音楽中心日記blog
Andy@音楽観察者が綴る音楽日記
 



  

○カトリン・フィンチ「J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲」(2009)
 あいかわらずクラシックばかり聴いてます。いまやグラモフォン55枚組だけでは満足できなくなり、いままでのぞいてみたこともなかったアマゾンやHMVオンラインや@TOWER.JPのクラシックコーナーをじっくりとチェックして、あれを聴いてみようこれも聴いてみたいと欲望のまま突っ走っております。困ったもんです。

 そんな状況の中、出会ったのがこのアルバム。英国ウェールズ出身の女性ハープ奏者が、バッハのゴルトベルク変奏曲を演奏した作品です。

 ゴルトベルク変奏曲といえば、グレン・グールドの演奏が自分にとって最高最良のものであるという確信は絶対的にゆるがないのですが('55年版'81年版、どちらも甲乙つけがたい…)、曲自体が好きだということもあり、他の演奏者によるCDもいくつか楽しんできました。アンドラーシュ・シフによるものグスタフ・レオンハルトによるハープシコード版、そしてカナディアン・ブラスによる金管五重奏版などなど。

 最初このCDのことを知ったときには、正直「あれをハープで弾くの?イロモノっぽいなー」と思ったのですが、好奇心に負けて、気がつけば「購入する」ボタンをクリックしていました。そして届いたCDを実際に聴いてみたら、たいへん素晴らしかったと。

 ハープの響きがとてもやわらかくしなやかで、鍵盤楽器で弾いたゴルトベルクとはまた違った味わいがありますね。最初のアリアから第1変奏に移るところなど、グールドだとガツンとした衝撃がくるのですが(そしてそれがとてもカッコイイわけですが)、フィンチさんの場合は、実にスムースに、心地よくつながっていきます。ああそういえばこの曲って、もともと不眠症の貴族のために演奏されたとか言われてたんだっけ(*注)、てなことを思い出しました。今まで聴いたゴルトベルクの中では、一番、睡眠導入音楽としての効用が高いかもしれません。実際、ここのところ毎日、寝る時にはこれを聴いています。気持ちよすぎてあっと言う間に寝落ちしてしまうので、なかなか最後まで聴き通せないのが難ではありますが。
 
 どんな感じなのか興味を持った方はこの映像↓をどうぞ。また、アリア以外の部分を試聴したければここで聴けます。




(*注)不眠症の貴族うんぬんのエピソードは真偽が定かでないそうです。念のため。

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○加藤和彦「うたかたのオペラ」(1980)
 以前も書いたことがあるけれど、1964年生まれの僕にとって加藤和彦という人は、フォーク・クルセダーズの人でもなく、「あの素晴らしい愛をもう一度」の人でもなく、サディスティック・ミカ・バンドの人でもなく、まずは「ヨーロッパ三部作」の人であった。
 特にこの「うたかたのオペラ」は、初めて聴いた加藤和彦作品ということもあって思い出深い。洋楽メインストリームロックばかり聴いていた単純な高校一年生にこのアルバムは、「この世にはおまえの聴いているのとは違う種類のカッコいい音楽があるんだよ」とささやいたのだ。
 西ベルリンのスタジオ「ハンザ・バイ・ザ・ウォール」(そう、まだ「壁」はあったのだ)で、日本から連れていった演奏家たち(ギター:大村憲司、ベース:細野晴臣、ドラムス:高橋幸宏、ピアノ:矢野顕子といった人々)と「高級合宿」を行いながら作り上げた音楽。
 それは、ひとつ間違えば滑稽になりそうなスノビズムと退廃を湛えながらも、その実ひどくポップなものだった。
 録音にあたって彼が意識したであろうデヴィッド・ボウイ「ロウ」「ヒーローズ」的な翳りも、音像をタイトに引き締めつつも殺伐とした方向には向かわず、むしろ心地よい彩りとなっている。
 時代の先端をいくもの(つまり「カッコいいもの」)を追いかけ続けた加藤和彦という夢想家が、パートナーである安井かずみや優秀なミュージシャンたちの力を借りながら、そのすべてを咀嚼して作り上げた自分だけの王国。完璧なファンタジー。今聴いても十分魅力的だ。
 彼は、このときキャリアの頂点にいたのだ。そう僕は信じている。
 現在流通しているCDには、「ルムバ・アメリカン」や「ラジオ・キャバレー」における佐藤奈々子のコケティッシュな声が欠けてしまっているのが少々残念なんだけどもね…。


