那田尚史の部屋ver.3(集団ストーカーを解決します)

「ロータス人づくり企画」コーディネーター。元早大講師、微笑禅の会代表、探偵業のいと可笑しきオールジャンルのコラム。
 

情報公開条例について考える⑤

2013年06月28日 | 法律

 

とりあえず情報公開条例シリーズは今回で終わりにして、部分訂正は気付き次第行うことにする。最初書いたとおり、これは「公益」のために書いているのであり、八王子市の行政をむやみに批判・混乱しようとするものではない。

当初私は後期高齢者の担当職員が謝罪するなら許す、とメールした。が、一切の不法行為は無く適正に処理した、と開き直りのメールがあったために、仕方なく情報公開条例を適用することになった。その経緯の上で調べたところ、八王子市の条例が非常に保守的(保身的)で、第一条の趣旨とかけ離れたものになっているので、このブログで問題点を指摘した次第である。第一条には「市民の理解と批判の下に公正で開かれた市政を推進し、市政への市民参加を促進することを目的とする。」とあるが、実際はそうなっておらず、情報公開を推進する総務省の意向が反映されていないと分かったからである。

前回は「理由の付記」に関する東京都の条例と八王子市の条例を比較した。今回はさらに総務省通達の紹介から始める。http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/gyoukan/kanri/jyohokokai/pdf/050125_s2_1.pdf には

(9)不開示決定に際しての理由付記の在り方
① 不開示決定については、行政手続法(平成5 年法律第 88 号)第 8 条の定めるところにより、行政機関はその理由を提示しなければならない。
② 判決及び審査会の答申において、不開示決定をするに際して、不開示とする部分について根拠条文及びその条文に該当することの根拠を示すことが必要であるとの方向性が示されている。情報公開法の施行当初は、行政機関等の運用において理由付記が不十分な例も見られたが、現状では、判決及び答申が示すとおり、不開示とする部分についての根拠条文及びその条文に該当することの根拠を示す運用へと変わりつつある。

と明記してある。八王子市の場合は条文のみを非公開理由をにしているが、その条文が適用される根拠が全く記されていない。民事訴訟で言えば一審で全く理由も述べずに「民事訴訟法第○条により原告の請求を棄却する」と答えるのと同じことである。

省庁における理由の付記はさらに具体的で丁寧なものになっている。例えば人事院の場合は次の通り。

http://www.jinji.go.jp/jyohokoukai/kijun_09.htmlより


情報公開法に基づく処分に係る審査基準について 

・法第8条(行政文書の存否に関する情報)関係

第8条  開示請求に対し、当該開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるときは、行政機関の長は、当該行政文書の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができる。


1 趣旨
   本条は、開示請求の拒否処分の一態様として、一定の場合に、行政機関の長は、行政文書の存否自体を明らかにしないで、拒否することができることを定めるものである。


2 解釈
   開示等決定権限者は、開示請求に係る行政文書が存在していれば、開示決定又は不開示決定を行い、存在していなければ不開示決定を行うことになる(第9条参照)。したがって、行政文書の不存在を理由とする不開示決定の場合以外の決定では、原則として行政文書の存在が前提となっている。
 しかしながら、開示請求に係る行政文書の存否を明らかにするだけで、第5条各号の不開示情報を開示することとなる場合があり、この場合には、行政文書の存否を明らかにしないで開示請求を拒否できることとするものである。
 米国の情報自由法(FOIA)の実務において、グローマー拒否(Glomardenials)と呼ばれているものである。

 

