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Excel LAMBDA関数

2023-04-30 16:30:00 | 雑学

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「Excel for Microsoft365」にて、新しく「LAMBDA関数」(LAMBDA/読み方:ラムダ)が追加されました。Excelには、SUM関数やAVERAGE関数などの既存の関数がありますが、これらと同等の関数を自作して、繰り返し使用することができます。作成した関数は、ブック全体で使用できます。本記事では、「LAMBDA関数」の使用方法を紹介いたします。


1.LAMBDA関数の構文
LAMBDA関数の構文は以下の通りです。

=LAMBDA([パラメーター1, パラメーター2, …,] 計算)

・パラメーター
セル参照、文字列、数値など、作成したLAMBDA関数に渡す値を指定します。任意の文字列を設定し、この値が変数となり下記「計算」に使用されます。最大で253個のパラメーターを入力できます。 この引数は省略(なしにすることも)可能です。

・計算
関数の結果として実行して返す数式です。この引数は必須で、必ず引数の最後に指定します。

例えば、=LAMBDA(●, ▲, ■, ★) という数式を作成した場合は、●,▲,■ の各パラメーターを用いた計算式を★に記述して、★の計算結果をセルに表示する、という処理が行われます。括弧内の最後の1つがセルに表示される計算式となり、それ以外がその計算に必要なパラメーターとなります。Excelシート上でLAMBDA関数を入力すると、次のように表示されます。



2.LAMBDA関数を使用しない場合
例として、このようなシートがあるとします。


関数を作成して、長さの単位インチ(inch)の値を、その右隣のセルにセンチメートル(cm)に変換して表示するとします。尚、1inchは2.54cmであることから、inchの値を2.54倍すればcmに変換することができます。
B3セルのinchの値をcmに変換してC3セルに表示する場合は、カーソルをC3セルに合わせてから、数式バーに「=B3*2.54」と入力します。


C3セルには「2.54」と表示されました。


この方法は、同じ数式を他のセルにも使用したい場合に、数式が煩雑ならば入力ミスが発生しやすい面があります。


3.LAMBDA関数の例1
先述した「2.LAMBDA関数を使用しない場合」と同じシートを用いて、inchをcmに変換します。今度は、LAMBDA関数を用いて変換します。
cmの値を求めるには、inchの値によってその値が決まることから、cmの値をパラメーターとしたLAMBDA関数を作成します。B3セルのinchの値をcmに変換してC3セルに表示するには、カーソルをC3セルに合わせてから、数式バーに次のように入力します。

=LAMBDA(inch, inch * 2.54)(B3)

inchの値を受けるパラメーターを「inch」としました。(別の名称にしてもよいです。)LAMBDA関数では、B3セルの値が inch に渡されて、inch * 2.54 の計算結果をC3セルに表示します。




数式を入力すると、C3セルには「2.54」と表示されました。


LAMBDA関数は「名前の定義」とともに使用することにより、繰り返し使用可能な関数を定義することができます(参考記事:Excel 名前の定義)。この関数に「cm変換」という名前を定義するとします。
メニューバーの[数式]-[名前の定義]を選択して[新しい名前]を表示します。


[名前]に「cm変換」と入力します。
[参照範囲]に「=LAMBDA(inch, inch * 2.54)」(LAMBDA関数の閉じ括弧まで)と入力します。
[OK]ボタンで確定します。


これにより、「cm変換」という関数が定義されました。この「cm変換」を使用して、2inchをcmに変換した値をC4セルに表示します。カーソルをC4セルに合わせてから、数式バーに「=cm変換(B4)」と入力します。


C4セルには「5.08」と表示されました。


定義した関数「cm変換」は、パラメーターが1つ(inch)必要な関数として定義しました。そのため、この関数を呼び出すときに、パラメーターの個数が1つではない場合は、エラーになります。




また、内部では数値計算を行っているため、パラメーターに数値でない(数値と認識されない)値を指定してもエラーになります。




LAMBDA関数を基にして定義した関数は、SUM関数などと同様の操作感で使用できます。また、関数を定義することにより、数式部分が「cm変換」のような簡素な見た目となります。同じ数式を他のセルにも使用したい場合に、中身の数式が煩雑でも「cm変換」と入力すればよいため、入力ミスを抑える効果があります。


