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東京目黒から山梨へ育児のためにお引越し。40代高齢出産ママの雑記帳です。

言葉を育てる-米原万里対談集

2009年01月05日 | 本のこと
言葉を育てる―米原万里対談集 (ちくま文庫)言葉を育てる―米原万里対談集 (ちくま文庫)
米原 万里

筑摩書房 2008-09-10
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久しぶりに米原万里さんの本を読んだ。
あのサバサバした口調が懐かしい。

ロシア語会議通訳者としての経験を生かし、文化人類学、比較文化学、言語学、
第二言語習得などに関する内容を、面白おかしく、且つ非常に生真面目に論じる
彼女のエッセイはわたしの長年の愛読書。

本書では、米原万里とその他何人かの著名人との会談が収録されているが、
チェコ・プラハ時代の同窓生・小森陽一氏、「免疫の意味論」の著者・
多田富雄氏、政治家・辻本清美氏との会談内容は実があって面白かった。

同業者であるイタリア語通訳の田丸公美子さんとの会談は、悪友同士、
秘密を共有している者同士、呼吸が合っているのと、お互い言いたい放題なのが
こちらを羨ましがらせるほど楽しげ。

こんなに楽しくやっていた友人を失ってしまった田丸さんの気持ちを考えると
切なくなってくる。

でもね、本書の中で一番読んで欲しいのは最後の部分、
黒岩由紀子さんの「素顔の万里さん-解説にかえて」。

米原万里さん自身がいかに豪快な人物であったかということを
本人以外の人から聞くことほど面白いことはない。

その女王様振り、異邦人振りでひとしきり笑わせ怖がらせた後は
彼女の不在がどれほど大きい損失であるかを改めて訴えかけてくるそんな内容だった。

私の財産告白(本多静六)

2009年01月04日 | 本のこと
私の財産告白私の財産告白
本多 静六

実業之日本社 2005-07-10
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お正月で帰省中、姉夫婦毎年恒例の「夫婦漫才」が勃発。
家計の話から発展し国政の話まで幅広く議論した姉夫婦ですが、
最後は義兄の「お小遣いを増やして」というお願いで収束。

♪みっともないから およしなさい
もっとでかい事 なぜ出来ぬ♪

どこからともなく、ハナ肇とクレイジーキャッツの
「ショボクレ人生」のメロディーが聞こえてきた瞬間でした(笑)

それはそうと、この「夫婦漫才」の中で姉が力説していた内容が
東大教授で億万長者の本多静六氏の「雪だるまの芯」説そのもの。

「金というのは雪だるまのようなもので、始めはほんの小さな玉でも
その中心になる玉ができると、あとは面白いように大きくなってくる」

というのが本多氏の「雪だるまの芯」説だけれど、姉が実体験から学んだ
金銭感覚というか嗅覚は、この偉大な投資家と同じことだった。ビックリ~!

ちなみに、本多氏曰く、初めからお金持ちなわけではない「持たざる者」は
給料が入ったらその4分の1を必ず貯蓄に回すこと、また臨時収入も貯蓄に回して
「雪だるまの芯」を作ることを奨励しています。

それにしても、いつも感心するのは、本当にすごい人というのは
必ず実生活の中から真理を突き止め、自分の人生哲学としていること。

うちのお姉ちゃんって、すごい人だったのねぇ、尊敬してしまった。

タイ焼きがらみで

2008年12月30日 | 本のこと
アマゾンでこんな本を見つけて速購入♪

東京たいやきめぐり東京たいやきめぐり
東京くいしんぼ倶楽部

バナナブックス 2007-09-20
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「東京たいやきめぐり」では、都内の老舗たい焼き屋や変わりたい焼き屋が
紹介されています。先日行った恵比寿のたい焼き「ひいらぎ」と「ちか八」も載っていました。


鯛ヤキの丸かじり (文春文庫)鯛ヤキの丸かじり (文春文庫)
東海林 さだお

文藝春秋 1997-11
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東海林さんの「鯛ヤキの丸かじり」ではタイ焼きはもちろん他の食べ物についても
独自の視点で言いたい放題、だけど妙に言いえている評価が満載。

