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黛信彦の時事ブログ

5大紙社説:台湾「ふ化」、田単の精神忘れるな

2016年01月17日 | 5大紙社説

台湾の総統選は野党・民進党の蔡英文主席が得票率56%超で圧勝、勝利宣言会見では「日本との関係強化」も語り、台湾初の女性総統が5月に就任する。 目からウロコだ。

蔡英文の勝利は、馬英九総統の失政が主因ではなく、台湾国民の民主主義への渇望が最大要因だった思う。

台湾世論は、対中関係では「統一」でも「独立」でもなく「現状維持」を望むものが多数だといわれている。

この世論の意味することは何か。 小欄は、第一段階で「静かに現状維持」し、第二段階で「独立」し、最終的には「台湾主体の統一」を望む台湾国民の意思の現われだと思う。

台湾は“田単”という名のフリゲート艦を持つ。 その意味するところは、奪われた領土・主権・国民をそっくり取り返すという国民・国家意識の象徴のはずだ。

しかしながら、その意識は国民党のほうが強くあるべきなのに、ノーベル賞狙いとも疑われるほど過度に中国に近づきすぎた馬英九総統の最後の一年は見苦しかった。

小欄は、台湾の民主主義と蔡英文の勝利を大いに祝福したい。

以下、17日付5大紙社説の抄録で、各紙が中国の冷静な対応を求めている。

■朝日:台湾総統選 「現状維持」を出発点に

それにしても台湾の民意の表れ方は絶妙だ。96年の初の総統直接選を起点として、00年、08年、そして今回と着実に政権交代を実現させた。

00~08年の民進党政権が台湾独立の志向を強めると民意に拒まれた。今回はその逆で、民意が均衡を回復させる重りとなった。一昨年の学生運動の流れをくむ新政党も現れた。台湾政治は進化を続けている。

中国の習近平(シーチンピン)政権は、この民主政治の現実と向き合わなくてはならない。国民党は中台交流で成果を残したが、国民党だけを台湾であるかのように扱うのは誤りである。

■産経:台湾政権交代 民意踏まえ賢明な道探れ

台湾を中国の一地方と見なし、武力統一も辞さない原則を崩さない中国共産党は、今も軍事力で台湾を威嚇している。それは、東シナ海や南シナ海において、力ずくで現状変更を図ろうとする姿勢と共通するものだ。

台湾の民意も踏まえ、国際社会は引き続き中国への監視を続けなければならない。5月に就任予定の蔡次期総統には、そうした国際情勢を勘案しつつ、対中政策のかじ取りを進めてほしい。

国際ルールを無視し、海洋覇権を追求する中国に対し、自由の海や法の支配を守る立場から、地域の民主主義国が台湾との連携を強めていくことも促したい。

■日経:台湾初の女性総統が問われる対中政策  

心配なのは、共産党政権が「一つの中国」の受け入れを蔡政権に迫って、関係を後退させる可能性だ。これまでに築いた成果を台無しにしないよう、習主席らは建設的な姿勢を求められる。

蔡主席は昨年10月に来日し、環太平洋経済連携協定(TPP)に台湾が加わることへの支持を訴えた。安倍晋三政権は米国などとも連携しながら、TPP参加への地ならしにつとめるべきだ。

■毎日;台湾総統選 中台関係の安定化図れ

問題は中国の出方だ。中国は「一つの中国」を前提に交流を進めるという「92年コンセンサス」の受け入れを迫っているが、無理強いするのでは台湾の反発を招くだけだ。蔡氏はコンセンサスを認めないが、否定もしないという現実的態度だ。一致点を探り、対話を進めるべきだ。 

初の女性総統の誕生は女性の政界進出がアジアでトップクラスという台湾政治の開かれた側面を象徴するものでもある。民進党は脱原発や格差是正、社会政策充実などを主張している。社会安定化に向けた手腕にも注目したい。

■読売:台湾総統選 対中急接近が生んだ蔡新政権

蔡氏は「台湾に民主主義が浸透していると、国際社会に伝えることができた」と勝利宣言した。

将来的な「統一」を狙う習近平政権は間接的な表現ながら、92年合意を認めなければ、「現状維持」はできないと警告している。

蔡氏が92年合意を拒否し続けるのなら、経済交流に圧力をかけ、新政権を揺さぶるつもりではないか。台湾を訪れる中国人観光客や旅客機の直行便の制限などもカードの一つだろう。

台湾海峡の行方は、東アジアの安定に関わる。中国に求められるのは、責任ある対応である。


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