音楽中心日記blog
Andy@音楽観察者が綴る音楽日記
 

Tattoo  


昔 俺と弟は話し合ったもんだ 男らしいってのはどういうことかって
頭がいいことか たくましい体か それとも生まれ月か
答えは出なかった

親父は俺たちのなりが気に入らなかった
長い髪は女がするもんだって言ってな

そこで俺と弟は おふくろから金を借りて
やるべきことをしにいった
階段を下りて 床屋と体育館には目もくれず
自分たちの腕にいれずみを彫ったんだ

俺の人生へようこそ いれずみ君
これで俺も男になれたよ ありがとな
がっかりするかもしれないが
もうこれは消せないんだ
おまえは俺が死ぬまでそこにいるんだよ いれずみ君

親父は俺を殴った 俺のいれずみに「母さん」って書いてあったから
でもおふくろはもちろん気に入って そのかわりに弟を殴った
だってヤツが彫ったのは裸の女だったからな
おふくろは すごく不作法だって思ったのさ

俺の人生へようこそ いれずみ君
俺とおまえは ずっと一緒だぜ
がっかりするかもしれないが
もうこれは消せないんだ
おまえは俺が死ぬまでそこにいるんだよ いれずみ君

あれから時がたって 今や俺の体はいれずみだらけだ
俺の女房も いれずみだらけ
ああ あんたもいれずみ どうだい 

- The Who「Tattoo」(1967)
    (Translated by Andy@音楽観察者)

 いろんな人に捧ぐ。


 原詞はここを参照。

 1974年、チャールトン・アスレチック・スタジアムでの演奏。この曲のアルペジオには魔力とでもいうべき響きがある。






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 とある経緯で知ったこれ↓

▼やる夫で学ぶ「The Who“Pictures Of Lily”の歌詞」


 「これが大体合ってるから困る」というコメントに笑った。うん、まったくそうだ。
 (ちなみに、この曲は以前僕も訳した。ここ

 で、この作者の作品リストを見てみたら、ザ・フーネタが多数あった。
 「I'm A Boy」を「世界初の女装ショタソング」、「The Kids Are Alright」を「元祖負け犬ソング」、「Mary Anne With The Shaky Hand」を「元祖手コキソング」、「My Wife」を「元祖鬼嫁ソング」と言いきっているのにまた笑う。でもぜんぜん間違ってないよ。

 その中で一番の大作がこれ。

▼AAで表現する The Who「TOMMY」の物語


 なんと「トミー」全曲をアスキーアートで表現している(らしい。時間がなくてまだ全部見てない)
 すごいというか、よーやるわ、というか。感動した。

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君の誕生日を呪いにやってきたよ 
君のアンハッピーな誕生日を
だって君は邪悪でうそつき
もし君が死んだら 少しは悲しいだろうけどね
(でも 絶対に泣いたりはしないよ)

愛して それを失った
誰かが言う
「なにもないということは 幸福ってことだよ そうだろ?」
僕は言う
「いや違う 僕は好きにやらせてもらうさ
 あんたの顔のしわが 今宵 深く刻まれますように」

君の誕生日を呪いにやってきたよ 
君のアンハッピーな誕生日を
だって君は邪悪でうそつき
もし君が死んだら 少しは悲しいだろうけどね
(でも 絶対に泣いたりはしないよ)

愛して それを失った
誰かが言う
「なにもないということは 幸福ってことだよ そうだろ?」
僕は言う
「違う」
そして僕は自分自身を撃った
だから飲もう 飲もう 気分が悪くなるまで 今夜は

君が捨てた男から
君が捨てた男から
君が捨てた男から
アンハッピー・バースデイ!

