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the full report of the SAGE meeting of April 2014
百日咳の報告数は再増加しているか?
オーストラリア、ポルトガル、イギリス、アメリカでは無菌体ワクチン導入後に増加
無菌体ワクチンでは5年程度で予防効果が低下
ただし、無菌体ワクチンを使用していても報告数が増加していない国もある
チリでは唯一、全菌体ワクチンを使用しているが報告数の増加がみられる
結論として
- 百日咳の流行の評価は複雑で、ワクチン、人口、サーベイランス制度、診断方法等の多岐の要因により異なる
- 自然周期に関連した増加や診断検査の確立、認知度の上昇にも関連するが、世界的に百日咳が再増加しているというデータはない
- 百日咳ワクチンは疾病を予防するのに有効だが、無菌体ワクチンでは免疫の漸減が早い
- 調査を行った19か国中5か国で百日咳の再増加を認めた(チリの報告は接種率の低下やサーベイランスの変化による増加と考えられる)
報告数の増加があったとしても、予防接種がなかった時代と比較して罹患率も死亡率も低い
無菌体ワクチンと全菌体ワクチンの予防効果の違いはどううか?
結論
- 無菌体ワクチンも全菌体ワクチンも百日咳の発症を予防できる
- 全菌体ワクチンは無菌体ワクチンよりも予防効果が高いが、自然感染により獲得する免疫の効果よりは低い
- 自然感染と全菌体ワクチンで獲得した免疫では細胞性免疫による長期の予防効果が期待できる
- 無菌体ワクチンは粘膜における保菌予防や二次感染予防の効果がみられず百日咳患者の増加の一因とも考えられる
イギリスでは予防接種を開始する前の新生児や乳児において死亡数の増加が見られた
百日咳ワクチンの重要な役割は乳幼児における重症例を予防することである
思春期や成人への補足的追加接種は乳幼児の百日咳の予防に対しては一般に推奨されない
定期接種に導入する際には、接種した年代の疾病をどの程度減らすか、地域疫学の評価が必要である
医療従事者は乳幼児への院内感染を予防するための優先的な接種対象者となるが、無菌体ワクチンのみの予防接種を受けている場合の戦略を練る必要がある
全ての乳幼児が百日咳ワクチンの接種を行うべき(接種率は90%以上)
接種のタイミングとしては生後6週間以降にできるだけ早く、3回以上のワクチン接種が必要
全菌体ワクチンの方が有効性は高い
補足的接種が乳児死亡を予防するために検討される
例として妊娠中の無菌体ワクチンの接種は安全性が高く移行抗体の効果も期待できる
コクーニングは重症例を減らす可能性があるが、接種を行うタイミングが重要であり、高い接種率が必要
思春期以降の追加接種では医療従事者が優先接種対象者となる