効かない必殺技

　中学生ぐらいの子供を持っている人ならあるいはわかるかなと思うが、あの毎日の行事のことである。中には、（どれぐらいの割合なのか知らないが）自分でできる子供もいるだろうが、うちの子はまだできない。
　朝自分で起きるという習慣である。
　目覚ましも、かけたり、かけなかったり、結局家人か、私が大きな声で起こすことになっている。それも一回ではだめで、二回目で渋々起きる。一回目は予告であるらしい。
　毎日のことで行事のようになっているので、大した苦ではないが、こんなことではいけないなとは思っている。そろそろ、自分で起きるようにならないと。
　そのことが時々、家人との間で話題にもなりはする。少し前に、テレビで、年頃の子供を起こす必殺技というのをやっていた。年頃というのが何歳からというのは個人差があろうが、まあ、たぶんうちの中学一年坊主もその範疇ではあるだろう。一緒に風呂に入らないというからである。
　その必殺技というのは、起こすときに異性の方の親が、黙って子供の布団に潜り込むというものだった。子供は驚いて、なんだなんだと起きるという趣向らしい。なるほど、それは効くかもしれないなと思っていた。
　が、昨日、家人とそのことで話していて、効かなかったことを聞いた。家人が息子の布団に入り込むが、彼は気持ちよさそうにスヤスヤ寝ていたというのである。あら、なんだまだ子供だったのだなあ。全然思春期ではないらしい。それではこの技は効かない。
　話しながら笑ったものである。

　感謝。