に違っている）
◆サヘル記事シリーズ
軍事パレード学（後編）～14 juilletにみるサヘル情勢
軍事パレード学（前編）～14 juilletにみるサヘル情勢
祝・フランス建国記念日～'Le 14 juillet'にみるアフリカとフランス
盛り上がる、TICAD!
サヘルセミナー舞台裏
本日開催！サヘル地域の安定化に関するセミナー
◆ンボテ・メディア登場シリーズ
7/28（日）NHK国際放送ラジオ（フランス語）にインタビュー出演します！
【社内連絡便・場外乱闘？！】社内報に載りました！
必読？！ンボテ飯村の半生を描いた記事？！がアップされました！！
全編おまとめログ！ニコ生「藤岡みなみのI don't know Africa～発見アフリカ54の国～」
Japan Timesに載りました！
5/31（金）RFIにインタビュー出演
セネガル国営放送（RTS）からも取材いただきました！