 YouTubeにLP音源をアップしている人がいた。


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 ビートルズモノボックスを聴き進めています。予想していた以上に楽しい。特に「サージェント・ペパーズ」モノの凄まじさと言ったら……。かなりの衝撃でした。
 モノ盤CDは、普段聴いている音量よりも大きめの音で聴くのがいいですね。ステレオ盤の音像とはまた違った魅力を堪能できます。

 といいながら、ビートルズばかりに集中するのも少々疲れてきたので、気持ちをリフレッシュするためにこんなアルバム↓を聴いていました。


  
○坂本龍一「PLAYING THE PIANO 2009 JAPAN SELF SELECTED」(2009)
 今年の春に行われたソロ・ピアノ・ツアー全24公演のライヴ音源から、本人が選んだ27テイクを収録した2枚組。
 坂本教授の新作アルバムを購入したのはずいぶんひさしぶりだ。

 冒頭に置かれた「hibari」という曲が凄い。素朴で愛らしいフレーズがミニマルに繰り返される曲なのだが、音の重心が少しずつ移動していき、いつまでたっても終わらない。深夜に布団の中で聴いてたら、ちょっとめまいがしてしまった。永遠に終わらないのじゃないかと思って。(結局、9分近く演奏は続く)

 で、2曲目「composition 0919」。パーカッシヴなフレーズが攻撃的に繰り返される曲。あーこんな感じで全編行くのかなーと少々不安に思っていると、次にメロディアスな「put your hands up」が来て、ほっとすると同時に、その静かな美しさにうたれる。

 そのあとは、抽象に振れすぎもせず、甘さに流れすぎもせず、ロートルファンにも配慮された選曲もあって、最後まで気持ちよく聴けた。
 淡々としたテイクが多く、観客の拍手や会場のノイズもあまり入っていないので、ライヴアルバムというよりはオリジナルアルバムに近い感触。
 深みのあるピアノの音色と響きも心地よい。 

 これを聴いて、俺はピアノが好きなんだ、という事実を再認識した。弦より管よりなによりピアノという楽器が好きなのだ。そうだった。忘れていたよ。



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 ビートルズリマスター、ぼちぼちと聴いてはいるのですが、まだ道半ばです。

 最初9/9にモノボックスが届いたので、まずそちらをと1,2枚聴いてみたものの、翌日ステレオボックスが届いた時点で「やっぱステレオから聴くべきかな。今後はこれがデフォルトになるわけだし」と思い直して、ステレオ盤のほうを順番に聴き始めたら、時間がかかるかかる。だって楽しすぎるから。それでつい何度も繰り返し聴いてしまったり。
 その結果、入手してから二週間とちょっとでやっとステレオ盤は聴きおわったけど、モノボックスの方はまだ少ししか聴けていないという状況。

 これだけ集中してビートルズのアルバムを聴いたのはほんと久しぶりです。だいたいここ10年くらいは、CDかけてても、スピーカーから出てる音より心の中で鳴らしてる音を聴いているようなものでしたから。

 で、感想ですが。
 「部屋が広くなったような感じ」とでもいえばいいのでしょうか。
 今まで四畳半の部屋ぎりぎりいっぱいに鳴っていた音が、今度は八畳くらいの部屋でゆったり余裕を持って鳴っているように聞こえます。そして部屋の窓からは、気持ちのいい風がおだやかに吹いている、と。(ものすごく印象批評的な表現で申し訳ない)

