加地尚武の佐倉新町電気街

「福音の少年 Good News Boy」シリーズ(徳間書店 徳間デュアル文庫)著者による電脳生活と意見。

【おんがく】さよなら、ソニー・ロリンズ

2005年11月02日 23時42分20秒 | 音楽・映画のこと
Easy Living
Sonny Rollins
Milestone/OJC

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「…コンサートを聞きに来て、生きる勇気を感じ取ってもらえたら、それはすばらしいことなんだ」 ソニー・ロリンズ

実は、いま大阪にいる。
ソニー・ロリンズの「ラストコンサート」ツアー、大阪公演を見に来たのだ。大阪厚生年金会館のすぐ前ににあるホテルで、このブログを書いている。

すばらしいコンサートだった。ロリンズは黒っぽいシャツに真っ赤なズボン。真っ白な頭髪と白い髭で、半分だけのサンタクロースに見えなくもない。「ジャズ界の生きた伝説」と称される75才の偉大な音楽家は、テナーを抱えて舞台の端から端へとヨッコラショと歩き回って、エネルギッシュな演奏を聴かせてくれた。

全盛期と比べるとさすがにやや衰えを感じるが、それでも、明るく豪快で、イマジネーションあふれる演奏と音色は、ソニー・ロリンズのものだ。

恥ずかしながら、感動のあまり何度も泣いてしまった。
ロリンズの言葉のとおり、ぼくは彼の演奏から勇気をもらったような気がする。
たしかにぼくは、版元がつぶれてしまったマイナーな小説家かもしれないが、ぼくの悩みなんぞ、この孤高のジャズマンがたどってきた道に比べると、なにほどのこともない。

リンクは、そのロリンズの77年の作品、「イージー・リビング」。世はフュージョン全盛時代。このアルバムのロリンズも多分にフュージョンを意識しており、結果、評論家には不評だった作品なのだが、ぼくは大好きなのだ。
もちろんジャズとしてしっかり聞くには以前このブログで取り上げた「サキソフォン・コロッサス」や「ウェイアウト・ウエスト」が最適だけど、はじめてロリンズを聴くひとにはぜひすすめたい。ロリンズの音楽の明るさがストレートに出た良作である。


とにかく、ありがとう。ソニー・ロリンズ。
このツアーが終わると、もう日本では生演奏を聴ける機会は無くなるかもしれません。でも、あなたの暖かい音楽は永遠にひとびとに勇気を与え続けるでしょう。

さようなら。