 - The Smiths「Unhappy Birthday」(1987)
   (Translated by Andy@音楽観察者)

 「Strangeways, Here We Come」からもう1曲。

 自分を捨てた相手への悪意に満ちたラヴソング。
 別れた相手のところにわざわざやってきて(もしくは手紙を出して)、思い切り投げつける悪罵。しかも未練たっぷりに。実にモリッシーだ。

 原詞はここを参照。







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ハロー 僕は18ヶ月前に 真っ白な首を吊って死んだ 悩めるジョーの亡霊さ
神秘的なタイムゾーンを旅していたけど
自分のベッドが恋しくて すぐに戻ってきてしまったんだ
みんなは言う
「おまえの血の中には カフェインばかりが多すぎて スパイスが足りないんだ」
僕は答える
「ほっといてくれ 大丈夫だから 
 なんとか持ちこたえてるのには 自分でも驚いてるよ」

ああでも 恋のことを思い出させるのはやめてくれ
あの痛みと緊張感はもう絶対いやなんだ
"突撃突進すれば この地は我らのもの"
以前もそうだったし これからもそうだろう
君や僕よりも醜いやつらが 
欲しいものを手に入れて 去っていく

ああ 恋のことを思い出させるのはやめてくれ
あの痛みと緊張感はもう絶対いやなんだ
"突撃突進すれば この地は我らのもの"
以前もそうだったから 今だってそうだろう
君や僕よりも弱々しいやつらが 
欲しいものを手に入れる

ああ 恋のことを思い出させるのはやめてくれ
たのむからやめてくれ
"突撃突進すれば この地は我らのもの"
君の若さは尽きてしまったかもしれないが
君は今も いいやつだよ
だから電話しておくれ 僕に 電話をかけてくれよ
ああ 僕は恋してるんだ
きっと 恋をしているんだ
おお 恋してるんだ

 - The Smiths「A Rush And A Push And The Land Is Ours」(1987)
   (Translated by Andy@音楽観察者)

 最後のオリジナルアルバム「Strangeways, Here We Come」の冒頭を飾る曲。

 失恋したのにあきらめきれず、うじうじしているという状況を描くのに、「自分は18か月前に自殺した男の亡霊だ」というはったりめいたフレーズで始めてしまうのが、モリッシーらしいといえばモリッシーらしい。ついでに言えば、失恋の相手はどうやら異性ではないようだし。

 突撃や突進が平気な図々しいやつらだけがいつも勝者になり、そうできない自分はただの敗者でしかない。彼の頭の中にある理屈はただそれのみだ。
 ちなみにこのサイトによれば、"A Rush And A Push And The Land Is Ours"というフレーズは、アイルランドのトラディショナルソングにある言葉だそうだ。

 原詞はここを参照。








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ハイウェイとダンスホール
良い曲は君を最高の気分にさせる
君は月について書き
星のことを夢見る
古ぼけたモーテル部屋の憂鬱
父親の車に乗った女の子たち
君は夜について歌い
痛みを笑い飛ばす
朝にはコーヒー 昼にはコカイン
君は天気を話題にし
集まった人たちに 笑いかける
「元気でやってる?」と訊いてくる長距離電話
失ったもののことを忘れ 
得たもののことばかり 君はおおげさに話す
みんなに 成し遂げたことを知らせようと立ち止まっても
そこはただ ツアーの途中の知らない町

レディたちが君に会いにやってくる
君の名前がまだ知られていればね
君に気のあるそぶりをして
「知り合いだったわよね」と言う
「ああ覚えてるよ」と君は答えるけど
彼女たちも これがただのゲームだってことはわかってる
そのうち彼女たちの顔が どれも同じに見えてくる
みんなに 成し遂げたことを知らせようと立ち止まっても
そこはただ ツアーの途中の知らない町

金のためにやってるんじゃない
ほんのしばらくのことなんだし
君は部屋を大股で歩き回り
何マイルもクルマで運ばれていく
ネオンの中のギャンブラー ギターを握りしめて
君は月については正しかったけど
星については間違っていた
みんなに 成し遂げたことを知らせようと立ち止まっても
そこはただ ツアーの途中の知らない町

 - Danny O'keefe「The Road」(1973)
   (Translated by Andy@音楽観察者)

 ジャクソン・ブラウンがアルバム「孤独なランナー」(1977)でカヴァーした曲。
 「孤独なランナー」は、コンサートツアーをテーマにした一種のコンセプトアルバムだから、ツアー途上のミュージシャンを主人公にしたこの曲をとりあげたのだろう。
 短いセンテンスの繰り返しで描写される孤独と諦観が心に残る。醒めたリリシズム。