 ビートルズのアルバムって、初期・中期・後期それぞれに音の表情が違うので、ひとまとめにしてしまうのは少々無理もあるのですが、総体的感想としてはそんな感じです。

 しかし、ネットで今回のリマスターの感想をあれこれ読んでみると、実に賛否両論さまざまですね。手放しで絶賛している人、絶賛まではいかないものの好意的にとらえている人、それとは逆に従来音源とほとんど違いは感じられないという人、従来音源の方がすぐれているという人、やっぱアナログ聴かなきゃいかんだろという人…エトセトラエトセトラ。
 
 前述したように、僕は今回のリマスターを好意的に評価しているわけですが、それとはまったく逆の感想を読むと、あっという間に自分の評価に自信がなくなります。うちのオーディオ環境がプアなのもさることながら、そもそも自分の「耳」が十全に機能しているのかどうか自信がもてないので。

 僕は今四十代半ばなのですが、器官としての「耳」の能力を自分が十代だった頃の能力と比べたら、間違いなく衰えてると思うんですよね。高音域を聴くにしろ中音域を聴くにしろ低音域を聴くにしろ。音楽を意識的に聴き始めて以来三十数年、さんざんデカい音でドカドカうるさい音楽を聴き続けてきたわけだし。
 そんな「耳」を通じて「高音の伸びが素晴らしい」とか「音像がクリアに」とか「ベースやバスドラの音がくっきり」などと感じたとしても、ただの勘違いに過ぎない可能性だってあるのです。

 同じ夕陽を見ていても、僕の見ている「赤色」は、あなたの見ている「赤色」とはたぶん違うのです。あなたの「赤色」の方が、くっきりすっきり鮮やかに美しいのでしょう。

 まあでも、自分にはこの「耳」しかないわけですしね。いまさら失った能力を取り戻すことも、他人の「耳」をもらうこともできないですし。認識不足だろうと能力不足だろうと勘違いだろうと、自分の「耳」で今回のリマスターを楽しめただけ幸福だったと思うことにします。

 ああなんかジジイの繰り言めいてしまったぞ。ここまで読んでくださった方に申し訳ないので、罪滅ぼしに以下の情報をご紹介して終わります。んなのもうとっくに知ってるよ、という方はごめんなさい。

◆ザ・ビートルズ全213曲 聴き比べ&徹底解剖! ****【衝撃度】付き****(CDJournal.com)
 藤本国彦氏(CDジャーナル編集長)による、従来盤と新リマスター盤(ステレオ)との全曲比較。自分の感想と比べてみるとおもしろいです。あなたの見ている夕陽は、藤本さんと同じ色ですか?

◆The Beatles:『The Beatles In Mono』& 『The Beatles Box』(WebVANDA)
 ソフトロック研究で有名な音楽誌「VANDA」の佐野邦彦氏による記事。ステレオ盤とモノ盤のヴァージョン違いがアルバム毎にコンパクトにまとめられていて便利です。これを見ながら、モノボックスを楽しむことにします。

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○The Smiths「SINGLES BOX」(CD Version)
 ザ・スミスのシングル12枚を収録したボックスセット。制作はライノUK。昨年アナログで発売されたもののCDヴァージョンである。スミスの訳詞をするためにあれこれとネットで調べものをしていたときに発見し、衝動買いしてしまった。

 このボックスは、当時リリースされた12インチシングルの再現を意図したものだ。デビュー曲「Hand In Glove」から「Bigmouth Strikes Again」 までのシングルが、オリジナルアートワークをミニチュア化した紙ジャケに収録されている。
 12枚の中には、「This Charming Man」のニューヨークVer.を収録したディスクや、ドイツのみで発売されていた「Barbarism Begins At Home」シングルといった珍しいものも含まれている。

 あのころ輸入盤屋でスミスのシングルが入荷するたび買っていた身としては、ミニチュアになったジャケットは「ちょっと写真ボケてる?」と思わないでもないのだが、あのアートワークが、このサイズでずらりと12枚も再現されているということの魅力には抗しがたかった。許す。俺はこれで十分楽しめるよ。