4.LAMBDA関数の例2
例として、このようなシートがあるとします。


関数を作成して、税抜価格(円)と税率(%)に応じて、税込価格(円)を表示するとします。税込価格は、税抜価格と税率の2つの値によってその値が決まります。このことから、これら2つの値をパラメーターとしたLAMBDA関数を作成します。

ドーナツをテイクアウトするときの税込価格(税率8%)をD5セルに表示するには、カーソルをD5セルに合わせてから、数式バーに次のように入力します。

=LAMBDA(税抜価格, 税率, ROUNDDOWN(税抜価格 * (100+税率)/100, 0))(C5, 8)

税抜価格と税率の値を受けるパラメーターをそれぞれ「税抜価格」,「税率」としました。(別の名称にしてもよいです。)LAMBDA関数では、C5セルの値,8(定数値)がそれぞれ 税抜価格,税率 に渡されて、ROUNDDOWN(税抜価格 * (100+税率)/100, 0) の値をD5セルに表示します。尚、税額は1円未満切り捨てとなることから、ROUNDDOWN関数を用いて「ROUNDDOWN(x,0)」のようにして1未満の値を切り捨てます。(FLOOR関数を用いて「FLOOR(x,1)」のようにしても切り捨てできます。)




数式を入力すると、D5セルには「151」と表示されました。


この関数に「税込価格」という名前を定義するとします。先述した「3.LAMBDA関数の例1」と同様に、メニューバーの[数式]-[名前の定義]を選択して[新しい名前]を表示します。

[名前]に「税込価格」と入力します。
[参照範囲]に「=LAMBDA(税抜価格, 税率, ROUNDDOWN(税抜価格 * (100+税率)/100, 0))」と入力します。
[OK]ボタンで確定します。


これにより、「税込価格」という関数が定義されました。この「税込価格」を使用して、ドーナツをイートインするときの税込価格(税率10%)をE5セルに表示します。カーソルをE5セルに合わせてから、数式バーに「=税込価格(C5, 10)」と入力します。


E5セルには「154」と表示されました。



5.LAMBDA関数 範囲を渡す
LAMBDA関数のパラメーターには、次のようにセルの範囲を渡すこともできます。

例.
=LAMBDA(金額,SUM(金額))(C3:C5)

C3~C5セルの各値がパラメーター「金額」に渡されて、SUM関数によりこれらの合計値が表示されます。





6.LAMBDA関数 パラメーターなし
通常は使用することがないと思われますが、次のようにパラメーターをなしにしてLAMBDA関数を作成することもできます。

例.
=LAMBDA(7)()



固定で7が表示されます。



7.LAMBDA関数 再帰呼び出し
LAMBDA関数は、再帰呼び出しができる仕様です。再帰呼び出しとは、ある関数が、その処理内で自身の関数を呼び出す手法のことです。
例として、文字列全体で初めて30文字以上になるまで、任意の文字列の右側に「プリキュア」の文字列を付加し続ける関数を、LAMBDA関数の再帰呼び出しを用いて作成するとします。作成した文字列をC2セルに表示し、C2セルの文字数をC4セルに表示するようにします。これを実現するにはREPT関数(指定文字列を指定回数分繰り返す関数)などを用いる方がより適切と思われますが、ここでは再帰呼び出しを行う例として紹介いたします。


この関数に「ADDPRECURE」という名前を定義するとします。先述した「3.LAMBDA関数の例1」と同様に、メニューバーの[数式]-[名前の定義]を選択して[新しい名前]を表示します。

[名前]に「ADDPRECURE」と入力します。
[参照範囲]に「=LAMBDA(value, IF(LEN(value)>=30, value, ADDPRECURE(value & "プリキュア")))」と入力します。
[OK]ボタンで確定します。