 原詞はここを参照。

 ジャクソン・ブラウン音源が見つからなかったので、かわりにこれを。
 アマチュアミュージシャンらしき人によるカヴァー。なかなか良いね。



 


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 来月に迫ったグレン・ティルブルック来日公演を前に、スクイーズ、グレン・ティルブルック、クリス・ディフォードの楽曲を語るブログ「SQUEEZE / GLENN TILBROOK / CHRIS DIFFORD SONG BY SONG」が怒濤の如く更新中。

 日本でいちばんスクイーズに詳しい(と勝手に思ってるのですが。だってグレン本人に直接歌詞の意味を訊いちゃったりしておられるし)、畏友タイコウチさんによる素晴らしい訳詞と解説を楽しめます。

 では「Is That Love ?」でも聴きましょうか。僕が最初に好きになったスクイーズの曲です。パーフェクトなポップソング。詞の深さについては、タイコウチさんの訳詞であじわってください。




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僕と一緒にお茶を飲まないか 劇場で
すべてのことをやり終えたんだ そうだよね

すべての壁を飛び越えたのさ 本能的に
暗号だって解いたよ とてもうまく
すべての道をつなげたんだ 切れ目なく

僕たちはうまくやったよ
でもひとりが失敗してしまった
それはとても悲しいことだ
大きな夢は 脱線してしまったんだ

僕たちのうち
ひとりは死に
ひとりは頭がおかしくなり
ひとりはこの僕だ
僕たちみんな 悲しく思っている

僕たちみんな 悲しく思っている 僕の肩にもたれてもいいよ
物語はこれで終わりだ ずいぶん寒くなってきたね
千もの曲が まだくすぶり続けている
僕たちは ひとつになって演奏したんだ いまや老いてしまったけれど

僕たちみんな 悲しく思っている
僕たちみんな 自由の身だ
このステージから去ってゆく前に
僕たち二人で お茶を飲まないか
僕と一緒にお茶を飲まないか 劇場で

− The Who「Tea and Theatre」(2006)
   (Translated by Andy@音楽観察者)

 アルバム「Endless Wire」収録曲。今回の日本公演で、最後の最後に演奏された曲だ。

 「キッズ・アー・オールライト」や「マジック・バス」といった、盛り上がること必至の曲ではなくて、なぜこの地味な曲が最後に演奏されるのか。それは詞の内容を知ればわかると思う。

 しかもこの曲は、サポートメンバーが去ったステージ上で、ピート・タウンゼントとロジャー・ダルトリー二人だけで奏でられるのだ。その意義。

 ひょっとしたら、彼らは僕たちに、いろんな意味で「お別れ」を告げているのかもしれないね。

 原詞はここを参照。


 2006年10月29日、ロンドン、ラウンドハウスでの演奏。





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俺たちは街頭で戦う 子どもたちを足元に置いて
やつらが崇めていたモラルは 消え去るだろう
煽動者たちは 反対派を裁判にかけ
判決を下すとすぐに ショットガンが火を吹く

新体制ってやつには 敬意を払うよ
新しい革命ってのにも 礼を尽くすさ
あたりの変化にも 微笑んでみせるよ
ギターをとって 弾きはじめよう
昨日とまったく同じように
そしてひざまずいて 祈るんだ
もう二度と騙されはしないぜって

この変革は 来るべきもの
そんなことは みんなわかってる
俺たちは束縛から解きはなたれたんだ それだけのこと
そして 世界の様子は以前と同じ
歴史は変わってないんだ
だって 次の戦争でも あの旗は揚げられるのだから

新体制ってやつには 敬意を払うよ
新しい革命ってのにも 礼を尽くすさ
あたりの変化にも 微笑んでみせる
ギターをとって 弾きはじめよう
昨日とまったく同じように
そしてひざまずいて 祈るんだ
もう二度と騙されはしないぜって

俺は家族を連れて 逃げるよ
幸運にも 生き残ってさえいればね
あり金を集めて 青空に笑ってみせる
催眠術をかけられた人間が 嘘をつけないことくらいわかってるけど
そうだろ?