何気なく食べているものでも、ちょっと斜めから見たり、上から見たり、
視点を変えることで、日常のちょっとしたことがこんなにも面白くなる
といういい例です。

読みながらニヤニヤしちゃうのが東海林さんのエッセイ。
外で読むときは気をつけないと、気持ち悪い人になっちゃう。

それからはスープのことばかり考えて暮らした

2008年12月26日 | 本のこと
それからはスープのことばかり考えて暮らしたそれからはスープのことばかり考えて暮らした
吉田 篤弘

暮しの手帖社 2006-08
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吉田篤弘さんの作品。

新しい町に越してきたオーリィ君と彼が出会った人たちとの心温まる交流の話。
登場人物はみんなユニークで、みんな何かしらちょっとセンチメンタルな所がある。

大きなメガネをかけた小学生リツ君は、とても大人びていて生意気だけど
お母さんがいない寂しさに耐えている健気さがかわいい。

リツ君のお父さんで「トロワ」というサンドイッチ店の店長、安藤さん。
とってもおいしいサンドイッチを作ることができるけど、職人気質で
息子とのコミュニケーションはうまくいかない。

フランス映画に出てきそうな古アパートのマダムという雰囲気の
年齢不詳、言うことにいつもハズレがない大家さん。

それぞれドラマがあって、それぞれにじんわりするお話だけど、
一番心に残ったのは、主人公オーリィ君の片想いの物語。

主人公オーリィ君は古~い映画が好きで同じものを何回も繰り返し観ている。
単なる映画好きかと思いきや彼が観ている古い映画には決まってある女優さんが
ときにはほんの一瞬だけ、またときには少年に扮して、出演しているのです。

オーリィ君は、この「松原あおい」という女優さんを観るために
同じものを何回でも観るし、遠くの映画館まで足を運ぶのです。
まるで、遠くに住んでいる恋人に会いに行くかのように。

芸能人に憧れることは珍しくないし、熱狂的追っかけファンも少なくないけれど
オーリィ君のあおいさんに対する想いは、静かで清らかで、まるで中学生の初恋みたい。

画面の中のあおいさんに釘付けになるあまり、大好きなポップコーンが
袋からあふれ出して足元にこぼれ落ちるのも気にならなくなってしまうほど
うわの空になってしまうし、彼女が映画の中で吹いていた口笛を
それと気づかずに自分も吹いていたり。

ところが、ある日、スクリーンの中のあおいさんがオーリィ君の日常に登場します。
チャーミングで「ダンディ」なおばあちゃんとして。

時間的な距離が年齢差となって現実になっても、オーリィ君のドキドキは消えない。

それどころか、自分の時間を少し進めて、あおいさんの時間に合わせようとする
最後の章は、ちょっとホロッときちゃう。

沼地のある森を抜けて(梨木香歩)

2008年12月24日 | 本のこと
沼地のある森を抜けて (新潮文庫)沼地のある森を抜けて (新潮文庫)
梨木 香歩

新潮社 2008-11-27
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内田樹さん流に言えば、梨木さんは「強い想像力」の持ち主だと思う。

目の前に物理的に広がる世界を描くのではなく、その存在すら普段は
認識していないような不可視の世界を小説として描いちゃうんだから。

それも「ぬか床」を通して。

おいしいお漬物を生み出す場としての「ぬか床」から人が生まれてくるなんて
奇想天外なお話にちょっと微妙な感じもあったけど、読み進めるとこういうのもありかなと。

主人公の久美や風野さんら研究者たちの専門的な分析ややりとりがなんだか
今の職場を連想させたりして、舞台はあの下町付近かと思うと親近感まで沸いてくる。

野菜をつけたり、ナスの皮が赤くなったり、唐辛子を入れたりと非常に日常的な
「ぬか床」をめぐるエピソードと平行して、微生物の世界、生命の不思議、性とか
個人というものについて語られるこの作品は、宇宙的ロマンに満ちているようです。



つむじ風食堂の夜(吉田篤弘)

2008年12月23日 | 本のこと
つむじ風食堂の夜 (ちくま文庫)つむじ風食堂の夜 (ちくま文庫)
吉田 篤弘

筑摩書房 2005-11
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この前「かもめ食堂」を読んでから、「食堂」とか「レストラン」とか
「料理人」とかいう言葉に妙に反応してしまう。

おなかが空いているのか、あたし?

