彼方の山の緑と紺碧の空との際立ち
萌え出す落葉樹のうす緑と常緑樹の濃緑とのグラデーション
それら全ての圧倒的な生命の息吹きの中で呆然と佇む
そして、まさに燃え尽きようとしている君の生命との対比に
僕は今、涙するしか術を知らない
農夫の操る田植え機が、水澄ましの様に水田を滑る
繁り出した桜緑をざわめかして渡る五月の風
溢れる麦酒の泡と青蛙の鳴声の悦楽は、今悔恨を誘う
昔出来なかった下世話な四方山話が、君との今唯一の糸口
君の雄弁は病状の分析と解説
そしてしかし、それらは全て互いの吐露すべき言霊を託した韻を踏む
君が導いたマイルス・デイビスやアート・ブレイキー、ジョン・コルトレーンを響かせ
僕らに筋を示したカール・マルクスを取り出し
今更、僕は何を成そうと
否、今更だから君と語らおうと