ややシリーズ化しつつあるこの記事。
今日は構造についてです。
先日もお話しましたが、当事務所では接合金物を用いた在来工法で設計しています。
前回は施工性の良さのご紹介でしたが、接合金物を採用する理由は他にもあります。
こちらはプレカットされた所謂普通の在来工法の梁の接合部です。
補強金物も使ってがっちり繋がっています。
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ところが、この接合部分を分解すると、梁はこの様にほとんどの部分を削り取られています。
梁の一番上なんて、わずか数mmしか残っていません。
蹴飛ばせば折れそうです。
在来工法は、時代とともに進化を遂げていますが、プレカットによる在来工法は、かつて大工さんがノミを使って作りだしていた接合部分(仕口・継ぎ手)を機械で忠実に再現する部分だけに注目されて進化してきました。
だから、これだけ接合部分を機械できれいに加工しても、結局その後、金物で補強しなおさなければいけないんです。
一方、接合金物による在来工法は、文字通り梁と梁の接合部分に金物を用いており、プレカットされた在来工法に比べ、梁の欠き込みが少ないのが特徴です。
プレカット材はわずか数mmしか木が残っていませんでしたが、接合金物の方は、わずか数mm削り取っただけ。
これにより、力が加わった時に梁がポッキリ折れる心配なんかありませんし、何より、金物が隠れてしまう分、接合部がすっきりして見た目にきれいです。
同じ在来工法ですが、大工さんの技術を忠実に再現する為に開発されたプレカット工法と、接合部の強度維持と施工性を理由に開発された接合金物工法では、大きく結果が違っています。
どちらも「きれいな接合部」が大枠での目的だった訳ですが、かなり違った着地点となってしまいました。
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