音楽中心日記blog

Andy@音楽観察者が綴る音楽日記

メインディッシュ

2008年11月13日 | DVDの感想
   
○「チャットモンチー レストラン メインディッシュ」(2008)
 ニューシングルと同時にリリースされた2枚組DVD。
 ディスク1に2008年4月1日の武道館公演をフル収録し、ディスク2にはそれ以外の会場でのライヴをダイジェスト収録してある。

 なんて幸せな映像、幸せな音楽なんだろう。
 武道館にメンバー三人が登場し、観客席を通り抜けてステージに上がり、「ハナノユメ」を演奏し始める。もうそれだけでうるうるきてしまう。だって、橋本絵莉子、福岡晃子、高橋久美子、それぞれがそれぞれ、実に楽しそうに演奏しているのだから。
 で、二曲目には名曲「ツマサキ」が。そのせつなさにぼーっと浸る間もなく次々と曲は進み、気がつけば最後まで。

 ゲストもサポートミュージシャンもなしに、徹頭徹尾三人で演奏するというその心意気がすがすがしい。そして、三人が出す音だけで武道館の空気は変わる。いやほんとこれぞロックバンドだよ。

 橋本のソリッドなギター、福岡のよく動き回るベース、高橋のパワフルなドラムスをたっぷりと目と耳で楽しむことができるのも嬉しい。特に高橋のドラムスは眼福としかいいようがない。彼女がどれだけ素晴らしいプレーヤーなのかは、「風吹けば恋」1曲を見るだけで理解できると思う。絶妙な「押し」と「引き」。抜群の安定感。今の日本で一番好きなドラマーかもしれんなあ。

 ディスク2には、小~中規模会場でのライヴが収録されているのだが、武道館の開放的な映像を見たあとでは、少々きゅうくつに感じてもしまう。
 でもこちらには、武道館では演奏されなかった曲があれこれと収録されている。「小さなキラキラ」とか「ミカヅキ」とか「意気地アリ」とか。「ヒラヒラヒラク秘密ノ扉」は、こっちの演奏の方が上かもしれないぞ。
 
 で、ラストに収録された「サラバ青春」がまたいいんですよ。イレギュラーな編成が、単なる飛び道具に終わっていないんだもの。

 ああもう。これ以上何を書けばいいのか。
 とりあえず、日本ロック史に残る名作DVDに認定しとく。

▼夢が夢でなくなる瞬間 ~徳島発 チャットモンチー かけぬけるよ武道館~
 (TVで放映されたドキュメンタリー)

初回特典

2008年08月11日 | DVDの感想
 初回盤CDに付いてくるおまけDVDをまとめて見たので、感想をメモ。
 ちなみに、どれもまだCDの方はきちんと聴けていません。


   
○MEG「STEP」(2008)
 「MAGIC」「HEART」のPVを2ヴァージョンずつ計4曲収録。収録時間約16分。
 中田ヤスタカ制作物のなかで、MEGはひときわ素材感が強いですね。Perfumeやコルテモニカにはまだ歌い手のキャラくささがあるんだけど、MEGさんは歌うアンドロイドみたい。PV見てもぜんぜんセクシーでもチャーミングでもないし。
 なお、Dance Clipたらいう二つの映像は、曲にあわせて猫の着ぐるみがゆるくダンスするもので、猫ものには相当甘い自分でも「これはねーだろ」と思うようなブツでした。


   
○元ちとせ「カッシーニ」(2008)
 2007年12月、渋谷オーチャードホールでのコンサート本編をまるっと収録。全16曲84分。
 バックにはバンドのほかに、ストリングセクションとコーラス6人。
 ちとせ嬢は、緊張からか、最初少し力んでいるように見えました。余裕がなさそう。
 しかし5曲目「ミヨリの森」あたりからペースをつかんだのか、ぐんぐんとよくなります。「声の力」みたいなものがひしひしと伝わってきます。
 特に「ひかる・かいがら」~「恐竜の描き方」~「ワダツミの木」という流れは素晴らしい。
 バックのアコースティックサウンドとの調和もよくとれていて、特にコーラス6人との絡みは理想的。
 ラスト「あなたがここにいてほしい」の終わり方もとても美しく、堪能しました。これは単体でリリースしても十分通用する映像でしょう。


