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新潟市の住宅設計事務所ネイティブディメンションズ=狭小住宅や小さい家、構造計算、高気密高断熱が好きな建築士のブログ

太陽と「ministock」-新潟の狭小住宅、自然素材、高気密高断熱、高耐震-

2011-04-08 13:18:04 | ministock-狭小住宅・小さい家-

昨日は、間取りに「普遍性」を意識している事をお伝えしました。ただそれをネイティブディメンションズ風に解釈して表現しているので、それを切り取れば「時代性」と表現できるかもしれません。

似たような事は外観にも表れています。

かつての日本家屋の特徴の一つに「軒の深さ」があります。

私が学生時代に重要伝統的建造物群保存地区を巡り、軒の深さを1軒1軒測量したのはいい思い出です。

かつての日本家屋は「夏を旨とすべし」と詠われました。

高温多湿の日本ですから、夏に涼を取る為のアイディアはとても重要です。

その大きな役割を担っていたのが「軒の深さ

Photo_2  このイラストは新潟市のおいて、ミニストックを南向きに建設した場合、夏至の太陽高度が一番高い時、軒により太陽から隠れる部分を塗りつぶしたものです。

大きな窓を持つミニストックですが、軒のおかげで隠れる事が出来ました。

これが日本家屋のいいところ。屋根は日傘の意味も兼ねています。.

どうせなら、すっぽり建物全部が隠れるくらい軒を深くすればいいのにというご指摘もあるかもしれません。

私も考えました。

ミニストックの場合、この条件で建物がすっぽり隠れるには、軒の深さを1m30cmにする必要があります。これをクリアする為には、構造計算上、垂木のピッチを30.3cm以下にすれば大丈夫でしたが、標準採用はやめました。諸々の理由を踏まえての結果です。

ミニストックは何事にもちょうどいいを目指した設計であるというのが、大枠での理由です。.

Photo_4 ちなみにこちらは、同じ建設条件で、冬至の太陽高度が一番高い時、軒により太陽から隠れる部分を塗りつぶしたものです。

ほとんど隠れていません。

寒い冬はなるべく日射を取り入れるのも、同じく日本家屋の特徴です。

こんなに素晴らしいアイディアなのに、近年の住宅において、軒の深さは見た目だけで決められている気がします。

省エネを目指すミニストックにおいて、軒の深さは「普遍性」の一つであり、デザイン上とても重要な部分になっています。

ところで「夏を旨とするべし」の言葉ですが、新潟においてはあまり響く言葉ではありません。

住んでる方なら分かると思いますが、新潟は夏暑くて、冬寒い場所です。1年全ての季節について考えるのが新潟の住宅です。

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4/22加筆:1年の内、一番暑いのは夏至じゃなくて8月頃。仮に8月15日の太陽高度で検証すると、ちょうど1階の窓から太陽の光が差し込みます。

ミニストックの標準仕様ではウッドデッキが含まれているので、ウッドデッキの手摺を利用して簡易的なオーニングも検討したいと思います。

サッシ上にフックで生地を引っ掛ける程度の仕様が建物の雰囲気とも合いそうです。


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