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ワイル病秋やみ混合ワクチン

2011-11-03 | Vaccine 各論
古くから風土病として秋疫(あきやみ):静岡県、用水病:静岡県、七日熱(なぬかやみ):福岡県、作州熱:岡山県、波佐見熱:長崎県、アツケ熱:大分県として知られる、レプトスピラ症。1970年代前半まで年間50名以上の死亡報告があった。2003年の感染症法改正に伴い4類感染症(全数報告)となり、2004年以降、年間の報告数は現在は16~43例。

4価の不活化全菌体ワクチン
製造会社:デンカ生研(1982年に発売開始、現在は国家検定を再度申請中であり市場の流通なし)
含有する血清型:Copenhageni(芝浦)5.0億個、Autumnalis(秋やみA)2.5億個、Hebdomadis(秋やみAustralis(秋やみC)2.5億個
予防できる血清型: copenhageni, (icterohaemorrhagiae はcopenhageniと同じ血性型で抗体上昇を認めるが予防効果は不明), autummalis, hebdomadis, australis
29の血清型群が報告されているが別の血清型に対する予防効果はなし

接種方法:初回接種は1.0mlを1週間間隔で2回皮下接種(小学生は0.5ml)。追加接種は初回接種の約1年後に1.0mlを1回皮下接種。ハイリスク群(ワイル病高度流行地域の職業的暴露者)のみ少なくとも5年以内に追加接種を継続する。ワクチン特異的な禁忌はなし。

効果:九州炭鉱でワクチン接種群10268人と非接種群40785人を比較した報告において、レプトスピラ症発症数はそれぞれ、11人と468人(和邇, 1919)
宮城県でワクチン接種群12410人と非接種群357415人を比較した報告において、レプトスピラ症発症数はそれぞれ、0人と178人(前年患者数は627/369825人)(北岡他, 1960)
茨城県でワクチン接種群2099人と非接種群648人を比較した報告において、レプトスピラ症発症数はそれぞれ、0人と4人(前年患者数は63/2747人)(北岡他, 1960)

保管上の注意:凍結することで力価が落ちるので4~8℃で保存。有効期間は1年。

1941年浅草での報告で、ワクチン接種後の産生凝集溶菌素は1年半後に2/3に陰転がみられたが、ワクチン被接種者から少なくとも2年間患者発生はなかった。

参考文献:
ワクチンハンドブック
日本のワクチン
ワクチンの辞典

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