   
○羊毛とおはな「LIVE IN LIVING '08」(2008)
 「LIVE IN LIVING」の2008年版がリリースされてたんですね。ジャケのデザインが2007年版と似ていたので、単なる新装版かと思ってあやうくスルーするところでした。
 で、買ったのはタワレコだったんですけど、レジに持っていったら初回購入特典としてDVDをもらいました。「LIVE IN LIVING '08 Special Sampler」というタイトルの。
 内容は、2008年カフェ・ツアー千秋楽から「手のひら」「おまもりのうた」のライヴ映像と、「手をつないで」PV。そしてリビングルームライヴの再現で「ララルラ ラルララ」。その間に二人のおしゃべりがはさまるというかたちで計24分。
 千葉はながライヴで歌うところを初めて見たんですが、レコーディングされたものよりずっと生々しい手触りがよかったです。歌う姿もチャーミングだし。
 ピックアップされているのが名曲ばかりなので、そういう点でも満足度が高いです。これはなくなる前に入手しておくべきだと思いますよ。


 ということで、羊毛とおはな「ララルラ ラルララ」を。'07年12月の演奏。

Maybe I’m amazed

2008年01月05日 | DVDの感想
  
○「ポ-ル・マッカートニー・アンソロジー 1970-2005」(2007)
 昨日で僕の正月休みは終わりでした。正月休みというのは、初詣に行ったり、年始のあいさつに行ったり、年末に書けなかった年賀状を書いたり、と意外とゆっくりできないのですが、昨日はやっとまとまった時間がとれたので、去年買ったまま見ていなかったポールのアンソロジーDVD三枚組を見ていました。

 ところが、昼食後に見始めて外が暗くなるまで数時間見続けたのに、ディスク1しか見られなかったのです。なんともすごいヴォリューム。
 ディスク1だけでも21曲のPVを収録し(しかも数曲はマルチアングル)、さらにおまけとしてTV出演時の映像やヴァージョン違いのPV、「バンド・オン・ザ・ラン」のジャケ撮影時の映像なども。
 で、以上をあわせた計26トラックのうち15トラックはポール本人のコメンタリー付き、と。
 
 このコメンタリーがまた、ニッチな裏話満載で無視するわけにはいかんのです。
 たとえば、「C・ムーン」がなにを意味するのか。「愛しのヘレン」を書いた動機。「カミング・アップ」でポールが演じた何人ものミュージシャンのモデルは誰か。イギリスで大ヒットした「夢の旅人」を作曲した動機とリリースを躊躇した理由。「エボニー・アンド・アイボリー」撮影の秘密。などなど。

 ファンの人ならば周知の話も多いんだろうけど、やっぱりポール本人の口から直接語られると説得力が違いますね。映像的にはどうってことのないPVでも、コメントを聞いたあとは、なんだかその映像が愛おしく思えてくるのです。

 それともうひとつ。「PLAY LIST」や「EXTRAS」などのメニュー画面にもそれぞれレアな映像が収録されているのでした。これがまた興味深いものばかり。("ロケストラ"のリハーサル映像とか。「ブルーバード」の録音風景とか。)

 ポールの音楽を愛する人ならば、とことん幸福になれるDVDだと思います。音質も素晴らしいし。
 ディスク2には80年代以降のPVがたっぷりと、そしてディスク3にはあの「ロック・ショウ」映像を始めとするライヴが収録されているはずです。これはもう、まとまった時間を無理にでもつくって見るしかありません……。



 このDVDに収録されなかったPVをYouTubeから。「Again and Again and Again」。大好きな曲なんだけど。デニー・レイン作曲&リード・ヴォーカルだから収録されなかったんだろうな。