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川上ダムの予定地には特別天然記念物のオオサンショウウオが約1、369個体確認されています。この素晴らしい水と緑を残そう。

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稲森議員の 請願賛成討論文(去年12月伊賀市議会に提出した当会の請願に対する)

2014-01-29 15:29:08 | 日記

請願第8号「川上ダム建設を急がないでください」賛成討論

 

まず、17日の産業建設常任委員会において、請願者の説明に対し、質疑の時間そのものを確保せず、討論もなく、総額1200億円を投入するという大事業である川上ダム建設に影響をおよぼす重要案件を不採択にすべきと判断した前代未聞の議事運営に強く抗議をいたします。

 

主権者である請願者、市民の声に背を向け、議事機関としての役割を放棄し、議会の歴史に大きな汚点を残すものだと言わざるを得ないということ申し上げて討論を行います。

 

はじめに治水面についてですが、川上ダムがあれば洪水被害を防げたかのようなダム神話が語られます。しかし川上ダムの集水域は伊賀市全体の11パーセントに過ぎません。今年9月の台風18号においても、川上ダム建設予定地を流れる前深瀬川周辺の雨量と、神戸地区に合流する木津川本線、三田地区に合流する柘植川、服部川の雨量を突合せれば、その影響は極めて限定的なことは明らかです。ダム推進の中で河川の浚渫や河道掘削が後回しにされてきたことにこそ声を上げていかなければなりません。

また、利水面においてダムを建設したほうが、撤退するよりも安くなる、水が足りなくなる、との誇大広告が市内に出回っています。しかし、私はそのようなことはあり得ないものと考えています。

 

伊賀市が示した撤退負担金約45億円の根拠は極めて不明確です。将来を見通し、撤退を決断した奈良県は約8億円、兵庫県西宮市は約5.8億円と比較しても著しく高額であります。水資源機構法施行令は「著しく公平性を欠く時は国と協議の上算定する」との但し書きもあります。

 

まったく計画なくも見通しも立たない南部丘陵地の工業団地の造成や人口減少社会の中での工業用水をはじめ、水需要の過大な見積もりなど、いずれも依然として世論をミスリードするような試算であります。

 

ダムは80年から100年は持つと国土交通省は説明をしていますが、現実問題として堆積物を処理するために莫大な費用がかかるほか、50年程度で機能が低下し、使い物にならなくなります。1度造ったダムは簡単には撤去できませんし、また新たなダムが必要になるという負の連鎖が続きます。毎年6000万円の維持管理費がかかるとのことですが、人口減少と税収減の中、これらも増大し続けることが容易に推測できます。一度失われた自然環境、森林が持つ多面的機能は取り返しがつかなくなることは言うまでもありません。

 

そのようなことは市民に知らされていませんし、行政もまったくそのような説明はしていません。

 

もっとも重要なことは、100年先を見通す長期的な視点に伊賀市の行政が立なければならないということです。これまでの「大きいことはいいことだ」と経済的かつ物質的な成長と拡大のみを追い求めてきた、40年前の世界観から脱出し、地方の自己決定権を無視するかのような大型公共事業と河川行政を冷静に見直し、社会全体が縮小していく中なかで、持続可能な地域を住民の皆様と共に追い求めていかなければなりません。

 

 

「どんなことでも7代先を考えなければならない」アメリカの先住民族イロコイ族に伝わるおきてがあるそうです。代替わりすることを仮に30年として200年以上先の世代に想いを巡らせ、判断するということです。市長は先日、100年先の伊賀市が見えるとおっしゃいました。だからこそ、100年先に想いを巡らせ、歴代市政が川上ダム推進の歴史のみを拠り所に、市民と必要な情報は共有されることなく、まさに聖域化されてきた案件に、「川上ダムに関する検証・検討委員会」を立ち上げ一石を投じようとされたものと信じております。

 

最後に国土交通省近畿地方整備局の諮問機関、淀川水系流域委員会は川上ダムも含めて次のような結論をまとめています。「ダムは、自然環境に及ぼす影響が大きいことなどのため、原則として建設しないものとし、考えうるすべての実行可能な代替案の検討のもとで、ダム以外に実行可能で有効な方法がないということが客観的に認められ、かつ住民団体・地域組織などを含む住民の社会的合意が得られた場合にかぎり建設するものとする」

 

今、多くの市民や団体、有識者の方々から、水源確保をはじめとする多様な代替案が示されております。ただいま申し上げた原点に立ち返り、行政は真摯にこのことを検討すべきであります。したがって本請願の願意は妥当であると考え、賛成討論と致します。

 

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