「つむじ風食堂の夜」は、月舟町というどこかに存在する町が舞台の物語。
つむじ風が渦巻く十字路にある「つむじ風食堂」を接点に町の住人の交流を描く。

登場人物はそれぞれユニークで興味深いのだけれど、わたしが最も魅かれたのは
建物や食器や家具など「もの」の描写。

読んでいるとまるで目の前にあるかのように情景が浮かんでくる。
それもどこかのほほんという感じで。

つむじ風食堂の飴色のテーブル、平凡な白い丸皿についた無数のキズ、
十頁に及ばんとする本格的なメニューブック。

主人公が幼いころ父親に連れられて行ったコーヒースタンドのドーナツ・
カウンター、「エスプレーソ」を入れる不思議な銀色の機械とそれを拭く
水色の柔らかい布。

夜遅くまで開いている果物屋さんの主人が読書する傍らに置いてあるオレンジと、
そのオレンジに反射する電球の灯りなどなど。

全体的な印象としては、大正から昭和初期か、はたまたヨーロッパの田舎町の雰囲気が漂う物語でした。

みずうみ(よしもと ばなな)

2008年12月22日 | 本のこと
みずうみ (新潮文庫)みずうみ (新潮文庫)
よしもと ばなな

新潮社 2008-11-27
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久しぶりによしもとばななの作品を読んだのですが、
相変わらずなんと言っていいかわからない。

拒絶反応はもちろんないけど、なんか肌が合わない感じがして
お腹の辺りがじんわりと温まる感じがしてこない。

言い換えれば、心温まらずって感じ。

つらい過去と重い心の傷を持つ中島君の台詞に
「数少ない気持ちの暴力が少ない人」というのがある。

こんなことを言われたら、言われた本人はうれしいかもしれないけど
こうやって繭を紡ぐように2人だけの世界を作り上げちゃったら、
その他の周りの人はどうしたらいいの?

そういう疎外感がいつも漂うよしもとばななの描く世界だから何も言えなくなっちゃう。

知に働けば蔵が建つ(内田樹)

2008年12月17日 | 本のこと
知に働けば蔵が建つ (文春文庫)知に働けば蔵が建つ (文春文庫)
内田 樹

文藝春秋 2008-11-07
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なんだか小難しい話が満載だけど、そういうのが好きな人にはいいかも。
政治や哲学や社会学の話など身近な話題も多い。

この本を読んでいて思うのは、著者はすっごく頭のいい人なんだなということ。
考えるのが好きなんだ。趣味なんだ。きっと。どんな些細なことでも疑問を持って
いろんな角度から眺めて、自分が考えたことを自分の言葉で説明するのが好きなんだな。

ただ思うにこれは独り言だ。著者の結論が述べられるまでにいろんなところに
考察が及ぶし、それを全部説明しようとするから、話の流れがストーンストーンと
入ってこなくて、結局途中で飽きちゃうの。わたしの理解力の問題でもあると思うけどね。

それでもいくつもある項目のうち、ちょっと読むスピードを落として
じっくり眺めた結果、次の2つの項目はおもしろかったな(いずれも短め)。
「宿命とは何か」というのと「嫌いな人との付き合い方について」。

著者曰く「強い想像力を備えた人は構造的に幸福な人」だそうです。
想像力豊かな人はいろいろ想像しすぎた結果何かが起きたとき
これって前にもあった・・・運命だ!って感動・感激できるメカニズムを持ち
死ぬときに「思い通りの人生だった」って満足できるから幸せなんだって。

本当かどうかはわからないけど、いいことに関しては運命だ!宿命だ!って
めいいっぱい自分を騙して信じ込んだ方がいいことあるかもね。

茜に燃ゆ (黒岩重吾)

2008年12月10日 | 本のこと
有名な万葉歌人・額田王の物語。

天智天皇と天武天皇という二人の兄弟に愛された女性としても有名です。
むかし井上靖の「額田女王」を読んで以来、久しぶりに読んだ額田王の物語です。

読後の感想としては、時代背景や額田王の人物像、皇極天皇との関係など
歴史的な観点からみてもかなり興味深い内容だったと思いますが、同時に
男性に飽きられないようにするための秘訣が盛りだくさんだったのも面白かった。
この点については著者の独断と偏見の部分もかなりあるとは思いますが・・・

