○AC/DC「悪魔の氷/BLACK ICE」(2008)
AC/DCは大好きだけど、アルバムは「ロック魂」「ギター殺人事件」「地獄のハイウェイ」「バック・イン・ブラック」しか持ってない。正直そんだけありゃ十分だと思ってた。
でもこの8年ぶりの新作に関して言えば、買って正解だった。思わずにゃははははと笑ってしまう傑作だもの。
AC/DCの音楽のどこが自分にとって魅力的なのか。
それは音の「乾き具合」にある。ツェッペリンのヘヴィなナンバーからギターリフだけを抜き出して、シャーレの中で純粋培養したようなドライさ。凡百のハードロックバンドにありがちなウェットな部分が全くないのが痛快なのだ。上に記した4枚のアルバムを聴けば、そのことがわかりすぎるくらいわかると思う。
で、今回のアルバムには、僕がAC/DCに求めるものがすべて揃っている。
ザクザクと切り進むギター、タイトなリズムセクション、ハードに黒光りするハイトーンヴォーカル。カラッカラの手触り。見事に全部。
そして捨て曲なしなのも素晴らしい。15曲も収録されているのに、まったくダレずに最後まで一気に聴ける。このCDを買って以来、毎朝の起床音楽は完全にこれになってしまった。
いやもうAC/DCはこれだけ聴いてりゃいいかな、と思ってしまうよ。マジで。
しかしまあ、53歳になってもスクール・ボーイなアンガス・ヤングもすごいけど、61歳でこの声を聴かせるブライアン・ジョンソンもすげえな。こんな歌い方してノドつぶれたりしないんだろうか。心配になってしまう。
国内盤には、ビート・クルセイダーズによるAC/DCトリビア100題を収録したリーフレットや、解説や英詞・訳詞、バイオグラフィー、全19タイトルのディスコグラフィーまで収録した独自ブックレットが付属している。レコード会社も気合入ってるなあ。まあこの出来だもんね。当たり前か。
では1曲目「ROCK N ROLL TRAIN」聴いてください。邦題は「暴走/列車」だって。
※(10/30追記)
「AC/DCの新作、世界29ヵ国でトップに輝く」。
日本でも洋楽チャート1位、総合チャート3位。いい作品が売れるのは気持ちいいなあ。