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東京目黒から山梨へ育児のためにお引越し。40代高齢出産ママの雑記帳です。

つむじ風食堂の夜(吉田篤弘)

2008年12月23日 | 本のこと
つむじ風食堂の夜 (ちくま文庫)つむじ風食堂の夜 (ちくま文庫)
吉田 篤弘

筑摩書房 2005-11
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この前「かもめ食堂」を読んでから、「食堂」とか「レストラン」とか
「料理人」とかいう言葉に妙に反応してしまう。

おなかが空いているのか、あたし?

「つむじ風食堂の夜」は、月舟町というどこかに存在する町が舞台の物語。
つむじ風が渦巻く十字路にある「つむじ風食堂」を接点に町の住人の交流を描く。

登場人物はそれぞれユニークで興味深いのだけれど、わたしが最も魅かれたのは
建物や食器や家具など「もの」の描写。

読んでいるとまるで目の前にあるかのように情景が浮かんでくる。
それもどこかのほほんという感じで。

つむじ風食堂の飴色のテーブル、平凡な白い丸皿についた無数のキズ、
十頁に及ばんとする本格的なメニューブック。

主人公が幼いころ父親に連れられて行ったコーヒースタンドのドーナツ・
カウンター、「エスプレーソ」を入れる不思議な銀色の機械とそれを拭く
水色の柔らかい布。

夜遅くまで開いている果物屋さんの主人が読書する傍らに置いてあるオレンジと、
そのオレンジに反射する電球の灯りなどなど。

全体的な印象としては、大正から昭和初期か、はたまたヨーロッパの田舎町の雰囲気が漂う物語でした。

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