額田女王といえば、心が強くて聡明で情熱的で、男の言いなりにはならないわよ
って感じで格好いい女性ですが、ちょっと浮いた存在でもあります。

当時の一般的な女性像としては、美しく可憐であることが大事な条件だったようです。
本書では、「かたかごの花」のような鏡女王が額田王の好対照として登場します。
額田と同時代に生きた歌人で天智天皇の妃でしたが、後に臣下の中臣鎌足に与えられ、
泣く泣く受け入れることになってしまう。
愛する人からのお願いだったとしても、額田には考えられない結末。

年頃になった額田王は鏡女王を近くで見ていて、男性に飽きられない方法を考え始めます。
歌人としての腕を磨くこと、政治的な話もできるようになること、など
「美貌以外に強みを持つ」というのが額田が選んだ道です。

最近の女性誌でもよく取り上げられていそうなポイントですね。

飛鳥や吉野、大津などが舞台なので、読んでいるうちに奈良や琵琶湖の辺りに
興味が出てきてとっても行きたくなりました。

茜に燃ゆ―小説 額田王〈上〉 (中公文庫)茜に燃ゆ―小説 額田王〈上〉 (中公文庫)黒岩 重吾中央公論社 1994-08売り上げランキング : 77668おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools


茜に燃ゆ―小説 額田王〈下〉 (中公文庫)茜に燃ゆ―小説 額田王〈下〉 (中公文庫)黒岩 重吾中央公論社 1994-08売り上げランキング : 77755おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools


かもめ食堂 (群ようこ)

2008年11月26日 | 本のこと
しばらく放っておいたブログがやっと再開できそうです。

とにかく10月・11月は忙しかったあ~(涙)
物理的にも心理的にも全然余裕がなかったあ~(涙)

やらなければならないことが次から次に発生して
いろんなことが後手に回ったりギリギリになっちゃったり。

いつも仕事は早めに終わらせて「ふふ~ん♪」って
余裕な態度で格好つけるのが好きだったのに・・・
仕事に追われる自分がみっともなくて厭だったよお(泣)

でもっ!そんなみっともない自分とは今日でお別れ。
やっといつものように早めに終わらせるスタイルに戻れました(祝)

ということで、ブログ再開なんだけど、久しぶりに読書感想。

かもめ食堂 (幻冬舎文庫 む 2-12)かもめ食堂 (幻冬舎文庫 む 2-12)
群 ようこ

幻冬舎 2008-08
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群ようこさんの本はけっこう好きでいままでいろんなのを読んだけど
本書「かもめ食堂」も期待通りの面白さ。

フィンランドにある日本人が経営するカモメ食堂のお話です。
いまどきのネーミングでは「カフェ」ってなりそうなところが
昭和のにおいが漂う「食堂」になっているっていうのがミソ。

主人公サチエの理想は、「昔の食堂みたいに近所の人がやってきて、
楽しく過ごして食べる素朴だけどおいしい」料理を出す店。

わかるぅ~わかるぅ~わかるぅ~

恥ずかしいぐらい外食に頼りきりのわたしの食生活ですが
本当においしくて何度も行きたくなるような、毎日通っても
身体に負担がかからないようなお店って実は少ないのよね。

テレビや雑誌で毎日のように有名処が取り上げられていし
ミシュランなんかもたいそうな売れ行きらしいけど、
求めているものとちょっと違うなって思う。

外観や内装がおしゃれで、立地が良くて、創作料理がお得意で、
産地直送とかブランド食材とか扱ってて、有名人もお忍びで来てて・・・
なんて売り文句満載で、味が濃いめで、食べ続けると具合悪くなりそうな
料理を出す店じゃなくて、心にも胃にも優しいお店が近所にほしい。

だからといって、流行の単なるチェーン展開しているような
オーガニックの店とかじゃなくて、作っている人の顔が見えて
声が聞こえるような店。

だから、主人公サチエの食に対する考え方にはすっごくすっごく共感できる。
わたしにとってのカモメ食堂、いつか見つかるといいなあ。