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東京目黒から山梨へ育児のためにお引越し。40代高齢出産ママの雑記帳です。

死ぬことと見つけたり(慶一郎)

2009年08月05日 | 本のこと
死ぬことと見つけたり〈上〉 (新潮文庫)死ぬことと見つけたり〈下〉 (新潮文庫)


敬愛する慶一郎氏の遺作。
本書もまさかの未完。

本当にいいところで終わってしまっているんだなあ・・・

他の慶一郎作品と同様、非常にすっきりと気持ちのいい男達が活躍する。
いつもそうだけど、男に生まれていたら、こういう風に生きてみたいと思わせる。


ところで、本書は『葉隠』をもとにした時代小説。

新篇 葉隠 (タチバナ教養文庫)葉隠入門 (新潮文庫)

『葉隠』とは肥前国鍋島藩に伝わる武士の心得書。

    朝毎に懈怠なく死して置くべし
    武士道と云ふは死ぬ事と見つけたり
    恋の至極は忍恋と見立て申し候

などで有名らしい。

らしいというのは、わたしはまだ読んだことないからね。
三島由紀夫が座右の書としていたらしい。

『葉隠』は戦時中は陸軍将校の愛読書だったらしい。
その『葉隠』との出会いから本書を執筆するに至った経緯が
本書の冒頭で説明されている。

徴兵された際『葉隠』をくり抜いてランボウの『地獄の季節』を埋め込み
軍に持ち込んだこと、活字に飢えてやむなく『葉隠』を読むようになり
いい加減に読み飛ばしエピソードばかり読んだ結果が意外に面白かったこと、
『葉隠』の「野放図で、そのくせ頑なで、一瞬先に何をしでかすか全くわからない、
そうした人間像がひどく魅力的だった」らしい。


隆氏が云う「僕の葉隠」は、いわゆる正当な『葉隠』解釈とは異なる。

「無茶苦茶にデフォルメされた、ほとんど別物」のお話で
「手に汗握り、血湧き肉躍る態の大ロマン」だったのだ。

本人は歴史的な書をこんないい加減に読んで冒涜だと反省し恐縮しているが
氏のデフォルメのおかげでこんなに面白い作品ができたのだから
一読者としては非常にありがたい。

だからこそ、最後まで読んでみたかったな、
慶一郎の『葉隠』を・・・

地団駄は島根で踏め(わぐりたかし)

2009年06月22日 | 本のこと
声がもどってこない。。。

おしゃべり好きなわたしですが、さすがにこのままではやばいと
のどをかばい、いたわり、なるべく話さないようにしている。

どうしても話したいときは、息を出してささやくような感じで。
明日からの仕事復帰に間に合うのだろうか。。。


お天気も体調も優れないときは、格好の読書日和。
とはいえ、まだ目を通していない面白そうな本が手元にないので
以前読んで楽しんだ本を再読している。

地団駄は島根で踏め (光文社新書)地団駄は島根で踏め (光文社新書)
わぐりたかし

光文社 2009-03-17
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本書もそのうちのひとつ。
自称「語源ハンター」の著者が語源を訪ねて日本中を訪れた記録。

うだつがあがらない、ごり押し、ひとりずもう、らちがあかない、もとのもくあみ

などなど、普段何気なく使っている言葉の数々に注目し、その発祥の地を訪ね
どのようにしてある言葉が生まれたのかを解き明かすだけでなく
ついでにご当地のおいしい物もいただいちゃうという楽しい旅録なんですね。

この夏、四国ドライブ旅行を計画中のわたしたち夫婦。
途中で、語源の地にも寄ってみようかしら。

もちろん目当ては語源ではなく、ご当地グルメなんですけどね。

具合は悪くても食欲だけは健全すぎるぐらい健全。
道理でやせないわけだわね。



生きがいの本質(飯田史彦)

2009年06月19日 | 本のこと
生きがいの本質―私たちは、なぜ生きているのか (PHP文庫)生きがいの本質―私たちは、なぜ生きているのか (PHP文庫)
飯田 史彦

PHP研究所 2001-08
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生きがいシリーズの最後の1冊。
このシリーズ、普通に読んだらかなりぶっ飛ぶ。
この人、大丈夫?と突っ込みたくなるかもしれない。

何しろこの著者の主張は、

わたしたち人間はこれまで何度も生まれ変わっており
毎回生まれる前に自分の今回の生における学びの計画をたてて
両親をも自ら選んで生まれてくること、

生まれ落ちた瞬間わたしたちは自分の計画を忘れてしまうが
辛く悲しい出来事のすべては自分で自分に用意した試練であり
学びのチャンスなのだから、そこから逃げずに
何を学ぶはずだったのかを思い出す努力をしよう

というもの。

このシリーズに出会ったのはかれこれ6~7年前。
まず、「生きがいの創造」を読んで、次ぎに「生きがいのマネージメント」を読み
最後にこの「生きがいの本質」を間をあけずに一気に読んだ。

