○「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち) オリジナル・サウンドトラック」(2008)
以前感想を書いた若松孝二監督作品のサウンドトラック。音楽を担当したのはジム・オルーク。
映画を見ながら聴いていた時には、まったく具象的な音楽に思えたのだが、こうして純粋に音楽だけと向き合ってみると、オルーク氏らしい抽象もそこここに感じられる。
でも中心はやっぱり具象だ。ストーンズみたいなギターリフを持つ曲があったり、「暗黒の世界」クリムゾンを連想させる曲があったり。
多くの曲でギターがメインなので、これまであまり意識したことがなかった「ギタリストとしてのジム・オルーク」の魅力を再発見したりもした。
ブックレットに掲載されているインタビューによると、彼は、若松監督に何度もダメ出しをくらって、悪戦苦闘しながらこの音楽を作り上げたらしい。ここに流れる"70年代的な匂い"は、監督の意向が反映したものなのかもしれない。
映画の性格上、明るい曲などひとつもなく、戦闘的であったり、陰鬱であったり、禁欲的であったりする曲ばかりが並ぶわけだが、だからこそ、ラストに置かれた「Pictures of Adolf Again」の叙情性が際立つのだろうと思う。
そして、「Pictures-」の歌詞を読むと、なぜこの曲がこの映画のためにカヴァーされたのか、わかるような気もしてくる。
どんな曲なのか聴いてみたい人はここでどうぞ。
「新聞やTV画面に アドルフの姿が再び現れる/俺が腰を下ろすとすぐに アドルフの姿が現れる/間違ってる あんたは間違ってる/もう手札は捨てたほうがいい/間違ってる あんたは間違ってる/"アドルフはもう現れやしない"なんて」
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