⑦日射遮蔽手法:夏季の日射侵入を遮る事で、冷房エネルギーを削減します。
日射熱利用と全く真逆の考え方です。特に新潟は、夏暑く、冬寒い
独特の気候を持つ地域ですので、バランスの良い設計が求められます。
一般的に1年を通して方位による日射量を調べると、夏は屋根面が一番日射量が多いのに対して、冬は東と西面が日射量が多くなります。但し、新潟市の場合、冬場の厚い雲に覆われて日射がほとんど期待できない
ので、冬場は日射取得よりも、室内から熱を逃がさない工夫をする方がバランスは良くなります。
日射遮蔽による省エネルギーレベルは0~3までありますが、方位によって削減率が変わります。南面で0%~45%、南東・南西面で+30%~-35%、東・西面で+10%~-35%となっており、区分方法は「開口部の日射遮蔽方法」に限られています。
開口部の日射遮蔽手法とは、省エネルギー基準における日射侵入率の算定を用いています。
開口部の日射侵入率=ガラスの日射侵入率×日射遮蔽部材の遮蔽係数×庇等の遮蔽係数
ガラスの日射侵入率はガラスの仕様毎に定められた係数で、各メーカーでカタログ値が記載されています。カタログ値はすでに日射遮蔽部材の遮蔽係数とも合わせた数値になっている場合もあります。
某メーカーの複層Low-Eガラス(中空層12mm)の場合、ガラスのみで0.40、レース+カーテンで0.32、障子で0.26、外付けブラインドで0.11と表記されています。この数値から分かる様に、遮蔽物(カーテンやブラインドなど)はガラスの内側よりも外側にある方が、日射を遮るのに適しています。
そして、その数値に庇等の遮蔽係数を乗じますが、庇の出は、窓高さの1/3以上必要になります。その庇がある場合、真南±30°の範囲にあるガラスの場合は0.5を、それ以外の場合は0.7を乗じます。
この数値が、レベル0~3で方位ごとに区分されているので、これで削減率が確認できます。
これ以外にも日射遮蔽手法として、小屋裏換気
や反射率の高い
(明るい色調の素材)屋根材・外壁材を使用する手法、照り返し
の少ない外構
計画、植栽
による日射遮蔽が上げられます。
新しい考えとしては、屋上緑化や壁面緑化があります。苔タイルなどは意匠的にも優れているので、積極的に採用したい材料の一つです。
ハウスメーカーでありがちな、コストを抑えたかのように見せる為に外構工事が別になっている事がよくあります。大抵その時の説明は、「お庭は直接建物と関係ないので、後でゆっくりされるという事でいいと思いますよ」です。
果たしてお庭と建物は別なのでしょうか。予算ある話なので、少しでもお部屋を広く、収納を多く、ハイグレードな設備をという希望は分からなくもありません。
ただ、自然と共生する生活。例えば、窓越しから見る植栽の四季
の変化や、樹にとまる鳥
など、建物の外部から得られる視覚的な快適性や日射遮蔽に関わる快適性など、生活に直接関わる効果はたくさんあります。それは、部屋の大きさや収納の多さなどと同等の価値観として捉えるべきと私は考えています。
実際にハウスメーカーの建売住宅を見れば一目瞭然です。ハウスメーカーの建売住宅のお庭の華やかさは素晴らしいと思います。本当は見た目の効果を一番よく理解しているのは、ハウスメーカーじゃないでしょうか。
つづく。
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