28日、岸田文雄外相と尹炳世外相が、日韓の慰安婦問題について「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」ことで妥結、29日付5大紙社説が論評した。
日本は、責任を痛感・元慰安婦支援新基金に約10億円拠出・安倍晋三首相がお詫わびを表明する。 韓国は、ソウルの日本大使館前に設置された慰安婦像の撤去(に努力)する。 そして、両国は「最終的かつ不可逆的な解決」と確認する。
これらは、両外相の共同発表で明言され、二人は更に、「この問題で今後、国際社会で、相互に非難・批判することを自制する」と約束した。
安倍首相は会見で、8月の70年談話でも述べたように「子や孫に謝罪し続ける宿命を負わすわけにはいかない」と語り、「私たちの世代で解決できてよかった」という意味の発言をした。 有言実行の安倍首相の決着合意は大きな成果だ。
しかし、全ての両国民がもろ手を挙げて喜んでいるわけではない。 特に、韓国政府が蒸し返す懸念はぬぐえず、大使館前の像の撤去(移転)問題など、韓国は更に国際社会から、その民度を測られることだろう。 産経が書いたように朴槿恵大統領の「告げ口外交」の終結を宣言になるのだろうか?
以下は、5大紙社説の抄録である。
■朝日:慰安婦問題の合意 歴史を越え日韓の前進を
両外相ともメディアを通じて両国民に固く誓ったのだ。合意をしっかり履行してほしい。
韓国の支援団体は合意について「被害者や国民を裏切る外交的談合」と非難している。日本側からもナショナリズムにかられた不満の声がでかねない。
だが今回の合意は、新たな日韓関係を築くうえで貴重な土台の一つとなる。日本政府は誠実に合意を履行し、韓国政府は真剣に国内での対話を強める以外に道はない。
■産経:慰安婦日韓合意、本当にこれで最終決着か 韓国側の約束履行を注視する
合意内容を具体的にみると、日本側が譲歩した玉虫色の決着という印象は否めない。このことが将来に禍根を残さないか。
朴大統領は11月の日韓首脳会談などの際、「被害者が受け入れることができ、韓国の国民が納得できるような解決策」を求めると発言してきた。
政府間で合意した以上、指導者はこれを受け入れるよう国民を説得し、支援団体などを納得させるべきだ。
韓国側は過去、日本側の謝罪を受け何度か、慰安婦問題の決着を表明しながら、政権が交代し、蒸し返した経緯がある。
「妥結」の本当の評価を下すには、まだ時間がかかる。
■日経:「慰安婦」決着弾みに日韓再構築を
今回の合意には日韓双方に不満の声も出るだろう。 だが、ようやく達成した合意である。 過去の苦い教訓も踏まえつつ、日韓が着実に履行することが肝要だ。
とくに韓国政府には世論対策を含めた真摯な対応を求めたい。過去に日本側が実施したアジア女性基金を通じた償い事業は、元慰安婦を支援する市民団体らの抵抗に遭い、韓国で十分な成果を上げられなかった経緯があるからだ。
日本大使館前の「少女像」もその市民団体が設置した。 朴政権は責任をもって、世論や市民団体を粘り強く説得してもらいたい。
■毎日:慰安婦問題 日韓の合意を歓迎する
画期的な合意であっても不満を持つ人々は残る。そうした時に大局的見地から国内をまとめていくのが政治指導者の役割だ。
韓国政府は、日本が強く問題視する在韓日本大使館前に建つ少女像の撤去にも前向きな姿勢を見せた。 韓国で慰安婦問題の象徴になっているだけに簡単ではなかろう。 真の和解につながる歴史的合意とするためには、まだ多くの作業が残っている。 日韓両国が互いを信頼し、協力していかねばならない。
日本にとって韓国は最も重要な隣国である。外交はそもそも互いに譲り合わなければ成り立たない。 今回の合意内容について、どちらが多く譲ったかの「勝ち負け論」に陥ることなく、日韓の新時代を切り開く基礎にすべきである。
■読売:慰安婦問題合意 韓国は「不可逆的解決」を守れ
大統領が交代するたびに、問題が再燃するようでは、外交は成り立たない。 安倍首相が日韓合意後、「子や孫の世代に謝罪し続ける宿命を負わせるわけにはいかない」と強調したのは、もっともだ。
朴氏が11月の日韓首脳会談で具体的な妥結案を提示せず、「被害者が受け入れ可能で、韓国国民が納得できる解決策が必要だ」と語ったのは象徴的だ。
韓国政府が合意を真剣に履行するつもりなら、まず、合意に反対を唱える国内勢力を説得できるかどうかが問われる。 少女像の撤去も重要な試金石となろう。
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