 
  (1) 「開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるとき」
 開示請求に係る行政文書が具体的にあるかないかにかかわらず、開示請求された行政文書の存否について回答すれば、不開示情報を開示することとなる場合をいう。開示請求に含まれる情報と不開示情報該当性とが結合することにより、当該行政文書の存否を回答できない場合もある。例えば、特定の個人の名を挙げて、その病歴情報が記録された文書の開示請求があった場合、当該行政文書に記録されている情報は不開示情報に該当するので、不開示であると答えるだけで、当該個人の病歴の存在が明らかになってしまう。このような特定の者又は特定の事項を名指しした探索的請求は、第5条各号の不開示情報の類型すべてについて生じ得ると考えられる。
 具体的には、次のような例が考えられる。
① 特定の個人の病歴に関する情報(第1号)
② 先端技術に関する特定企業の設備投資計画に関する情報(第2号)
③ 情報交換の存在を明らかにしない約束で他国等との間で交換された情報(第
 3号)
④ 犯罪の内偵捜査に関する情報(第4号)
⑤ 買い占めを招くなど国民生活に重大な影響を及ぼすおそれのある特定の物質
 に関する政策決定の検討状況の情報(第5号)
⑥ 特定分野に限定しての試験問題の出題予定に関する情報(第6号)
  (2) 「当該行政文書の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができる。」
 行政文書の存否を明らかにしないで、開示請求を拒否する決定も、申請に対する処分であることから、行政手続法第8条に基づき、処分の理由を示す必要がある。提示すべき理由の程度としては、開示請求者が拒否の理由を明確に認識し得るものであることが必要であると考えられる。また、個別具体的な理由提示の程度については、当該情報の性質、内容、開示請求書の記載内容等を踏まえ、請求のあった行政文書の存否を答えることにより、どのような不開示情報を開示することになるかをできる限り具体的に提示することになる。
 また、存否を明らかにしないで拒否することが必要な類型の情報については、常に存否を明らかにしないで拒否することが必要であり、例えば、行政文書が存在しない場合に不存在と答えて、行政文書が存在する場合にのみ存否を明らかにしないで拒否することは適切でない。

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赤文字にした部分が重要で、「誰が請求しても同じ結果になる」との見解が間違いであることは明白だろう。「開示請求書の記載内容」と「当該情報の性質、内容を踏まえて」、とあるのだから、開示請求書の内容を変えれば別の結論が出る可能性がある。だから総務省が「何度も請求書を出して、何度も審査会にかけなさい」とアドバイスしてくれたわけだ。しかも「行政手続法8条に基づき」 「開示請求者が拒否の理由を明確に認識し得るものであることが必要である」、「存否を答えることにより、どのような不開示情報を開示することになるかをできる限り具体的に提示する」と、まさにコンメンタール的に答えている。東京都の情報公開条例よりもさらに親切、丁寧である。

これは人事院に限ったことでなく、法務省の第8条の解説もほぼ同じ文章になっている。以下を参照されたい。

http://www.moj.go.jp/hisho/bunsho/disclose_disclose04.html

このように総務省の通達、東京都、省庁と比較すると八王子市情報公開条例は不備というか、非常に不親切である。かりに私が不服申し立てをしたとしても、この不備を認めない限りは、審査会すら開かれない可能性がある。以下、条例の該当部分。

 ____________________________

(不服申立て) 
第19条 公開決定等について、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)の規定に基づく不服申立てが
あった場合は、当該不服申立てに対する決定をすべき実施機関は、次に掲げる場合を除き、八王子
市情報公開・個人情報保護審査会に諮問をして、当該不服申立てについての決定を行うものとする。 
(1) 不服申立てが不適法であり、却下する場合 
(2) 公開決定等(公開請求に係る公文書の全部を公開する旨の決定を除く。以下この号及び第21
条において同じ。)を取り消し、又は変更し、当該不服申立てに係る公文書の全部を公開する場
合(当該公開決定等について第三者から反対意見書が提出されているときを除く。) 
2 前項の実施機関は、八王子市情報公開・個人情報保護審査会に対し、速やかに諮問をするよう努
めなければならない。 
___________________

第19条の(1)が適応される可能性があるからだ。つまり、理由も説明せず存否も明かさず不開示にして、審査会が却下する、というストーリーに乗せられる可能性があり、これまでの高齢者支援課の対応を見ているとそのように持っていきたいのだろうと合理的に推理できる。

すると何故母が保護措置と決定され、1ヶ月も監禁状態に置かれたのか闇に葬られてしまう。母の証言では、隣の人物が食べかけのオカズを母の食器に入れるなど、異常者ばかり集まっている印象の施設だったらしい。その施設職員の中には事情を聞いて慰めてくれた人もいたという。

一市民として、八王子情報公開条例が人事院や法務省その他のように総務省の意向を反映して改正され、さらに具体的な逐語解釈を添え、第一条の精神が実際に生かされることを期待して本稿を締めくくる。

 



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