 音質も良い。ジョニー・マー監修のもと、Frank Arkwrightがオリジナルマスターからリマスタリングを行っていて、太く固くダイナミックな音になっている。大きな音量で鳴らすととても気持ちがいい。
 このサイトの解説によれば、収録音源は完全にオリジナルと同一ではないようだが、僕はそこまでマニアックではないのであまり気にはならない。
 
 マニアックといえば、このCDのカタログナンバーの付け方もマニアックだ。各ディスクに、オリジナルシングルのレコード番号をベースにした番号が付いているのだ。
 たとえば「What Difference Does It Make?」(テレンス・スタンプのサイコなポートレイトを使っているやつね)のオリジナル12インチシングルの番号が「RTT146」なのに対し、このボックス版の番号は「RHNCD146」になっている。ほかのディスクも同様。さすがライノ。妙に細かいところに凝っている。

 ちなみにこのボックスのジャケットアートワークは、モリッシーが担当しているとのこと。音源グレードアップの方はジョニー・マーが担当したわけだから、往年の「Music by Johnny Marr / Sleeve by Morrissey」の再現といえないこともない。

 スミスというグループは、アルバム以上にシングルを重視していたグループであった。オリジナルアルバムだけを聴いていては、スミスの全貌はわからない。だからこそ、このボックスの存在意義は大きいと思う。

 なお、どうやら1万セット限定らしいので(封入ブックレットに「Box number 3868 of 10000」とナンバリングされていた)、必要な方は早めに入手しておいた方がよいかも。HMVの「輸入盤CD3点買うと30%オフ」セールを使えば、かなり安く買えるはず。

 たぶん、第二弾もいずれリリースされるんだろうね。「Panic」とか「Ask」とか「Shoplifters」とか、重要なシングルがまだ残っているから。


 ではボックス収録曲の中から「Jeane」を。「This Charming Man」の7インチシングルにのみ収録されていた曲だが、12インチをベースにしたこのボックスにも特例的に収録された。



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 そろそろ更新復帰できるかな。できるといいな。


 
○相対性理論「ハイファイ新書」(2009)
 聴いているとひどく恥ずかしくなるアルバム。

 やくしまるえつこという恥ずかしい名前を持ったシンガーが、クオリティは高いけれど匿名性も高いギターサウンドをバックに、どうしようもなく恥ずかしいロリータ声で歌う。

 曲のタイトルも恥ずかしい。「テレ東」「地獄先生」「ふしぎデカルト」「学級崩壊」「さわやか会社員」エトセトラ。

 そして、やたら韻を踏みまくる歌詞も恥ずかしい。「さわやかサンシャイン/まじめな会社員/あんしん公務員/夜中も見廻り警備員」。どうしろというのだ。

 ついでにいうと、ジャケのイラスト(やくしまるえつこ画)も恥ずかしい。いくらインディーズ盤だからって、こんな絵使うかよフツー。

 で、すべてが恥ずかしいのに、聴いているとムズムズムズムズして居心地が悪いのに、この声と音がどうしようもなく耳について離れない。知らぬ間に聴き入ってしまう。なんどもなんどもリピートしてしまう。もはや中毒だ。

 とはいえ、俺にだって中年オヤジとしての羞恥心は人並みにあるから、こんな音楽を聴いていることを人に知られたくないし、そんな姿を見られたくもない。

 特に、妻や母親や娘や愛人や職場の部下には絶対に知られたくない。知られたら、恥ずかしくて恥ずかしくて死にたくなってしまう。(あ、娘と愛人はいませんでした。見栄張りました)

 だから、自分ひとりだけのときにこっそりと聴こう。自室の布団の中で、明かりを消して。真夜中に。

「わたしもうやめた 世界征服やめた/今日のごはん 考えるのでせいいっぱい/もうやめた 二重生活やめた/今日からは そうじ 洗濯 目一杯」(バーモント・キッス)


