21日付の5大紙のうち毎日を除く4紙は、政府がきのう国会に示し公表された有識者による「いわゆる従軍慰安婦問題に関する河野談話(以下、談話)」作成過程等の検証結果について論評した。
談話の検証結果から、強制性の裏付けはなく、韓国の修正要求を入れ、両国トップが合意して作成されたことが明らかにされた。
社説では、談話醸成に役割を果たしたとまことしやかに言われる朝日が「疑義をはさむのはやめるべき」と主張したのに対し、今回の検証に至る動機づけをした産経は「破棄、撤回を含め見直せ」と真っ向から反論し、読売も「談話の見直しは、いずれ避けられない」とした。 日経は全く異なる観点から「新たな論争を生みそうだが、あえて提言したい。もう打ち止めにしよう、と」と書いた。
小欄は、「韓国は、談話の好いとこ取りをしている」と考えているので、産経の「破棄、撤回を含め見直せ」という主張が日本のとるべき道であると考える。
しかし、その時期については、安倍晋三政府でさえ「談話は検証するが見直さない」というのが精いっぱいの現情とすれば、読売が言うように「見直しは、いずれ避けられない」との感覚を政府も国民も忘れることなく抱き、竹島問題同様に対韓カードのエースとし、将来の政府に期待するしか道がない。
見直しという真実の追及行為は、大切な隣国に対する真摯な向き合い方であり、打ち止めや、ましてや疑義をはさむのをやめるという考え方は、談話と同様で軽率な良心である。 ただし、両国で「打ち止め」という手打ちができるなら最善策だ。
以下、社説タイトルと主張の要点
■朝日新聞:慰安婦検証―問題解決の原点に返れ
もう談話に疑義をはさむのはやめるべきだ。
日韓両政府に、互いをなじり合う余裕はない。河野談話をめぐって「負の連鎖」を繰り返すことなく、今度こそ問題解決の原点に返るべきだ。
■産経新聞:「河野談話」検証 やはり見直しが必要だ 国会への招致で核心ただせ
根拠のない談話により、日本の名誉は著しく傷つけられている。やはり談話は、破棄、撤回を含め見直さなければならない。
相手の意向を踏まえ、謝罪を重ねる外交姿勢は国益を害し、国際的にも信用されない。根拠が崩れた河野談話という負の遺産をなくし、事実を発信していかねば、過去の問題が蒸し返され、新たな謝罪要求を生むばかりだ。
■日本経済新聞:河野談話の論議打ち止めに
新たな論争を生みそうだが、あえて提言したい。もう打ち止めにしよう、と。
東アジアの不安定な安全保障環境を考えれば、民主主義・市場経済の価値観を共有する日韓が角を突き合わせてよいことはない。
河野談話の蒸し返しはもうやめて、未来につながる日韓連携を考えるときだ。
■読売新聞:河野談話検証 外交的配慮が事実に優先した
河野談話が起点となり、日本が慰安婦を強制連行したかのような誤解が世界中に広がっている。米国では昨年、グレンデール市に慰安婦像が設置され、韓国系米国人による反日運動が展開された。
河野談話があるために、政府は有効な反論を行えずにいる。
談話の見直しは、いずれ避けられないのではないか。
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