うたかたの夢暮らし 睡夢山荘にて(Dream life of Siesta hut)

夢から覚めた泡沫のごときだよ、人生は・・
せめて、ごまめの歯ぎしりを聞いとくれ

友を恋うる

2020-04-03 22:14:32 | 日記・エッセイ・コラム

僕にとって君は、青春そのものだった。
それぞれに一つ目の挫折を抱え、人生に向かう不安を抱え、そして同じ匂いを感じた君だった。
君を知ってから丁度50年経つ。
罵りあい殴り合った時も、不思議に互いに許しあっていたのだろう。
君の拳に恐れは無かったし、関係が切れてしまうと云う気持ちも生まれなかった。


今、君の病を知り、今まで思ったことも感じたことも無かった寂寥の中に居る。
独り、デイブブルーレックやデュークエリントンや山下洋輔ばかりが僕の周りに響いている。


君が本当にやりたかった事を知っていたし、僕は其のことに一種嫉妬していたのかも知れない。
あれ以来、あんなにも激して論じた事は無いけれど、激したあの時は僕の今まで生きる場面場面で無くてはならない根拠であった。


時の少なくなった今更思う、僕らはもっとゆったり愉しみの時を過ごせなかったのだろうかと。
君が巣食った幡ヶ谷の幽霊小屋のようなスナックの破れたスッールに腰掛け喰った乾いた味のインスタントラーメン
そこで鳴らし聴いたジュークボックス  アダモの雪は降る
幡ヶ谷商店街の札幌ラーメン”コタン”のニンニクを効かせた味噌ラーメン
裏通りにあった定食屋の鯖塩焼き定食に目玉焼きを喰いながら聞いていた、陽水の”傘が無い”
腹をすかせた僕らに辛口カレーをてんこ盛りにしてくれた道玄坂ムルギーの親父さん
僕が君に導かれジャズの洗礼を受け、狂乱と懊悩の中の君が崇高にさえ思えた新宿のピットイン
そして、夜中に独り起きだし音を絞ったエレキギターの弦を弾く君を・・・・


一つ一つが、僕の伝説だ。


今、君が魔病の淵に居たとしても、僕は君を羨む。
僕には、君を思うような僕が居ないから・・・・

 

 


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2 コメント

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そんな青春があったんだ (sunaoka)
2020-04-04 17:49:07
残念ながら、私にはそれほどの友がいない。友の数は誰にも負けないと思うが、君に比べると何とも浅い。
機会があればもっと君たちのことを聞いてみたい。
返信する
体力の衰えと追憶と (睡夢人)
2020-04-05 06:23:15
熱かった時を思いを、今更ながら気づかされて・・・・
あまり遠くない終の時に何ができるのかと・・・
返信する

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