 「地獄先生」。果てしなくエロい。



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○「TAKE ME TO THE RIVER : A Southern Soul Story 1961-77」(2008)
 KENT SOULによるサザンソウル・アンソロジー3枚組。これもHMVの輸入ボックスセット30%オフバーゲンで入手したもの。オーティス・レディング、O.V.ライト、ジェイムズ・カー、サム&デイヴ、アレサ・フランクリン、アル・グリーンなどの名曲がたっぷり75曲収録されている。 

 「洗練された都会的なソウル・サウンドで人気を得たモータウンに対抗するように、六〇年代の南部からはもっと泥臭くて、ゴスペルの影響をもっと直接感じさせるサウンドが生まれてきます。メンフィスのスタックス・レコードを中心としたこのサウンドは、当時はメンフィス・サウンド、現在ではサザン・ソウルと呼ばれています。」(ピーター・バラカン著「魂(ソウル)のゆくえ」より)

 心の重荷から自分を解放してくれる音楽、それが僕にとってのサザンソウルだ。身体の芯にどうしようもなく存在する凝り固まった部分を、ゆっくりじんわりと溶かし、洗い流して心と体を軽くしてくれる。もちろんロックだって心の重荷から解放してくれる音楽ではあるんだけど、サザンソウルを聴く悦びは、ロックを聴く快感とはまた違う。なんというか、まるで素晴らしく効能のある温泉にゆったりとつかっているような感じ。

 前回取り上げた「Soul Spectacular」ボックスと違って、ここに収録されている曲には初めて聴くものもたくさんあった。(僕は所詮その程度のソウルファンだってことだ。)
 でもそういう曲も、はじめから素直にすっと心に入ってくるのだ。なんの抵抗もなしに。それはたぶん、これまで愛聴してきたオーティスやアレサやサム&デイヴの曲と通底する感覚が、その曲にしっかりと刻まれているからなのだろう。ミディアム~スローテンポが多く、似たアレンジの曲が続いたりもするのだが、まったく退屈しない。むしろもっともっと続いてほしいと思うくらい。

 音質も素晴らしいし、スリップケースに入れられたブック型のパッケージもとても丁寧に作られているし、解説も詳細だし(英語だけど)で、これが4千円ちょっとで買えるというのはかなり幸せなことだよなあ、うん。

 では収録曲から、Bill Bandon「RAINBOW ROAD」をどうぞ。



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○「Soul Spectacular ! - The Greatest Soul Hits Of All Time」(2002)
 HMVのボックスセット30%オフバーゲンで購入した4枚組。ライノ編集によるソウルミュージック・アンソロジー。

 ソウルのボックスセットというのも、レーベル別やら時代別やら傾向別やらいろんなテーマのものが数限りなくリリースされているが、このボックスのテーマをひとことでいえば「王道」ということになるのだろう。だってこんなトラックリストなんだから。

 ここには1959年から1976年までの間にリリースされた曲が90曲収録されている。そのうち実に47曲が、ビルボードR&Bチャートまたはポップチャートでナンバー1を記録した曲だ。さらにトップテンまで範囲を広げると、ほぼすべての曲が入ってしまう。
 要するにこのボックスひとつで、ノーザン・ソウルやサザン・ソウルやフィリー・ソウルの一番おいしいところをまとめて聴けてしまうのだ。いわゆる「ワン・ヒット・ワンダー」まで含めて。恐るべきアンソロジー。

 でも、あまりに有名な曲ばかりが収録されているので、ハードコアなソウルファンにとっては少々物足りないボックスかもしれない。
 だけど、僕程度のソウル好きには最高のご馳走なのだ。時の洗礼を受けても輝きを失わない真の名曲がぎっしりと詰まっているのだから。なにもかも忘れてこのグルーヴに浸っていたいと思ってしまう。

 いにしえのソウル・レビューのポスターを意識したらしきアートワークがちょっと地味なのがマイナスポイントではあるけれど、とりあえず持っておいて損はしないセットだと思う。これから60年代ソウルを聴こうという人にもおすすめ。定評あるビル・イングロット氏によるマスタリングのおかげで、今も安心して聴ける音質だし。