これにより、「ADDPRECURE」という関数が定義されました。
任意の文字列を受けるパラメーターを value としました。(別の名称にしてもよいです。)LEN関数は、文字列の文字数を返す関数です。valueの文字数を測定して、もしその文字数が30文字以上ならば、その値を返します。そうでなければ(30文字未満ならば)、valueの右側に「プリキュア」を付加した文字列を作成して再び ADDPRECURE を呼び出します(再帰呼び出し)。文字列が30文字以上になるまで、文字列の右側に「プリキュア」を付加して ADDPRECURE を呼び続けます。



カーソルをC2セルに合わせてから、数式バーに「=ADDPRECURE(B2)」と入力します。


C2セルには「プリキュア」を付加した文字列が表示され、文字列全体で31文字となりました。



8.LAMBDA関数の数式を他バージョンのExcelで参照すると...?
ある1つのExcelファイルを、複数のメンバー(コンピュータ)で編集することがあると思います。例えば、Aさんが「Excel for Microsoft365」にてLAMBDA関数の数式を作成して、Excelファイルを保存します。Bさんのコンピュータには「Excel for Microsoft365」がインストールされておらず、「Excel 2019」(LAMBDA関数未対応)がインストールされており、Aさんが保存したExcelファイルを編集します。このように、LAMBDA関数の数式を含むExcelファイルを、「Excel 2019」などのLAMBDA関数未対応のExcelで編集する場面は、実際に起こり得ると思います。
「Excel for Microsoft365」で作成したLAMBDA関数の数式が、「Excel 2019」ではどのように表示されるのかを検証しました。先述した「3.LAMBDA関数の例1」で作成した数式を比較します。

「Excel for Microsoft365」で作成した数式です。



「Excel 2019」では、これらの数式はそれぞれ次のように表示されます。



数式の表示に相違が生じているものの、「Excel 2019」でも計算結果(2.54,5.08)が正しく表示されます。


但し、「Excel 2019」にてこの数式を編集するとエラーが発生し、計算結果が表示されなくなります。


「Excel 2019」にて、LAMBDA関数の数式を変更しないように編集したり、そのExcelファイルを保存したりするのは、問題ありません。


9.まとめ
本記事では、Excelの「LAMBDA関数」を紹介いたしました。LAMBDA関数は、自作した数式が煩雑になっても簡素な形にまとめることができ、繰り返し使用できることが強みだと思います。現時点では、「Excel for Microsoft365」のみの機能のため、使用できる環境は限定的です。今後、他バージョンのExcelにもLAMBDA関数が実装されることに期待したいです。


出典
Microsoftサポート LAMBDA関数

Excel 名前の定義

2023-04-02 23:40:00 | 雑学
Excelには、セルや関数に名前を定義して、その名前を用いて値を参照する機能があります。そのセルの用途を端的に示した名前を定義することにより、どんなセルを参照しているのかを明確にすることができます。本記事では、「名前の定義」の使用方法を紹介いたします。


1.1個のセルに名前を定義する。

<比較:名前の定義を使用しない場合>
下図のように、B3セルに「りんご」という値が格納されているとします。


カーソルを他のセル(下図ではB5セル)に合わせてから、数式バーに「=B3」と入力すると、そこにB3セルの「りんご」という値を表示することができます。




B3セルに名前を定義する方法を例示します。

<方法1>
B3セルに「商品」という名前を定義します。はじめに、カーソルをB3セルに合わせてから、名前ボックスに「商品」と入力します。


これにより、B3セルに「商品」という名前が定義されました。

カーソルを他のセル(下図ではB5セル)に合わせてから、数式バーに「=商品」と入力すると、このセルにB3セルの「りんご」という値を表示することができます。ブック内の他シートからも、「商品」の値を参照できます。




<方法2>
B3セルに「商品」という名前を定義します。はじめに、カーソルをB3セルに合わせてから、メニューバーの[数式]-[名前の定義]を選択して[新しい名前]を表示します。