通りには なにもありゃしない
何が変わったのか 俺にはわからない
掲げられたスローガンが 取り替えられただけのこと
進歩派を名乗っていたやつらは 今や保守派になってる
そして一晩で ヒゲはのび放題だ

新体制ってやつには 敬意を払うよ
新しい革命ってのにも 礼を尽くすさ
あたりの変化にも 微笑んでみせる
ギターをとって弾きはじめよう
昨日とまったく同じように
そしてひざまずいて 祈るんだ
もう二度と騙されはしないぜって

新しいボスに会ってこいよ
前とたいして変わらないボスに

- The Who「Won't Get Fooled Again」(1971)
    (Translated by Andy@音楽観察者)

 内閣改造に寄せて(ウソ。でも半分はホント)

 アルバム「フーズ・ネクスト」のラストを飾るナンバー。
 ピート・タウンゼントが抱いている世界観・社会観がよく表れた詞だと思う。
 「無法の世界」という邦題は、ちょっとハズしているような気がするが。

 原詞はここを参照。

 映画「キッズ・アー・オールライト」における演奏。





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幼かったころ 人生はとても素晴らしく 
まるで奇跡のように 美しく 魅惑的に思えた
木々の鳥たちは 幸福そうに 喜びに満ちて歌い 
はしゃぎながら 僕を見つめていた
やがて 世間は僕を 学校に送りこんだ
分別を持つこと 論理的になること 責任を持つこと 
現実的になることを 学ばせるために
そして 頼るべき世界を示してくれた
分析的で 知的で シニカルな世界を

夜 世界がすっかり寝静まったころ 疑問が頭を駆けめぐる 
こんな単純な男の手には負えない 深い疑問が  
お願いだ 誰か教えてくれ 僕たちがいったい何を学んできたのかを
ばかげた質問だってことはわかってる
でも 後生だから教えてくれ 僕はいったい誰なんだ

そう いまや君の言うことは 
過激で 進歩的で 狂信的で 犯罪的なことばかり
僕たちの仲間になってくれるかい 
君が どうにか我慢できて まともで 見苦しくない 退屈な人だと
感じていたいからね 

夜 世界がすっかり寝静まったころ 疑問が頭を駆けめぐる 
こんな単純な男の手には負えない 深い疑問が  
お願いだ 誰か教えてくれ 僕たちがいったい何を学んできたのかを
ばかげた質問だってことはわかってる
でも 後生だから教えてくれ 僕はいったい誰なんだ

- Supertramp「The Logical Song」(1979)
    (Translated by Andy@音楽観察者)

 僕が中学生だった時分に大ヒットしたスーパートランプのアルバム「ブレックファスト・イン・アメリカ」収録曲。
 シングルカットされてこの曲自体もかなりのヒットになり、ラジオで頻繁にかかっていたのを覚えている。風変わりなハイトーンボイスと、ポップでリリカルなメロディが好きだった。
 こんな内容の歌詞だってことを知ったのは、それから随分たってからのことでした。

 原詞はここを参照。

 今の人たちは知らないかもね。こんな曲なんですが。





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ある朝早く 太陽は輝き 俺はベッドに横たわっていた
あいつはすっかり変わったろうか まだ髪は赤いだろうかと考えながら
あいつの家族は言った 俺たちの生活はきっとすぐにだめになるだろうと
やつらはおふくろの手作りのドレスを嫌っていたし
親父の貯金なんてたいしたことないと思っていた
そして俺は道の脇に突っ立つことになった 
雨で靴を濡らしながら 東海岸を目指して
俺がどれだけ苦しんだかなんて 誰もわかっちゃくれない
ブルーにこんがらかって