当時は年齢的にも立場的にもいろいろ悩んでいた時期。
この本はある意味ものすごい救いになった気がする。

本棚の奥の方に埋もれていた本書を救出しちょっといい気分なのでした。


いわずにおれない(まどみちお)

2009年06月18日 | 本のこと
久しぶりのエントリー。

忙しい毎日を過ごす中、またしても高熱を出してダウン・・・
今年に入って何回目だろ、高熱出すの・・・
今回は声も失った・・・

仕事先に休みの連絡を入れたもののほとんど声が出ず
担当者も電話口でちょっと苦笑。わたしも苦笑。

1日何度もうとうとして、目が覚めたら本を読んだりテレビを見たりして
久しぶりにゆっくりしたような。

まだ声は出ないけど、明日は大丈夫かしら。


以前読んでそのままにしていた詩人まど・みちおさんの本
「いわずにおれない」を再読。

いわずにおれない (集英社be文庫)いわずにおれない (集英社be文庫)
まど みちお

集英社 2005-12
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地球上のすべての存在に心をふるわせ、感謝の気持ちを詩にし続けるまどさん。

「この世の中のありとあらゆるものは、すべてが自分としての形や性質をもっていて、
それぞれに尊い。そこにあるだけ、いるだけで祝福されるべきものであり、
みんな心ゆくままにそんざいしていいはず」

わかる。あたまではわかる。
でも、こころがまだついていかない。
特にこんなふうに体調が悪いときはだめだぁ。

早く心も体も元気になりたいよぉぉぉ。

日本の歴史をよみなおす(網野善彦)

2009年05月18日 | 本のこと
日本の歴史をよみなおす (全) (ちくま学芸文庫)日本の歴史をよみなおす (全) (ちくま学芸文庫)
網野 善彦

筑摩書房 2005-07-06
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純粋に歴史に興味があったわけではない。

大好きな慶一郎氏と北方謙三氏の時代小説を読んでいるうちに
この二人には何か共通する点があることに気がついた。

ちょっと調べ始めたら二人の共通点が網野善彦氏の研究にあることが判明。

日本は農業中心社会だった・・・という一般的に信じられているイメージを
各地を歩き回り膨大な史料を集めることで覆した氏の研究はロマンに溢れている。

多くの作家の想像力を刺激し創作意欲を高めたのは当然でしょう。

氏や北方氏だけでなく、『もののけ姫』にも影響を与えた網野史学。
すっごく面白いです。
人や土地や仕事に対する見方が変わります。

クラシックを聴け!(許光俊)

2009年05月17日 | 本のこと
クラシックを聴け!―お気楽極楽入門書クラシックを聴け!―お気楽極楽入門書
許 光俊

青弓社 1998-09
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辛口批評家としておなじみの許さんの1冊。

クラシックは好きだけど、詳しい理論はまったくわかってないし
わからなくても好きなんだけど、なんか文句ある?

というまさにわたしのようなズブの素人には激しく敬遠されそうだけど
なんのなんの、本書を読んでよかったわ~♪

心や体で感じるだけでなく、頭で理解し感じることで、これまでよりも
数倍、いや数百倍クラシック音楽を楽しめるというのですよ。

いつも疑問に思っていたことも解消されたし
最近足が遠のいていたコンサートにもまた行く気になってきましたよ~♪

インテリジェンス人生相談 [社会編]

2009年05月15日 | 本のこと
インテリジェンス人生相談 [社会編]インテリジェンス人生相談 [社会編]
佐藤 優

扶桑社 2009-04-25
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『国家の罠』『獄中記』などの著者、佐藤優氏による人生相談。

国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫)獄中記 (岩波現代文庫)

外務省でロシア情報収集・分析の専門家として活躍中に背任容疑で逮捕され
現在は外交官の仕事は休職中(起訴休職外務事務官というらしい)、
主に執筆活動に専念しているらしい。

他の著作はお堅い内容の物ばかりなのに、本書はわりと一見いい加減な感じ。
人生相談にはアイロニーやユーモアが必要であるという著者の考えによるらしい。

自分や自分を取り巻く環境を客観的に捉えれば、悲喜こもごも、悲劇も喜劇に変わる。
生きづらい世の中も少しは生きやすくなるというもの。

わたしもけっこうな drama queen (それもかなりの「悲劇系」)ですから
蟻の涙のようなちっちゃいことも、地球滅亡規模に発展させるのは得意中の得意。

それも毎日最低1回はこの調子でいるわたしの言動を
これも毎日のように夫君に笑われることでけっこう救われているのかも。


ユーモアは重要ですよ、ホント。



ただ~し!『インテリジェンス人生相談』に寄せられる悩みの中には
自分だけではどうしようもないものや笑い飛ばすことができないものもある。
そんな場合、この人生相談では、今できることを具体的にアドバイスしたり
お勧め図書を紹介したりしている。