[名前]に「商品」と入力してOKボタンで確定すると、B3セルに「商品」という名前が定義されます。


こちらの方法では、[範囲]にて、定義した名前を使用できる範囲(ブック全体 または 特定のシート)を指定できます。


2.複数個のセルに名前を定義する。

<比較:名前の定義を使用しない場合>
下図のように、C4~C6セルに各商品の価格が格納されているとします。


カーソルを他のセル(下図ではB8セル)に合わせてから、数式バーに「=SUM(C4:C6)」と入力すると、そこに各商品の合計金額を表示することができます。




C4~C6セルのまとまりに名前を定義する方法を例示します。

<方法1>
C4~C6セルのまとまりに「各商品の価格」という名前を定義します。はじめに、カーソルをC4~C6セルに合わせてから、名前ボックスに「各商品の価格」と入力します。


これにより、C4~C6セルのまとまりに「各商品の価格」という名前が定義されました。

カーソルを他のセル(下図ではB8セル)に合わせてから、数式バーに「=SUM(各商品の価格)」と入力すると、このセルに各商品の合計金額を表示することができます。ブック内の他シートからも、「各商品の価格」の値を参照できます。




<方法2>
C4~C6セルのまとまりに、その列見出しに当たるC3セルの「価格」という名前を定義します。はじめに、カーソルをC3~C6セルに合わせてから、メニューバーの[数式]-[選択範囲から作成]を選択して[選択範囲から名前...]を表示します。


今回の場合は、「上端行」にチェックを入れてOKボタンで確定します。


「上端行」を指定したことにより、セルの指定範囲(C3~C6セル)の2行目~下端行(C4~C6セル)に対して、その列の上端行(C3セル)に格納された「価格」という名前が定義されます。 


<方法3>
前述した「1.1個のセルに名前を定義する。」 の <方法2> と同様に、[新しい名前]から入力する手順でも名前を定義することができます。


3.数式に名前を定義する。
①②ではセルに名前を定義しましたが、数式に対しても名前を定義することができます。
下図のように、各セルに数字が格納されており、E列にその左3列のセルの合計値を表示するとします。(例えば、E3セルには、B3~D3セルの合計値を表示するようにします。)


この「左3列のセルの合計値」を求める数式に、「左3列の合計」という名前を定義する方法を例示します。

カーソルをE3セルに合わせてから、メニューバーの[数式]-[名前の定義]を選択して[新しい名前]を表示します。


[名前]に「左3列の合計」と入力して、「参照範囲」に「=SUM(B3:D3)」と入力します。


B3:D3 は、E3セルから見てその左3列のセルとなるようにします。OKボタンで確定すると、数式に「左3列の合計」という名前が定義されます。

カーソルをE3セルに合わせてから、数式バーに「=左3列の合計」と入力すると、E3セルにB3~D3セルの合計値を表示することができます。




名前を定義した数式には、演算に必要なセルの位置関係を保持しています。そのため、E4やE5セルの数式バーに「=左3列の合計」と入力しても、その左3列のセルの合計値を表示することができます。




数式を作成する際は、その都度、演算に必要なセルの位置が異なる場合が多いと思います。そして、名前の定義に登録された数式を使用する際は、演算の結果に影響を与えるセルの位置関係を確認する必要があります。そうなると、わざわざ名前の定義を使用せずに、その都度数式を作成したり、作成した数式をオートフィルで複製したりする方が効率的であると思います。
話は変わりますが、「Excel for Microsoft365」にて、新しく「LAMBDA関数」(LAMBDA/読み方:ラムダ)が追加されました。この関数は少し特殊で、上記のように作成した数式を「名前の定義」とともに使用することで、その利便性を引き出すことができます。 


4.定義した名前の一覧を確認する。
メニューバーの[数式]-[名前の管理]を選択して[名前の管理]を表示します。


定義した名前の一覧が表示されます。作成した名前を編集,削除することもできます。



5.まとめ
本記事では、Excelの「名前の定義」の使用方法を紹介いたしました。合計値や平均値を算出するなどの理由により、参照される頻度が高いセルがある場合は、このセルに名前を定義することにより、セルの参照先を明確にしながらExcel文書を作成できます。これは、文書作成時の誤りを減らすことにもつながると思います。「3.数式に名前を定義する。」に記述したLAMBDA関数について、別の記事で紹介する予定です。