 では収録曲の中からジャクソン5「I Want You Back」を。マイケルの風貌は変わってしまっても、この曲は永遠に古びない。



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○チャットモンチー「LAST LOVE LETTER」(2009)
 絶不調は絶不調であきらめて、聴いたCDの感想を書く。

 3/4のアルバム発売を目前にリリースされたニューシングル。初の全曲セルフプロデュース。歌詞は福岡が1曲、高橋が2曲。曲はいつものようにすべて橋本。タイトル曲以外はニューアルバムに収録されない。

 3曲ともそれぞれに味わい深いのだが、やはり「Last Love Letter」が頭ひとつ抜きんでている。イントロのゴリゴリしたベースに細かく切り込んでいくドラムスがスリリングだ。このリズムセクションの絡みだけでも、この曲を聴く価値があると思う。

 で、ベースとドラムスの動きにひたすら集中して聴き入っていると、終曲部に突然、のびやかに飛翔する橋本のギターソロが。やっぱこいつもただものではないなあ。
 ネガのようなポジのような(総体的にはネガか)福岡晃子の詞もけっこう刺さってくる。この青臭さがたまらない。

 なお、このCDはConnecteD仕様になっていて、PCにセットしてネット接続すると、ニューアルバム「告白」の試聴ができるようになっている。橋本以外のメンバーがリードヴォーカルをとる曲のタイトルが「長い目で見て」ってのにちょっと笑った。
 2/18までの期間限定なので聴きたい方はお早めに。ConnecteDをインストールするのが少々面倒なんだけどね。

 それと例のごとくYahoo!動画でPVのフル試聴をやってるんだけど、これが凄かった。ある意味衝撃ですよ。40年後のラストライヴの映像なんだから。ここ
 


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○「グレン・グールド 坂本龍一セレクション」(2008)
 「2008年に出たアルバムの感想を2009年に書く」その4。坂本龍一が選曲したグレン・グールドの2枚組編集アルバム。

 グールドといえば一般には「バッハ弾き」として有名なわけだが、あえてその作品をセレクトしないで、バード、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームス、スクリャービン、シェーンベルクなどバッハ以外の作曲家の曲から選んでいるのが、坂本教授らしいひねくれ具合でおもしろい。(ラストに1曲だけバッハ作品が収録されているが、他の作曲家の作品を編曲したもので、純然たるオリジナルではない。)

 最初にベートーヴェンのピアノソナタ30番でみずみずしく始まるのに、二曲目にはベルクの無調っぽい作品が来て、その次にブラームスのロマンティックな作品に揺り戻したと思ったら、今度はウェーベルンの簡潔で抽象的な曲が続く、という振幅の大きさも特徴的。

 モーツァルトやベートーヴェン、ブラームスはともかく、ふだんシェーンベルクやヒンデミットといった20世紀の作曲家の作品をグールドの演奏で聴くということがほとんどないので、新鮮な気持ちで楽しむことができた。

 でも、これからグールドを聴こうという人にとっては、この編集盤、ちょっと敷居が高いような気もする。「リトル・バッハ・ブック」とかの方が適切じゃないかなあ。坂本セレクションは、普段グールドのバッハ演奏をさんざん聴いている人向けだと思う。

 ちなみに、ブックレットに収録されている坂本教授と宮澤淳一氏(日本におけるグールド研究の第一人者)の対談には、なぜこの曲を選んだかという理由が詳細に語られていて、一読の価値ありです。  

 僕がグールドを聴く理由は「彼の演奏がすごくかっこいい」から。ほぼそれに尽きる。
 どんなふうにかっこいいの?と疑問を持った方は、この↓ドキュメンタリーを見てもらうといいと思う。ちょっと長いけど、グールドの歩みがコンパクトにまとめられているし、演奏シーンもふんだんに出てきて楽しめますよ。





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