うたかたの夢暮らし 睡夢山荘にて(Dream life of Siesta hut)

夢から覚めた泡沫のごときだよ、人生は・・
せめて、ごまめの歯ぎしりを聞いとくれ

ウクライナとパレスチナ  内田樹インタビュー記事要約

2023-12-01 23:14:02 | 国際事象

内田樹氏のインタビュー記事が、同氏のブログに有った。

長文だし、筆者の理解の確認の意味もあり、筆者の勝手な要約で転載する。

筆者の理解では、内田氏の同問題の捉え方について納得するものであり、歴史的政治的な構造分析は簡潔明瞭なものだと思う。

しかし、最終提言の

死者の鎮魂と生者の慰藉を通じて負の国民感情を鎮静させ、理解も共感も絶した他者とも共生し得るような人間になること

は、気の遠くなるような太古からの人類の理想を説いていて、正直、同氏の絶望を感じたものである。

 

念のために、同ブログの所在を記しておくので、参照願います。

http://blog.tatsuru.com/

 

以下 記事要約 (要約も長文です)

2023/11/16 内田樹インタビュー  (勝手に要約転載)

 

イスラエルの圧倒的な戦力による報復を超える虐殺戦を展開

イスラエル側の戦争論理は、一般的な国家間の国益保全論理の戦争ではない。

人間が悪魔(獣)と戦っている、正と悪の戦いという二元論に基づく

相手が人間じゃないからイスラエルの攻撃に歯止めがかからない

 

一方ウクライナ戦争でのロシアの戦争論理も、ウクライナのナチ化を防ぐための聖戦だとの妄想による。

対するウクライナ側は国民国家の自衛戦争と規定付け世界的な倫理的支援を得ている。  しかし、今回のイスラエルのガザ侵攻に対する全面的な支持をゼレンスキーが表明したのは、完全な誤りだった。 ロシアと同様な戦争論理のイスラエルを支持したのだから国際的な支援は急速に衰えるだろう。

 

しかし、ウクライナ戦争とパレスチナ侵攻とは同列に論じられない。

ロシア、ウクライナは独立した国家間の戦争で有り、かつ文化的民族的兄弟国である事。

イスラエルとパレスチナは民族が違い、言語が違い、宗教が違う、全くの異邦人同士で有り、パレスチナは分断され抑圧され国家機能を奪われて、未だに国家としての政治的自立がなされていない。

 

パレスチナ戦争では、今も昔も、中東を誰が管理するのかという問題が残る。

13世紀~1922年 オスマン帝国

第一次大戦期 英国

第二次大戦後 米国   で遷移している。

第一次大戦中、英国はオスマン帝国の弱体化の為に、アラブには独立を約束し、ユダヤ人には民族的郷土を約束するという二枚舌外交を展開した。 

大戦後英国の国力衰退で中東の管理者から撤退して米国にその座を譲った。

しかし、アメリカも中東の管理に失敗した。 失敗はアメリカの中東への関心が石油資源を狙ったもので、中東統治で石油資源安定的確保が目的だったからだ。

結果的には石油資源確保コストより統治コストの方が高かった。アメリカにも豊富な石油資源が確保されたから。そのために米国は中東に固執する必然性が亡くなった

そして、イスラエルと中東各地の政権との国交正常化を画策して、イスラエルを中東管理の前面に据えようとした。 それがイスラエルにフリーハンドの権力を与えたこととなり、今回のガザ侵攻に繋がったのだ。

 

米国はウクライナとパレスチナの二正面作戦に直面している。

中国との関係緊張が起きると三正面作戦になり、米国は持たなくなる。

そこで米中接近となる。 今後米国はウクライナ、中東、アフリカで中国の外交力と経済力を頼りにするだろう。 とはいえ、全面的な中国依存を経た中国の国際的地位をこれ以上大きくしたくない。

第三国の関与を画策する。中東ではトルコがその役割になるだろう。

トルコはNATO加盟国で米国軍も駐留している一方、中国の一帯一路はトルコの領域に繋がることでいずれ両者の覇権争いになる。 その緊張関係を利用して中国とトルコをコントロールしようと考えているだろう。

 

パレスチナ戦争の停戦や新しい中東秩序の実現が出来てもパレスチナ問題の解決は至難

過去、1948年~1973年 4度の中東戦争を経て1982年と1993年に和平合意がなされ、それぞれの当事者がノーベル賞受賞したが、結果的には和平実現は出来なかった。

合理的和平合意でもそれぞれの当事国国民による感情批准が無ければ空文になる。

最も強く人を動かすのは怒りや憎しみ、屈辱感等の負の感情だ。

ポプリストがこのような負の感情を政治資源として権力を得ようとする。
しかし、その負の感情も一度火がついたらコントロール出来なくなり、それで得た政治権力も政治生命も失うことになる。

今回のネタにエフ政権も同様の結末に至るだろう。

 

最終的には負の国民感情を鎮めなければ、解決は得られない。

死者の鎮魂と生者の慰藉を通じて負の国民感情を鎮静させ、民族間の憎しみの連鎖という「呪い」を解かなければならない。

反ユダヤ主義とパレスチナ問題は同根の問題で、これを生み出したのはどちらも「他者との共生を拒む心」。そのような弱い心情に人が屈する限り、同じ種類の問題は無限に再生産される。「理解も共感も絶した他者とも共生し得るような人間になること」、それ以外の解決法は無い

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