例えば、マルクス、太宰治、夏目漱石、渡辺淳一、酒井順子、海棠尊などの著作を紹介したり
『いつまでもデブと思うなよ』『食糧自給率の「なぜ?」~どうして低いといけないのか?~』
『いまどきロシア ウォッカ事情』『日本共産党』『経済原論』などなど、扱う話題も幅広い。

もちろん、自身の著書を紹介するのも忘れない。

『インテリジェンス人生相談』、かなり勉強になります。
SPAでの連載が今後も末永く続くことを期待しています。

のぼうの城(和田竜)

2009年04月21日 | 本のこと
のぼうの城のぼうの城
和田 竜

小学館 2007-11-28
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ちまたで話題の新感覚エンターテイメントの歴史小説。

大人気なもので図書館で予約してから約半年かかってやっと順番が回ってきた・・・

新感覚エンターテイメントといわれるだけあり
これからの成長が大変楽しみな感じの作家さん。

今回取り上げた題材はよいし全体的な話の展開も面白かったけど
もっともっと丁寧に掘り下げ、話を広げることができたはず。

キャラクター設定はなかなか強烈なものがあり、贔屓の登場人物がひとりは見つかるでしょう。

次作の『忍びの国』も評判なのでぜひ読みたい。
今のところやはり図書館の順番待ち状態です。

早く順番が回ってこないかな~♪

高嶋ちさ子の名曲案内

2009年04月20日 | 本のこと
高嶋ちさ子の名曲案内 (PHP新書)高嶋ちさ子の名曲案内 (PHP新書)
高嶋 ちさ子

PHP研究所 2008-11-15
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いつか一度は行ってみたい『めざましクラシックス』。

本書の著者がフジテレビのアナウンサー軽部真一氏と
プロディースするコンサートです。

エネルギッシュで口の悪い著者と、蝶ネクタイで折り目正しそうな外見に
抜け目のなさそうな目をした軽部さんの掛け合いを生でみてみたい・・・


本書では高嶋氏お得意のしゃべり(口調)で
自身が愛してやまないクラシックの名曲を紹介しています。

単なる曲の紹介に留まらず、本人のドジ話や体験談なども交えユーモアたっぷり。
笑いが絶えない高嶋氏のコンサートスタイルがどのようにしてできたのか
などについても触れられている。


ところで、本書であちこちに登場する著者のお師匠・徳永二男センセイ。

著者がパガニーニ『ヴァイオリン協奏曲第一番』を指導してもらっていたときの
エピソードが秀逸でした!


「君、なんでこんなの弾けないの?僕なんてほら~」(←本書から引用)


って、そのテクのすごさを弟子に見せつけるだけ。

う~ん、すべてのコーチング理論を覆す指導者。
これぞ、天才の指導です。


思わず「のだめカンタービレ」かと思っちゃいました!
(こんなエピソードはないですが・・・)

のだめカンタービレ(1)のだめカンタービレ (2) (講談社コミックスキス (382巻))のだめカンタービレ (3) (講談社コミックスキス (393巻))

「のだめ」といえば、一時期けっこう熱心に買い集めていたのに
知らないうちに夫がBookoffに売ってしまっていて大ショック。
また買おうかな・・・

ちなみに、今は「バイリンガル版のだめ」もあるんだよん。
って、もう知ってるか。。。

バイリンガル版 のだめカンタービレ〈1〉 (KODANSHA BILINGUAL COMICS)バイリンガル版 のだめカンタービレ〈1〉 (KODANSHA BILINGUAL COMICS)
玉置 百合子

講談社インターナショナル 2007-03
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フジ子・ヘミング 運命の力

2009年04月18日 | 本のこと
フジ子・ヘミング 運命の力フジ子・ヘミング 運命の力
Ingrid Fujiko V.Georgii‐Hemming

阪急コミュニケーションズ 2001-06
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8~9年前にNYのカーネギーホールでフジ子・ヘミングのピアノを聴いた。

ステージに現れた彼女の衣装は、長いスカーフやゆったりした上着など
どこの国の人かもしれず、またクラシック・コンサートではみたことがない
少し風変わりな感じでしたが、誇らしげに歩く姿やポソっと話すところや
気持ちよさそうに演奏する姿なんかが印象的なコンサートでした。


ずいぶん前のことなのに、あのときの光景が鮮明によみがえってきたのは
本書に収められたたくさんの写真やイラストのせい。

フジ子・ヘミングの創り出す世界はロマンチックで繊細で誇り高い。
それは彼女の生い立ちやこれまでの人生経験からそうなっているんだけど
彼女のコンサートも、彼女が描く絵も、彼女の書く文章も、統一感ある雰囲気。

すべてがフジ子・ヘミングを体現して、ここまで自分で統一感が持てたらどんなにいいか。

あまり自分を持っていなくて、人に影響されやすいわたしにとっては羨ましい限り。

人間よりも犬や猫が大好きと本書でも言っていたフジ子・ヘミング。
毎年、動物愛護チャリティーコンサートを開催しているらしいので
今年はぜひ行きたいなあ。