南日本海人、たこ焼きで悩む

　夕方である。腹がへっている。非常にたこ焼きが食べたくなってきた。小学生の頃、学校帰りに“買い食い“したあのたこ焼きのうまかったこと！　思い出して唾液が出てきた。あの頃はなけなしの小遣いを計算して、一パックかって、はふはふと食べたものだが、不惑を過ぎた今、たこ焼きなら一〇パックでも買って食べられる身分になった。出世したものである。
　とまあばかなことばかり言っている場合ではない。ほんとうに腹がへって、たまらない。うーっ、たこ焼きたこ焼きたこ焼きたこ焼きたこ焼きたこ焼き…いくら文章で書いてみても腹には入らないことがわかった。
　しかし、現在の私は前に紹介したと思うが、ウォーキング通勤であって、途中でたこ焼きなぞを買うと、どこか路上で食べなくてはならない。車なら、車内で食べることもできるのだが、道端でおじさんがたこ焼きを食うのは恥ずかしい。近所のおばさんに見られないとも限らない。知り合いの小学生に見つかって、学校でうわさになるかもしれないし。
　ああどうしたらいいのだろう。みなさんもこういうことはないだろうか。何かが食べたくなってそれが頭から離れない。食べればおさまるのだが、食べるまでは、とにかく食べたいのだ（あたりまえか）。
買って家に持って帰ると、子供に横取りされるし、しかも「夕食前に何を買ってくるの！」と、家人になじられるのが見え見えである。
　はて困った。たこ焼きでこんなに悩むことになるとは思わなかった。ええい、たこ焼きなんて世の中からなくなってしまえ！　
　たこ焼き屋さんたちごめん。