国際医療について考える

国際協力という分野に興味を持つ人たちとの情報共有、かつ国際協力に関する自分としてのより良いありかたについて考える場所。

マラリア根絶のための活動

2011-01-11 | Malaria
マラリア根絶のために3つの戦略が世界で受け入れられている。一つめは高度流行地域における積極的な介入、二つめは残った流行地域から内部への根絶、三つめは新たな介入方法や技術を発達させるための研究。
過去150年間に世界で約半数の国がマラリアを根絶。
現在のマラリア流行国は99カ国で67カ国はコントロールを行っている状態であり、32か国は根絶に向けての政策を実施している。
32か国は全ての地域、大きさ、経済範囲に及び、その多くは10年間にマラリア根絶が見込まれている。
マラリア根絶を目指している国はマラリア根絶の実現可能性について包括的に評価すべき。
32の流行国のうち25か国はほとんどが単に三日熱マラリアの問題に対応しているのみであり、感染を見つけて治療するための新たな介入方法や技術が早急に必要とされている。
マラリア根絶には成果以上にお金がかかりすぎるという懸念と薬剤耐性マラリアが増加するという懸念、根絶後の再興感染症としてリスクがある。
診断や調査手法の改善、多国間協力、マラリアを根絶して、その後も状態を維持するための長期間にわたる献身と援助等の活動が行われている。

アメリカ大陸において熱帯熱マラリアを根絶することが最も実現の可能性が高く、2007年におけるマラリアの感染を50%以下に抑制する必要がある。
アフリカからの熱帯熱マラリアの根絶は最も実現の可能性が低く、根絶を実現するためには2007年におけるマラリアの感染を90%以下に抑制する必要がある。

マラリアを伝播する無症状の患者をどのように診断して介入、根治治療を行うかが問題となる。
特に非熱帯熱マラリアの根絶には診断や治療のための技術的な発達が必要

根絶を目指している多くのマラリア流行国では先を見越して、国境地域での調査、ハイリスクな移民におけるスクリーニング、移民からの感染伝播を減らすための国境地域での取り組みを通して、感染の輸入を予防することを目的とすべきである。
根絶は流行地域での伝播をなくし、地域での感染者を一定以下に減らす必要があるので、感度の高いPCR検査、遺伝子検査、血清検査を包括したモニタリングシステムによる定量的な評価を必要とする。
マラリア根絶には膨大な費用がかかり、政治的、経済的な支援を必要とする。

包括的な費用対効果の分析はマラリア根絶のための方法や決定のために重要である。
根絶を目指す場合にはコントロールと比較して費用がかかる。
マラリア根絶の利点は十分に理解されていないが、実質的に近隣の地域や国に対して利益となる。
また根絶後の状態を維持するためにも定期的に費用がかかる。

References:
Lancet. 2010 Nov 6;376(9752):1566-78. Epub 2010 Oct 28. Shrinking the malaria map: progress and prospects.
Lancet. 2010 Nov 6;376(9752):1579-91. Epub 2010 Oct 28.
Ranking of elimination feasibility between malaria-endemic countries.

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« メジナ虫症: dracunculiasis... | トップ | 聞き手の心をつかむためのテ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Malaria」カテゴリの最新記事