俺たちが出会ったころ あいつは結婚していた
すぐに離婚することになったけれど
俺はあいつを窮地から救ってやったんだと思う
でもちょっと乱暴すぎたんだろう
俺たちは最速でクルマをぶっとばして
西のはずれで乗り捨てたようなもの
暗く悲しげな夜に俺たちは別れた
二人ともそれが最良の道だと思ったんだ
俺が立ち去るとき あいつは振り返って俺を見た
声が肩越しに聞こえた
「どこかの大通りで いつかまた会いましょう」
ブルーにこんがらかって

俺はグレート・ノース・ウッズで仕事を見つけた
コックをしばらくやってた
でもその仕事がどうにも好きになれなくて
結局は首を切られた
それでニューオーリンズに流れていき
運良く仕事にありついた
少しの間 漁船で働いたんだ ドラクロワの沖あたりで
でも 俺がひとりでいた間ずっと
過去は背中にべったり張り付いていた
女はたくさん見たけれど
あいつが俺の心から消えることはなかった
どんどんブルーにこんがらかっていった

あいつはトップレスバーで働いていた
たまたま俺は ビールを飲むためにそこに立ち寄ったんだ
俺はただずっと スポットライトがくっきりと照らす 
あいつの横顔を見つめていた
あとでお客が少なくなったときに 俺は昔のようにふるまおうとした
あいつは俺のイスのうしろに立って言った
「あんたの名前、なんだったかしら」
俺は小声でぼそぼそと言葉を発し
あいつは顔のしわから俺が誰かを知ろうとしていた
ちょっと居心地が悪かったことは認めなきゃな
あいつはかがんで俺の靴ひもを結ぼうとしたが
そいつはブルーにこんがらかっていた

あいつはストーブに火をつけ 俺に一服すすめた
「あんたはあいさつもしない人ね」とあいつは言った
「無口なタイプのようね」
そしてあいつは詩の書いてある本を開いて 俺に手渡した
それは13世紀のイタリアの詩人が書いた本で
ひとつひとつの言葉が すべて真実のように思えた
まるで燃える石炭のように赤く輝いて
一ページ一ページからあふれだしてくるようだった
俺の魂に書きこまれて 相手に伝わっていくようだった
ブルーにこんがらかりながら

俺はモンタギューストリートで 皆と一緒に暮らしていた
階段を下りた地下室に
夜のカフェには音楽が流れ 革命の空気があった
やがてやつは奴隷商売を始め やつの心の何かが死んだ
あいつは持っているものすべてを売らなきゃならなくなり
心は凍りついてしまった
そしてついに底が抜けて 俺はすっかり孤立してしまった
俺にできることといえば 
鳥が飛ぶように 続けることを続けるだけ
ブルーにこんがらかりながら

俺はもう一度最初に戻って
あいつのところにたどりつかなきゃならない
俺たちがかつて知っていたやつらなど 
もう今は幻にしか思えなくなった
数学者もいたし 大工の女房もいた
どうしてそうなったのかわからない
やつらがどう暮らしているかなんて知らない
しかし俺はまだ旅の途上
どこか新しい場所に向かっている
俺とあいつは いつも同じ感じ方をしてたんだ
ただ違う角度から見ていただけで
ブルーにこんがらかりながら

- Bob Dylan「Tangled up in Blue」(1975)
    (Translated by Andy@音楽観察者)

 アルバム「血の轍(Blood on The Tracks)」収録曲。
 ディランの曲で好きなものをひとつだけ選べといわれたら、僕はたぶんこの曲を選ぶだろう。

 誰もがうまくいかないだろうとあやぶんだ相手と結婚し、そしてその危惧のとおり彼女と別れることになった男の物語。
 その後、彼は職を変えながら各地を転々とするが、どうしても彼女のことを忘れられない。そしてある日、トップレスバーで働いている彼女と再会する。
「あとでお客が少なくなったときに/俺は昔のようにふるまおうとした/あいつは俺のイスのうしろに立って言った/あんたの名前、なんだったかしら」

 そのどうしようもないやるせなさのあとに現出する、魔法のように光り輝くイメージ。
 そして最初から最後まですべてを貫く「ブルーにこんがらかって(Tangled up in blue)」というフレーズ。
 何度聞いても色褪せることがない。

 原詞はここを参照。





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